それは雑居ビルの一室にある。中にあるのは昔懐かしいスマートボールだ。設置台数は8台。これの何がスクープかというと、これが何と裏スマートボールなのだ。機械は本物の古いスマートボールなのだが、何がスクープかというと1玉が100円、ということだ。
スマートボールは穴に入ると15個玉が出る。ということは1個穴に入ると1500円になるのだ。スマートボールにも役物があって、チューリップのようなものがある。1個入るともう1回すぐに入るので、3000円になる。
さらに、レートは自分で選べる。最低単位が1玉100円だが、1玉を200円、300円、400円、500円とチョイスできる。
店内は満台で背後には立ち見の順番待ちのお客さんが10人ほど待っている、という盛況ぶりだ。
釘はノーマルではなく、新たに何本も追加で打っているので、ノーマルのスマートボールよりも玉の動きがスローモーで、その動きを見ているだけで大興奮する、という。しかも、傾斜を緩めてさらに玉のスピードを遅くしている。
1玉100円を選ぶ客が大半だが、1玉、1玉を手に汗をにぎりながらじっくりと打つ。
「1玉100円で5000円遊んだ。時間にして20~30分は遊べた。出たり、入ったりの釘調整が絶妙で、裏スロよりも興奮した。こんな単純な遊びでもレートが高いとこんなにも一喜一憂して興奮することが分かった。でも、これは記事にはできない」と興奮気味に話すのは風俗専門ライター。裏スマートボールを週刊誌で書くと、警察に摘発される恐れがあるので、記事にはせずに、プライベートでまた遊びに行きたい、という想いからだ。
この裏スマートボールは薄利多売で良心的な営業を行っているという。打ち止め個数は300個なので、1玉100円なら3万円、200円なら6万円、300円なら9万円、といったところだが、勝っても1万円ぐらいだという。
おもしろいサービスも行っている。
1回で1万円以上玉を借りた客には赤玉を1個サービスする。この時客がこの赤玉を打つ時に宣言して穴に入れば、15個返しが150個返しになる、というのだから面白いことを考えている。
「パチンコは1分で400円が消えるが、これは1玉ずつ玉の動きを最後まで追っかけながら大切に打つので、3玉打つのに1分ほどかかる。だから5000円で30分ほど遊べた。レートの高さも去ることながら玉の動きに興奮する。役物がカパッと開いた時の快感は、フィーバーの大当たりとは、まったく別の嬉しさがある」
非合法の裏スマなので推奨することはできないが、ここにパチンコメーカーが忘れているパチンコの原点を垣間見ることができる。
メーカーの開発陣は自分たちでスマートボールを作ってみて、本当のパチンコのおもしろさを一から考え直した方がいい。
温故知新。新たな発想が生まれる。

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