回答にはさまざまな意見が寄せられた。たとえば、キャッシュレス決済の普及により、現金派の人々が不便を感じるようになった。最近では現金が使えない店舗が増え、ATMの数も減少している。大阪・関西万博では、自販機はもとより、買い物や飲食はすべてキャッシュレスとなり、現金が一切使えない。

現金しか持たない人にとっては、今後さらに不便な状況になる可能性がある。
また、LINEの普及により、電話や対面でのコミュニケーションが減少したことを不便と感じる人もいた。これにより「ちょっとした相談」や「雑談」を気軽にしづらくなったという。特にビジネスシーンでも、DMでのやり取りが中心となり、直接話す機会が減ったことで、意思疎通の難しさを感じる場面も増えている。
さらに、セルフレジの増加も賛否両論がある。確かに人件費削減や会計のスピードアップといったメリットはあるものの、慣れていない人や細かい対応を求める人にとっては不便である。とくに高齢者にとっては、従来の有人レジのほうが安心して買い物できるという意見も多い。
そんな中、アンケートの回答の中にはごく少数ながらパチンコ業界に関する意見もあった。それは「駅前店舗の減少」による影響についてだった。
かつてパチンコ業界が全盛期を迎えていた頃、全国には1万8000店舗以上のホールが存在し、大抵の駅前には必ずと言っていいほどホールがあった。駅前型のホールは単なる娯楽施設ではなく、地域の人々にとって利便性の高い存在であり、とりわけ「トイレの利用」という点で社会に貢献していた。
今でこそ駅のトイレは整備が進み、清潔な環境が提供されているが、かつては暗く、汚く、治安面でも不安がある場所が少なくなかった。一方、ホールのトイレはウォシュレットで早くからデパート並みの清潔さを保っていた。多くの利用者は「駅のトイレより快適な場所」として認識されていた。
特に大便をする時は、ホールのトイレの方が断然、快適だった。個室が複数あり、駅やコンビニのトイレのように「後から来る人のために早く済ませなければならない」と焦る必要もなかった。こうした理由から、パチンコをしない人でも、トイレ目的でホールを訪れることが珍しくなかった。
しかし、現在では駅前型のパチンコホールが次々と閉店しており、こうした利便性を享受できなくなっている。業界全体の店舗数は、最盛期の約1万8000店舗から、全日遊連加盟店舗は6000店舗を切ろうとしている。駅前からホールが消えることで、結果的に「気軽に使える清潔なトイレ」も減少し、不便を感じる人が増えている。
ホールは単なる遊技場ではなく、地域社会における重要なインフラの一部でもあったと言える。駅前のホールが担っていた役割が失われることで、「トイレの不便さ」を実感する人が増えているのは興味深い現象である。
アンケートの結果からは、便利になったはずの世の中で、意外なところに不便が生じていることが浮き彫りとなった。特にパチンコ業界の変化による影響は、一般的にはあまり語られることのない視点とも言える。

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