当時は当たり前だったこの質問は、今ではNGとなっているのだが、ホール企業の中には新卒採用面接の時に「尊敬する人」を質問項目の中に加えている。
なぜ、昔は尊敬する人を聞いていて、今はダメなのか?
まず、聞いていた理由から。
求職者が誰を尊敬しているかを知ることで、その人の価値観や人生観を理解する手がかりとすることができる。例えば、リーダーシップ、努力、創造性など、どのような特性を重視しているかが分かる。
尊敬する人から企業文化に合った価値観や行動特性を持っているかを確認することもできた。企業が重視する価値観と求職者の価値観が一致しているかを見極める手段ともなった。
尊敬する人を聞くことがNGになったのは、1990年頃から。労働市場における差別問題が広く認識されるようになった。これにより、採用プロセスにおける公平性が重視されるようになり、求職者の家族背景や個人的な価値観に関する質問が見直され始めた。
労働法や差別防止法が整備され、採用プロセスにおける不適切な質問が禁止されるようになり、日本でも厚生労働省や労働局などの機関が面接における適正な質問についてのガイドラインを示し、企業に対して適切な採用プロセスの実施を求めるようになった。
それに輪をかけて企業がコンプライアンスを重視することが求められるようになり、採用面接における不適切な質問を避けるようになった。特に大企業では、採用プロセスの透明性と公平性を確保するために、面接官に対するトレーニングやガイドラインの徹底が行われている。
現代の企業文化では、多様性と包摂(ダイバーシティ&インクルージョン)が重要視されている。これにより、個々の背景や価値観に関する質問が不適切とされるようになり、面接では求職者のスキルや経験、職務適性に焦点を当てるようになっている。
で、尊敬する人を聞いているホール企業の話に戻すと、そのホール企業の採用コンサルは未だにこんなことを質問していることを知って驚きを隠さなかった。
「内定を出しても無駄ですよ。多分その学生は断ってきますよ」
その声を無視して内定を出した。一般的には何社か内定を貰うまで学生は返事をするのに時間をかけるが、コンサルの言う通り即座に断りの返事があった。
つまり、尊敬する人を聞くことがNGになっていることも知らないホール企業と見限られてしまったわけだ。

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