まず、カジノで不正があれば、それだけで信用を失い、お客は来なくなる。
ホールの場合、不正にはゴト師のような外部犯行の他に、内部犯行も現存する。
内部犯行の代表例で一番簡単な方法がスロットの設定漏洩だ。設定担当が仲間に漏らして設定6を打たせて、勝ったカネは折半というのが一般的だが、今回発覚した設定漏洩は少し形態が違っていた。
何と10年間も発覚しなかったのだ。
その手法はこうだ。
ホール側の役職者は主任だった。設定担当ではなかった。仲間は高校時代の同級生2人だった。
この主任、早番の時だけ朝の清掃業作業の時間帯に、機械周りを掃除しているふりをして、自分で設定を入れていたのであった。
入れるのは1台だけ。しかも、月に1~2回。
設定を入れるとケータイで友達に番号を送った。朝から客が並ぶような店ではないので、設定を入れた台が他人に取られることはなかった。
早番が終わり時に再び、ホッパーの修理でもしているようなふりをして、設定を戻して店を後にした。従って遅番の時は行わなかった。
打ち子は主任と同級生だが中年のおやじなので、店も気にもしなかった。
10年間のうちに転勤も何度かあったが、打ち子の面が割れにくくなるので、好都合だった。
設定漏洩が発覚した理由は「人の口には戸を立てられない」だった。
打ち子の一人が、酒の席で信頼のおける知り合いに、思わずしゃべってしまったのだった。それを聞いた方は、不正で勝っていることに腹が立った。
それで、店に電話を入れて、設定漏洩が明らかになった。
その電話があってから朝の作業風景を防犯カメラで撮った。主任が台を開けている姿は映っているが、設定を打ち替えている決定的証拠は映像からは見て取れなかった。
ホール側は主任に問い質したが「そんなことをやるわけがないでしょう」と認めようとはしなかった。
打ち子は会員カードを作っていたので、景品交換データは把握していた。しかし、設定を打ち替えた証拠はなかった。
ホール側としては損害賠償請求して解雇したいが、証拠がないので足踏み状態だ。
スロットもエコ遊技機を開発しているようだが、ホッパーがなくなり、メダルの払い出しもなくなるので、設定管理も一元管理できれば、原始的な設定漏洩はなくなるかもしれない。
機械も一切不正ができない仕組みを作らないことには、業界の信頼がなくなるというものだ。

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