「カジノの売り上げの8割はハイローラー客によるものです。しかし、カジノには賑わいが欠かせません。パチンコ業界では客層が違うから競合しないと考えがちですが、それは大きな誤解です。賑わいを演出するために、誰を取り込むか。そこを考えれば答えは明白です」
大阪IRに導入されるスロットマシンは6400台。その台数は小規模ホール30店舗分に相当する規模感だ。
カジノ側の視点では、スロット客は「利益要員」ではなく「稼働演出要員」だという。つまり、賑わいを作るための群衆であり、ハイローラーを呼び込む背景の一部に過ぎない。
「スロットマシンの利益はゼロで構わない。むしろゼロでいい。なぜなら、日本のホールにすでにスロットファンが存在しているからです。彼らを取り込めば、最初から満席のカジノが作れる。日本のカジノが成功する鍵は、既存のスロット客を根こそぎ奪い取ることにあります」
これがカジノ側の本音でもある。
もしそれが現実になれば、大阪のホールは壊滅的な打撃を受ける。4円パチンコが低迷し、業界の屋台骨を支えているのはスロット部門だ。その中でも、20円スロットを打つ太客がごっそりカジノに流れれば、地方のホールにとっても影響は避けられない。大阪から関西圏全体へ波及する可能性は高い。
しかも、政治の追い風は完全にカジノ側にある。高市政権と連立を組む維新の会は、大阪IRを国策級プロジェクトとして推進してきた張本人だ。失敗は許されない。ゆえに、競合となるパチンコ業界は目の上のタンコブでしかない。
その思惑は、すでに数年前から形になっていた。松井一郎氏が大阪市長を務めていた2022年5月25日、大阪市議会は「パチンコ・パチスロなどをギャンブルと位置付け、依存症対策の強化を政府に求める」意見書を全会一致で可決した。IRカジノ反対派の批判をそらすため、パチンコをスケープゴートにした政治的演出だったともいえる。
大阪IRは、観光と経済の起爆剤として期待されている。しかし、その裏側で淘汰される業界がある。
「スロットの利益はゼロでもいい」──この一言が、ホール経営者に突きつけられた宣戦布告だ。
5年後、カジノが開業する頃には、大阪の街からホールの灯がどれだけ消えているだろうか。
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