
このキャッシュレス決済の導入によって、万博来場者の支払い体験は大きく変化している。たとえば、現金での支払いに伴う「おつり」の受け取りという煩わしさがなくなり、会計がスムーズに進むようになった。
また、電子的な支払い履歴が自動的に記録されることで、家計簿をつける際の手間も減り、個人の支出管理が格段に容易になるという利点がある。
さらに、利用する決済アプリやサービスによっては、ポイントが貯まるなどの特典も用意されており、来場者にとっての利便性は確実に向上している。
加えて、現金を持ち歩く必要がないことから、スリや盗難といった犯罪被害のリスクが低減される点も重要である。特に海外からの来場者も多い万博では、安全面の向上は歓迎されるポイントであり、グローバル基準を満たす取り組みとも評価されている。
また、万博とスマホは切っても切り離せない関係にある。入場券の購入も、スマホを通じたオンラインでの決済が主流で、入場時にはQRコードを提示することでスムーズにゲートを通過できる仕組みだ。

さらに、人気パビリオンの事前予約、飲食物やグッズの購入、さらには来場記念の写真・動画撮影やSNS投稿など、あらゆる場面でスマホが不可欠な存在となっている。そのため、バッテリーの消耗が激しく、万博運営側も来場者に対してモバイルバッテリーの持参を強く推奨している。
さて、話をキャッシュレス化に戻そう。パチンコ業界でもキャッシュレス化を検討しているように、将来的にはパチンコ業界にも必ずキャッシュレス時代は訪れる、はずだ。
現在、ホールでは台間サンドに現金を投入しているが、これもいずれ過去のものとなるだろう。将来的には完全にスマート遊技機に移行した頃には、QRコード読み取り機が遊技機本体に内蔵され、遊技客はスマホをかざして玉貸しを行うスタイルになっているはずだ。
ただし、パチンコ業界におけるキャッシュレス導入にはいくつかの課題がある。中でも最大の障壁とされるのが、ホール側にとって「日銭」が入らなくなるという問題である。現金であれば、その日の売上が即座に手元に残るが、キャッシュレス決済では売り上げの入金が決済代行会社を経由するため、タイムラグが発生してしまう。
ここで重要な役割を果たすのが、決済代行会社の存在である。あるシンクタンク関係者によれば、現在一部のネットバンクがホール向けの決済代行業務への参入を検討しており、その手数料は業界水準(QR決済で約2%)を大きく下回る「1%以下」で設定する構えであるという。これはホール側にとっても非常に魅力的な条件であり、導入へのハードルを下げる要因となる可能性がある。
さらにこのネットバンクの狙いは、単なる決済代行にとどまらない。通常、売上金の振込は「末締め翌月1日払い」「末締め翌々月」などの支払いサイトがあるが、ネットバンクが自らホール向けに口座を提供することで、即時入金やより短いサイクルでの支払いが可能となる。その結果、ホールとしても資金繰りの不安が軽減され、キャッシュレス化への移行をより現実的に捉えることができるようになる。
また、法令改正が行われる頃には、ネットバンクが現在一部のホールで行われている「2店方式」問題の解決策として、景品買取所の役割を果たすようになるという見方もある。
これは業界の構造を根底から変える可能性を秘めており、パチンコ業界が長年抱えてきた制度的課題の解消にもつながるかもしれない。
パチンコ業界がキャッシュレス化を果たす時期については、現時点では未定だ。しかし、社会全体がスマート化・デジタル化の流れに乗る中で、遅かれ早かれホールもその波に飲み込まれることは避けられない。
万博が描き出す未来の縮図は、単なるイベントの枠を超え、パチンコ業界の在り方そのものに大きな影響を与えることになるかも知れない。

※コメントには必ずハンドルネームを入れてください。匿名は承認しません。コメントがエントリーになる場合もあります。