商品開発力のあるセブンアイホールディングスは、スーパー単体でも集客力があったためモール展開をあまりしてこなかった。
ところが、イトーヨーカ堂の近くにイオンモールが出店しては、ヨーカ堂の客が奪われてきたが、ここにきて反転攻勢に出た形だ。
グランツリー武蔵小杉には、セブンアイホールディングス傘下の百貨店「そごう・西武」やロフトも出店してグループの総力を結集させた。
イオンがモール展開してきた理由は、イオン単体の業績を見れば分かるように、2014年の上半期の決算では、本業の総合スーパー事業では132億円の赤字に転落している。それを補完してきたのがモールのテナント収入だった。
スーパーだけでは集客もできないので、モール形式にして1日時間を過ごすことができる付加価値で、全国にイオンモールを出店してきた。
イトーヨーカ堂に在籍するAさんは、遅番の日は午前中からホールに足を運ぶほどのパチンコ好きだが、小売業とパチンコ業は似通った部分が多い、という。
最近のショッピングセンターは天井が高いのが特徴だが、ホールも天井を高めに作るようになった。天井が低いとどうしても圧迫感があるが、天井が高いと解放感が全然違ってくる。長時間滞在してもらうためには、この解放感がポイントになる。
小売業の場合、集客や売り上げのポイントになるのが新製品だ。セブンイレブンではセブンプレミアムの新商品を次々に投入して、他のコンビニを大きくリードしている。
「パチンコも一緒で、いくら玉が出ても新台を入れない店には行きません。やはり新しい台が出ると打ちたい。新台を入れても小台数の店では、空き台がないことが多いので、すぐに座れる安心感から大量導入している店を選んでしまう」(Aさん)
Aさんのように新台を打ちたいお客さんは、地域一番、地域最大導入を売りにする店舗を選択する。
イオンの場合、セブンアイホールディングスよりも商品開発力が劣るため、そのマイナスをカバーするためにモールという付加価値でイトーヨーカ堂に対抗してきた。
ホールも出玉、新台だけではどうしても限界があるために、総合的な付加価値が必要になってくる。例えば、お客さんの愚痴を聞いてくれる従業員がいるというだけでも、その従業員目当てにお客さんはやってくる。
こんな付加価値がたくさんあるほど強い店舗といわれる。

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