パチンコ日報

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業界人の無関心が生んだ玉とメダルの終焉

パチンコ産業の裏側には、遊技機本体以外にも多くの周辺機器メーカーが存在してきた。その中で比較的新しく、2005年に設立された「遊技球製造協会」がある。大阪の玉メーカー6社が結集し、全国シェアのほぼ100%を握り、年間30億個ものパチンコ玉を供給。市場規模は50~60億円に達していた。

しかしこの協会は、わずか17年後の2022年、スマパチ普及前夜にひっそりと幕を閉じた。理由は単純明快――パチンコの必需品だったはずの玉そのものの価値が、急速に失われたからである。

かつて「玉がなければ始まらない」とまで言われた業界の“血液”を供給する組合が消え去ったのに、それすら知らない業界人の方が多かった。業界誌も大きく扱うことはなかった。

ユーザーが「勝てれば玉でも数字でも構わない」と割り切るのは自然だ。だが業界人まで同じ発想に堕ちてしまったら、象徴も文化も守れるはずがない。玉が消え、メダルが消え、補給装置メーカーが消え――その全てを「時代の流れ」で片づけてしまう。自分たちの血液を「不要物」と言い切る無関心。文化産業としての自覚は、どこにも見当たらない。

スロットの世界も同様だ。スマスロが急速に普及し、メダル補給装置は不要になったが、ホールの反応は「手間が省けて楽になった」。業界団体も「効率化が進む」と胸を張る。要は「コストと管理の手間が減れば何でもいい」ということだ。スマート化はホールにとって人件費削減や効率化の恩恵が大きく、玉やメダル関連業界はその波にあっさりのみ込まれた。

結局、業界人はユーザーと同じ「実利第一主義」に染まりきっている。玉もメダルも文化でも象徴でもなく、単なる「出玉を演出する道具」にすぎなかったことが図らずも分かる。

いま周辺機器メーカーの組合再編が進められているが、所詮は延命策。需要が蒸発する市場で団結しても、焼け石に水だ。ホール関係者にしてみれば「装置が消えても売上に影響はない」。むしろ「不要なコストが減ってラッキー」と考えているのが本音だろう。周辺メーカーに手を差し伸べる気など、最初からない。

この無関心の果てに残るのは「数字の遊び場」だけだ。玉を積む快感も、メダルを掴む重みも、誰も必要としていない。画面に数字が並び、増えればそれで満足。業界人もユーザーも、同じ思考回路で動く単純な存在になり果てた。かつて「娯楽産業」と呼ばれたものは、今や「出玉産業」へと縮小され、パチンコ文化も誇りも失われつつある。

今後、生き残れるのは「システム産業」だけである。顔認証、マイナカード連携、キャッシュレス決済――玉やメダルを介さず、すべてを数字で管理する仕組みが主役となる。そこにシフトできなければ、周辺機器メーカーは歴史の中に消えるだろう。

で、設備機器メーカー団体が選択した道はこうだ。

遊技場自動補給装置工業組合は、同組合を存続団体として、遊技場自動サービス機工業会および遊技場メダル自動補給装置工業会と統合し、新たな組合名を「遊技場設備機器商工組合」とした。システムとはほど遠い。そもそもそうした技術は持ち合わせていない。

パチンコ玉、メダル、補給装置――かつて業界を支えた功労者たち。だが今や「不要な伝統」「無駄な遺物」として切り捨てられようとしている。時代の流れと言えば聞こえはいいが、実態はただの「使い捨て文化」である。結局この業界は、玉もメダルも、そしてメーカーすらも、不要になれば簡単に捨て去る。次に捨てられるのは、ホールそのものかも知れない。


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