昨年12月に書いたパンデミックの記事だが現実になってきた。
連日の報道でマスクや消毒液などの品薄状態になっているが、ここではふれない。
父の後輩が公立病院の内科部長をやっている。その関係から今回の新型インフルエンザについてレクチャーを受けた。
インフルエンザは秋冬というイメージがあるが、ウイルスが活発になる温度と湿度の関係からそういわれているだけで、秋冬のものだけではない。
現に東南アジアの気候で流行したケースも多々ある。夏に向けて終息に向かうが、ウイルスは世界のどこかで生きている。
今回の新型インフルエンザのDNAを調べると約30%はスペイン風邪時代のものが含まれているという。
今は弱毒性でも、年末には強毒性に変異している可能性もある。
スペイン風邪の時も1年目が弱毒性で、次の流行期に強毒性に変異していた。
また今回の新型「豚」インフルエンザだけではなくて、新型「鳥」インフルエンザも次のシーズンに猛威をふるうかも知れないことを念頭に置かねばならない。
ダブルで新型が襲来すれば人類の危機でもある。
現在の報道の中で、知識が浅い出演者が「弱毒性なので行政もこんなに大袈裟にする必要はないのでは?」との発言があるが、それは大間違いだと指摘する。
今は結果的に弱毒性で進んでいるウィルスだが、蔓延すれば、いつ、どこで強毒性に変わるか分からない。
季節性インフルエンザと同等の毒性だといわれているが、不明な点も多々あるので、万全の体制で臨むべきだとも。
数10年に一度の危機なので、行政を含めすべての機関が手探り状態であるのだ。
不幸中の幸いで、新型インフルエンザは弱毒性で進んでいるだけなのだ。
これは神様が人類にくれた宿題であり、食い止めるチャンスでもある。
今回の新型インフルエンザは、不明な点が多く残され、その分析を国際機関が行っている。
例えば、メキシコでだけナゼ死者が多いのか。メキシコでは急激に感染者が増えたが、約2週間でそのピークが去ったのはナゼか。
これを日本に当てはめれば、この2週間で終息するかも知れない。
それも予測であって誰にも分からないのだ。
今回の程度で関西地区の医療機関は、機能制限ギリギリ状態だ。これを見れば、強毒性に変異した時は、日本中で手の施しようがないことを示唆している。
医療関係者は、この弱毒性時期を利用して、来る強毒性インフルエンザの予行練習をしている訳だが、最初の計画を変更しなければいけない現状も見えてきた。
発熱がある患者の診療拒否は想定以上だった。発熱外来だけでは捌ききれない現状も見えてきた。
強毒性に変異した場合は、間違いなく街の医者では手に負えないし、病院は感染源に変わる。
今回は関西地域で起きていることは、すぐに日本全国に広まることはないと思われているが、これは今回限りのことだと思ったほうがいい。
また世界の医療機関は、日本の封じ込み作戦に注目すると共に、期待をこめて見ている様子だ。
現在のWHO事務局長のマーガレット・チャンさん。
この人はナゼWHO事務局長に選任されたのか?
1997年、香港で起きた新型肺炎・サーズを封じ込めた実績が高く評価されたためだ。
チャンさんはこの時、最初の対策を誤る。鶏は安全だといって、鶏肉を食べて見せた。
その後、感染は拡大して死者が出た。
それからチャンさんは変わり、香港のすべての鶏の処分を決める。以来、鉄の女の異名をもつ。
英紙デーリー・テレグラフはチャンさんの特集で、彼女を神の憤りと罰を表すギリシャ神話の女神ネメシスにたとえた。
また、AP通信は「ウイルスをねじ伏せるときの彼女は非情だ」と報道した。
日本でもチャンさんの様な指導者が必要な時が来るだろう。
マスクは効果がないという人もいるが、その有効性はある。
個人で出来ることは、全て行うことが重要。
マスクや消毒液は、今のうちに準備しておくのは当たり前。関西地区の出来事は、地域限定だから、品不足はあの程度だが、これが日本全国に広がれば、商品の品薄は解消できない。
ある会社では、従業員用のマスクが25%しか準備できていない。追加注文しているが、いつ入荷するかは未定。
医療機関は防御用のマスク・エプロン・消毒液はそれなりに用意していたが、今回の関西の状況を考慮すると、東京地区の医療機関は不足することが予測されている。
だから今回の関西のケースは、準備する段階での貴重な経験になっている。
メキシコで発生した頃、一部の人から流行地域への旅行者や学校関係者への批判が出た。しかし、状況判断が難しいのが新型インフルエンザである。
大阪の橋下知事はウイルスの毒性と経済活動などを考慮して、柔軟な対応を国に求めている。
現実問題を直視すれば経済活動は欠かせないものであり、動いているので仕方ない面もある。
企業の対策で重要なのは以下の通り。
①的確な情報の把握
しかしこれは現在、何が的確な情報か分からないことが多い。厚労省の発表も当初は強毒性を前提に話していたからだ。
②顧客や従業員を感染から守る体制
これは経営者の中心的な踏み込みが重要。
③迅速な意思決定
これが難しい経営者が多い。
④業務継続の対策
これが重要で、店舗閉鎖をする寸前の体制作りがどこまでできるか。
⑤従業員と会社との意思疎通
有事の時の連絡体制。
⑥感染従業員や感染の疑いのある従業員の休めさせ方
日本は咳きくらいで休むな的な風潮がある。
その他は以前のシリーズで書いた通りだ。
最後に医療関係者はこう指摘する。
「強毒性になった時、適切な医療を全員受けることは難しい。受け入れ態勢のキャパが足りない」
それだけ分かれば、こちら側がする事は見えてくる。
了
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