新卒で入社したら定年まで働き続けられ、年収も毎年上がっていく安定感、安心感が、愛社精神を生んだ。会社のために一人ひとりが頑張るから会社はさらに成長した。
日本的経営もバブルの崩壊とともに、崩れていく。景気が悪化するとメリットといわれていた終身雇用、年功上列が一転して企業には重荷になり、デメリットになっていく。
バブル崩壊から失われた20年は、非正規雇用社員を増やした。生活が安定しないから結婚しない。結婚しないから少子化になる、という悪循環を生むことにもなる。
少子化で絶対的労働人口が減る中、アルバイトですら集まらなくなっている。大阪に誕生したグランフロント大阪やあべのハルカスでは、飲食店やアパレルの店舗が時給を上げても人が集まらず、苦慮しているニュースが流れていた。
実際、外食大手のすき家はアルバイトが集まらないだけでなく、大量にアルバイトが辞めたことから、人手不足閉店に追い込まれている。
すき家の場合、人件費を削るあまり、深夜に一人体制で勤務させ、手薄な安全管理のスキをついて、すき家を狙う強盗が連続で発生するなど、人の安全を軽視したツケだ。利益優先の企業体質に加え、作るのが手間な鍋が新メニューとして加わったことから従業員の不満が爆発して、退職者が相次いだ。
少子化の影響で、人をこき使うようなブラック企業は人材確保が困難になる。そんな中、東京のタクシー大手kmグループの国際自動車が、新卒採用を増やしている。今春入社した100人は、前年の42人から2倍強の大幅増となり、女性も8人を採用した。
タクシー業界といえば、中途採用が一般的なだけに、新卒の多さが際立つ。狙いは将来の幹部候補生の意味合いもあるが、若い人材を取り入れて、接客サービスを強化することにより、子供や女性など個人客を獲得する戦略だ。
同社のタクシー運転手の年収平均は約420万円台と決して高くはないが、魅力は何か?
タクシーは基本給と歩合給なので、勤続年数や男女に関係なく、頑張れば頑張っただけ給料に跳ね返ってくる。それよりも女性にとって人気なのは、結婚・出産してもすぐに職場復帰ができることだ。これが一般的な会社との違いであり、魅力の一つになっている。
さらにもう一つ。それは70歳まで働ける業界としてタクシー業界が見直されている、という。年金の支給年齢は60歳から65歳に引き上げられ、定年退職後も働かなければ生活が苦しい状況で、70歳まで働けることは安心感がある。
一方、パチンコ業界はどうか?
ホールは年を取っても働ける環境がない。ここを改善しなければ優秀な人材の確保は難しくなってくる。ホールの客層をみれば、パチンコは年配者が圧倒的に多い。この中に同世代の従業員がいれば、会話も弾むというものだ。大阪の四海楼には勤続40年以上になる高齢の従業員が、常連のお客さんの話し相手としてホール現場に立っている。
ホールの現場で働くという発想ではなく、180度発想を変えたホールも登場した。
それは、農業への進出だ。新たにハウス農業で野菜作りを始める、という。作った野菜はホールで景品として出す。年を取ると土いじりがしたくなる人もいるように、一石二鳥だ。年を取っても働ける第二の職場を作ることもその会社の魅力づくりの一つになる。

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