イベントのない時代のお客様は、一つのホールで遊技する事が多かった傾向にあったが、イベントが常識になると、お客様の異店舗間移動が増えた。
イベント以前は、同じホールに定住した方が、調整の癖を掴みやすいこともあり、お客様が浮気する率は低かった。
イベントが盛んになると、イベント荒しと呼ばれる客層も生まれた。
中には完全にイベントプロになってしまった層も多かった。
ケータイやパソコンにイベント情報が送られ、それでお客様が店舗間を移動するようになった時、スロットが全盛時代を迎えていた。
1日に何回もメールを送信する店舗。
「本日設定⑤⑥投入イベント、現在キングパルサーコーナーに⑤⑥の空き台があります」などと途中経過のメールが流れると、若いお客様が他店から流れてくる。
あの時代は、正にバブル状態だった。
そのバブルに完全に踊らせれたのが、お客様よりもホール側だったのかも知れない。
全盛時に1万8000店舗あったホールが、現在は1万2000店舗に減少した。しかし、中には今が「正常な数値」と指摘する業界関係者もいる。
私もこの考えに同調した。
ST機があの時になければ、現状はどうなっていたかと想像したが、妄想は楽しい。
4号機が規制されてから、多くのスロ専が淘汰された。山手線沿線にあったスロ専は壊滅状態。スロットバブルを物語る象徴的な出来事だ。
バブルと言えば1980年代後半からのバブル景気を思い出す。
1988年前後のバブル経済期間に、ビジネスを経験した人は分かると思うが、あの時代には気づかなかったが、今から思い起こすと、本当に狂気の時代だった。
1ドル240円が1年後に120円になったり、一坪150万円の土地があっと言う間に500万円。
この頃、私は欧州自動車メーカーの日本法人で、新車の販売や、新人教育、ディーラー管理をしていた。
国内販売価格700万円の新車。
この時代の宣伝費は、宣伝費÷国内販売台数=50万円であった。
日本国内で700万円の車種と同レベルのグレード車は、アメリカでは400万円で販売されていた。
その700万円の車を、正規代理店に卸す価格は、500万円弱。
競合車種を販売する会社に勤務していた中学の同級生によると、国内価格が1000万円の輸入車の仕入れ価格は「400万円」。
だから正にバブル真っ只中。価格が高い車種ほど売れた時代である。
この時代の輸入車は、正規輸入車と並行輸入車の2ルートが健在していた時期でもある。
それだけ国内価格が高かったと言う証拠だ。
時計もそう。
国内販売価格50万円のロレックスが、免税店では25万円。税金も高い時代だった。
それでも国内では高いロレックスが売れた。
宝飾品は仕入原価の10~20倍で売れた時代。
私はバブルの頃、欧州自動車メーカーの日本法人に勤務していて、甘い思いをしていたのでラッキーだったかも知れない。
会社から新型車が毎年1台支給されて、ガソリン代も保険もすべて会社持ち。
給料は6~7台売れば、月給で75万円~85万円は支給されていた。会社には20歳代や30歳代で1000万円プレーヤーがぞろぞろ。
そんな時期と、パチンコ・スロットの全盛期を見比べているのだが、私はどうしても今までの業界がバブルに思えてならない。
4号機バブルの当時、スロ専のオーナーには、「いつかバブルが弾けますよ(規制)」と話してきた。
この場合、オーナーは二種類に分かれる。
儲けられる時に儲けて、あとはサッと去ればいいと思うオーナー。
儲けられる時に蓄えて、次の事業に備えるオーナー。
しかし、現実は会社を倒産させたオーナーも多かった。
その状況を見ると、店舗数が激減しても、今が適正なのかも知れない。
パチンコ業界の環境は厳しい。
と言いながらも、雇用は活発だ。異業種から見れば、厳しいとは思えないのが本音。
異業種の経営者が集まる勉強会で、パチンコ業界について出た話がこれだ。
「今までの粗利や経常利益が異常であって、それが適正化に向かっているだけ」と。
地方ではパチンコだけではなく、一般業種でも淘汰があり、閉店や倒産は当たり前。
パチンコバブルでタケノコのように出てきたホールが、蜉蝣がごとく消えただけ。
不景気なのに、ホールはMAX機の存在で、過去最高の粗利を得ていたケースが先日まで目立った。
それに慣れてしまっているオーナーも多い。特に2世、3世。
しかし、創業50余年のオーナーは、堅実な思いを持っている。
「我々の業界は、当局の規制と緩和、様々な差別などの障害を経験してきた。都市部のホールはまだ良いが、地方のホールは今の苦しさを凌げば、必ず光が見えてくる。今まではおまけで、昔を思えば今の苦境は大したことではない」と自分を奮い立たせる。
バブルの頃、当時は3流メーカーに入社した友達は、その後の人生に驚く。思い起こせばラッキーだったと話す。
彼は3流大学出身で、当時は人気がなかったパチンコメーカーに就職(それ以外の希望就職先は落ちた)。
入社当時はヒット機が無いメーカーだったが、数年後に大ヒット機が誕生した。
会社の売上は倍々で増加。
当時の給料は1年で倍増した。
所長の給料も年収3500万円。その大半がボーナスに相当する部分だ。
機械代がまだ20万円そこそこの時代だった。
その機械は売れに売れて、製造原価が最終的には10%台まで下がったと聞いた。
高卒で入りたての女性事務員の年末ボーナスが80万円。
こう思い出すと、1980年代後半のバブル景気よりも、パチンコ業界のバブル景気は長いと感じる。
しかし、機械メーカーよりも早くホール業界のバブルが終焉を迎えようとしている。
機械メーカーはそれを分かっているのも確かである。
メーカーやホールの立場の違いで、そのバブル崩壊の対処が違う。
あるメーカー関係者から聞いた話が、元国会議員に聞いた話と似ていた。
今のままで行けば、日本国の借金は1000兆円を超えるだろう。
実はこの借金の大部分は、国債購入者が、国内の金融機関が大半を占めるため、これだけ多くの借金を抱えながら、なかなか国は倒れない、という。
元国会議員は、さらにこう話す。
「国の借金を一般家庭の家計に置き換えたら、この先の日本はどうなるのか、誰でも想像出来るはずだ」
しかし、それを先送りしているだけ。
国民一人当たりの借金が700万円~800万円で、国民の収入が400万円。
家族4人の家庭の総借金額が(700~800万円)×4人≒3000万円。それでいて家庭内年収が約400万円だったらどうなるのか?
この先人口が減り、社会厚生費用が上がる高齢化社会が到来する。
メーカー関係者はメーカー戦国時代を指摘する。
「昔はなかなかシェアを取れないでいたメーカーが、今は一流の仲間入りが可能な時代になっている。諦めていたメーカーが、自信を持てる時代でもある。本来はメーカーが主体となり業界を牽引して、ホール業界を牽引するのが理想だが、メーカーは自分の足元を固めなければ、いつ牙城が崩れるか心配だ。
数年で売上が数倍になる業界。一昔の二流メーカーが今は超一流の存在。だからその逆がある事も弁えている。
ホール側から見たら、木枠など共通にして欲しい面は多く存在する。しかし、そんな協調性はメーカーにはない。
今は、良い機械を多く出して会社の基盤を固めたいのが、一流組の本音だろう。
二流組は、毛色の違う機種を出して、隙間を狙う戦略をとる。
だからメーカー同士は、資本提携をしていなければ協力など出来ない」
ホールの苦しみは分かっていても、今の状況から舵取りは変えられないのだ。
ホールが淘汰されるのは当たり前で、生き残りの可能性のあるホールを主体に目を向けているとも言う。
確かに主要50社のホール企業に目を向けている担当者は多い。
一物一価問題が語られているが、この問題は随分前からくすぶっていた。
ある地区の組合は、この問題では監督官庁と話が出来ていたが、大元の警察庁はそうはさせない。
近隣の都道府県で一物一価が徹底されないように、飛び火に神経を擦り減らす。
こうした問題を孕む許認可業界だから、メーカーも体力を蓄えることに重点を置く。
ここまでの話は、メーカー側の総意ではなくて、一業界人の話しであることを了解願いたい。
これからの日本とパチンコ業界、展望は似たり寄ったりだと言うことである。
ホール企業を支えているのは「お客様」。
メーカーを支えているのは「ホール」と「お客様」・
つまり一番大切にしなくてはならないのが「お客様」なのだが…。
この話は同じ業界なのに、立場が違えば、考え方も変わる、と言うこと。
パチンコホールにおけるお客様の感動もそうだ。
ホールのポジションやお客様のホール環境の違いも、お客様と集客と感動の方程式の答えに大きな影響を与える。
景品イベントに批判的な人がいるが、これはそのホールのポジションで考え方が変わる。
だから全て否定されるのは如何なもか?
繁盛ホールの景品イベントと、閑古鳥ホールの景品イベントを、同じテーブルで考えてはならない。立場が違うと同じイベントでも意味合いが違うのだ。
同じ場所で半世紀以上もホール経営をしている会社は、それなりのノウハウがあると言うこと。
つづく
人気ブログランキング
コメント[ コメント記入欄を表示 ]
コメントする
毎朝拝見しています。
本日の内容は意味深ですね。
とても面白かったです。
山は動くのかの続編も楽しみにしています。
私は、文中で、それに慣れてしまっているオーナーも多い。特に2世、3世。と指摘された二代目オーナーです(ゲラゲラ^^)核心を突かれたご指摘でした。
ピンバック: 二代目若造オーナー見習い
>>この話は同じ業界なのに、立場が違えば、考え方も変わる、と言うこと
そーですよね。この業界はそれがある。
同じパチンコ業界と言っても壁がある。
何時になったら一体化するのかなー?
ピンバック: Unknown
「本日設定⑤⑥投入イベント、現在キングパルサーコーナーに⑤⑥の空き台があります」
・・・・・・・・・
これと同じメール、流行ったねw
それに踊らされた若いお客さんw
懐かしい
ピンバック: Unknown
所長の年収のハナシ、うちの販社だよきっと
ピンバック: Unknown
ホントにガセメールってタチ悪い
未だにガセがひどい
パチンコにはガセは仕方ないんですか?
元店長さんの嫌いな嘘ですよ
嘘を正当化する業界に発展はないでしょう
ピンバック: Unknown
一部の店長ですが、
社会経験がパチンコ業しか知らない店長がいます。
そんな店長がガセを流していますね。
でも今は昔ほどガセは無くなった方です。
ガセメールだと分かっていたら行かなければいいのでは?
ピンバック: Unknown
>今が「正常な数値」と指摘する業界関係者もいる。
その通りです。それでも多いくらいだとK札は思ってます。
ピンバック: Unknown
明らかな偽りをメールしたりするのはどうですか?
あしたのジョー
58500P
とかね
明らかにその半分しか出てないよ?
あと大当りが一回で五回挑戦中とか札さすバカ店があるんです
10回になると15回挑戦中
客が止めても同じ
とにかく偽りで煽る
空き台を見つけたら即GETしてください
行ったら空き台だらけ
客なんかいない
嘘偽りはどんなもんなんですかね?
罰則規定が必要違いますか?
ピンバック: Unknown