小浮市長が条例提出に踏み切った背景には、教育現場から寄せられる悲鳴があった。不登校の子供がスマホを手放せず、外にも学校にも出られない。子供が泣けば親がスマホを与えて黙らせる。こうした事例が急増しているという。
小浮市長は「過度なスマホ使用が日常生活に弊害をきたし、親子間のコミュニケーションを阻害している」と危機感を抱き、家庭で適切な使用ルールを話し合ってほしいとの思いを込めたのだ。
この議論を聞いて、パチンコ業界にも似た実例があることを思い出した。
あるホール経営者が、子供に徹底したスマホ制限を課した結果、3人の子供(男2人、女1人)全員を東京大学に進学させたという驚きの事例である。
このホールは先代から2店舗を維持してきた。業界全盛期にも拡大路線に走らず、堅実経営を貫いてきた。
2代目となった現社長は、自分の子供にホールを継がせるつもりは初めからなかった。自身は高校中退、妻も高卒という学歴へのコンプレックスがあり、「せめて子供には高い学歴を」と心に決め、教育に全力を注いだ。
方針の中心は「スマホを徹底的に遠ざける」こと。高校に入学したタイミングで友人との連絡用にスマホを買い与えたが、使えるのは夜9時から10時の間のわずか10分。時間が来ればすぐに回収した。
社長の口癖は「スマホは小便と一緒。1回2〜3分で済ませろ」だった。
残りの時間は勉強や習い事に振り向けさせた。スマホ中毒になれば集中力が失われ、学力が落ちると考えたからである。
背景には、ホールで日々目にする光景も影響していた。客がだらだらと時間を浪費している姿は、スマホで延々と動画やゲームに没頭する現代人と重なった。無限に見えて有限な時間を無駄にする――それが最も避けたい人生の落とし穴だと直感したのだ。
結果は驚くべきものだった。3人の子供は全員が東大に合格し、現在は社会人として第一線で活躍している。教育方針の正しさを証明した格好だ。
さらにこの姿勢は従業員教育にも及んだ。ホールの休憩室ではスマホ禁止。代わりに社長が古本屋で買い集めた新刊本を常時50冊以上置き、休憩時間は自然と読書タイムになる。新聞も主要3紙に加え、経済紙である日経新聞を購読。スタッフは常に社会や経済の情報に触れ、思考力を養う環境が整えられている。
「スマホを制限するか否か」は家庭の自由であり、条例で縛ることに是非はある。しかし、スマホが子供の成長に及ぼす影響を直視し、家庭ごとにルールを定めていく必要があるのは間違いない。そして、このホール経営者の成功例が示すように、時間の使い方こそに教育の核心がある。
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