パチンコ日報

ニュースにならないニュースの宝庫 

お年寄りに支えられる脆弱な業界

80歳を過ぎた常連のおばあちゃんの話。



ある日、いつものように朝から来店した。しばらくすると床を這いつくばるようにして何かを探しているおばあちゃんに従業員が気づいて声を掛けた。



「財布を落としたみたいなんだよ」



そのおばあちゃんは、物忘れが極度に酷くなっているのをその従業員は知っていた。



「本当に持ってきたの?」



「うん…」



「家に電話してみたら?」



「誰もいない」



「じゃ、1回家に帰って探して来た方がいいよ」



翌日、来店したおばあちゃんは、従業員を見つけると「家にあったよ」と報告した。



おばあちゃんの物忘れの酷さは、トイレから帰って来て、自分が打っていた台が分からなくなることがよくあった。財布の件でも落としたのではなく、家に忘れて来ている可能性が高いことを察知していた。



そんなおばあちゃんが、負けが込んでいた時、最後の500円でST機で出玉のない2回確変を引いた。最後の500円だったので、玉はすぐに底を尽いた。



すると、おばあちゃんが床に落ちている玉を拾い始めた。



その姿を見て、従業員がまた声をかけた。



「おばあちゃん、どうしたの?」



事情を聞いて、「じゃ、知り合いの人におカネを借りたらどう?」とアドバイスした。



「知り合いにおカネを借りるのは絶対嫌! 知り合いにおカネを借りるのは恥ずかしい」



従業員としては内部大当たりしている台をこのままおばあちゃんに打ってもらいたい。何とか救済できないか、と考えた。



最悪、自分がおカネを貸してでもおばあちゃんに打ってもらいたい、と思った。



でも、従業員がお客さんにおカネを貸した場合、法令違反にはならないか、ということも頭をよぎった。



事の状況を店長に報告した。



その結果、休憩時間を90分間に延長することで、もう一回、おカネを取りに帰ってもらうことで救済することになった。



その日、おばあちゃんは90分が過ぎても戻ってこなかった。



結局、その日は来なかった。



店長はおばあちゃんのために、潜伏確変を消すべきかどうか悩んだが、持ち越すことにした。



翌日、おばあちゃんの姿はなかった。



再び、おばあちゃんが来店したのは、それから約2週間後のことだった。



「最近は、体調も悪くてね」



そして、店長は「ずっと待ってたんですよ」と潜伏確変の話をした。



そのことについては、「何となく覚えている」という状態だった。



パチンコを支えてくれるお年寄りがいつまでも元気で来店してもらわなければ、ならないが、やがては櫛の歯が抜けるように常連さんの姿も見かけなくなって行く。



これが、現実なだけに、代々木ゼミの轍を踏まないためにも、離反したファンを呼び戻すためには、2~3時間遊んで3000円程度の遊びにしなければならない。







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