こういう日は、「今日は出すぞ!」と期待させるホールもあるが、それはほんの一部。大半のホールは、逆に釘を閉めて、勝たせる気ゼロ。カモネギ状態だ。それでも給料日から数日間はお客さんがまだ夢見てやってくる…と信じていた時代もあった。
それも今は昔。「4日も閉めてたら、もうお客さんは来なくなる。せいぜい2日が限界だ」と店長がボソリ。
40玉交換時代、あの頃はもっと営業が楽だった。等価交換になり、お客さんの可処分所得も減り、昔のような「大胆営業」はもはや幻。年金受給者が支える1パチコーナーや甘デジコーナーなどは、支給日に釘を閉めることは「ご法度」と自分に言い聞かせる店長もいる。
かつては、瞬発力のある機械であれば、多少割を落としてもお客さんが追いかけてくれたが、今ではそれすらも難しい。お客さんの懐具合も厳しい。
高稼働ホールは、「出す時はバカ出し、取る時はしっかり取る」とこのメリハリを効かせたものだ。負けっぱなしではなく、「今日は勝てるかも」という期待値を持たせることが繁盛店の秘訣だ。
しかし、そんなメリハリ営業ができる店長も減ってきた。決裁権が店長に与えられないため、彼らが工夫を凝らす余地がない。その結果、業界全体の稼働も低迷している。これが、かつて「店長産業」とまで言われたパチンコ業界の現状だ。
店長産業と言われる所以は、不振店を店長が替わったことで業績を立て直す、という話は枚挙に暇がなかったからだ。「店長産業」と呼ばれた時代は、もう過去の話になろうとしている。もう一度店長産業を復活させるために参考になるのが売り上げ2兆円を突破したドン・キホーテだ。
ドンキの成功の要因のひとつは、「権限移譲型経営」だ。通常の小売業では、商品の選定から価格設定、さらには店舗運営の方針まで本部が一括管理するが、ドンキは違う。店舗ごとの顧客層や地域性に合わせて、現場のスタッフが自由に商品を選んだり、陳列を工夫することができる。そのため、店舗ごとに独自性があり、地域のニーズにピッタリ応えることが可能だ。
この自由度こそ、ドンキの最大の強みだ。現場スタッフは、地域のお客さんと直接接しながら、リアルタイムで売れ筋商品を把握し、すばやく商品構成を最適化する。このスピーディーな対応力が、ドンキの特徴である「多品種少量販売」と絶妙にマッチしている。競合他社が苦戦する中、ドンキは短期間での品揃えや価格変更を可能にして、差別化を図っているのだ。
さらに、現場に権限を与えることで、従業員のモチベーションも上がる。彼らは単なる作業員ではなく、店舗の成功に直接関与する「プレイヤー」としての意識を持つようになる。この自律的な運営は、スタッフの創意工夫を引き出し、よりクリエイティブで効果的な施策を生み出すのだ。
また、ドンキでは「現場重視」の理念が徹底されており、価格設定や商品の配置、さらには販促イベントの開催まで、現場の判断で決めることができる。この柔軟な対応力が、地域の特性や季節に即したタイムリーな施策を可能にし、売上の最大化につながっている。
ドンキの本部は、現場が自由に動けるようにサポートを行うが、細かい指示は出さない。むしろ、各店舗の創造性を尊重し、現場のアイデアを最大限に活かす。このアプローチが、ドンキの店舗に独特の「個性」をもたらし、リピーターのお客さんが飽きずに足を運び続ける理由の一つだ。
このように、現場に権限を委ねることで、地域ごとの多様な顧客ニーズに迅速に応え、独自性を持った店舗運営が可能になる。それがドンキの大成功の一因であり、2兆円超えの売上を支える原動力となっている。
実は18年ほど前、ドンキの中にスロ専を設けたことがあった。換金はなし、景品交換のみ、メダル1枚10円といういわゆる“7.5号営業”。景品はドンキで扱っている商品で、ホール内には圧縮陳列がなされ、景品選び自体がひとつの楽しみだった。FC展開で4店舗まで広がったが、いつの間にか消えてしまった。あの頃のドンキは「安売りのバッタ屋」だったが、今では小売業界の4位に躍進している。
パチンコ業界が現場に権限を委譲できなかったのは、大量の現金を扱うため不正のリスクが高かったからだ。しかし、不正は社員教育とシステムの力で防げる時代。ドンキのように、現場に大きな権限を委譲して、パチンコ業界も新たな再生の道を歩む時に来ているのではないだろうか。
再生のカギは「権限移譲」にあり!

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私は老齢ではなく精神障害年金だが年金日にやるならパチではなく公営競技。あれは釘閉めなどなく客対店でもない。客同士の取り合いである。投票券売上の7~8割の。そして支給日は15日が土日なら金曜日に前倒し。ゆえに年金受給者も労働者も同じ土俵でG1競馬馬券戦える。これは遊技にはない。
カジノができたらターゲットが外国人観光客なら年金に合わせてキツくするとかないはず。というかスロ設定変えるとかできんらしいしルーレットの玉操作も都市伝説だし。
ピンバック: カジノ即時解禁希望
失礼ですが、今の店長たちって臨機応変に動く事って出来るんですか?
今の店長職は、上から言われた事やノルマを客が減ろうがどうなろうが機械的にこなすだけのようなイメージです。
時代柄業界も先細って情熱も無く、家に持ち帰って仕事をするような気概も無い。ただ「その時」がくるまで惰性で当たり障りなく過ごす。勝手なイメージですいませんが。
自分の地域の顧客ニーズを把握してそれに迅速に応え、独自性のある店舗運用なんて出来るんでしょうか…。
記事の内容は共感できます。
が、それに応える有能な店長がはたしてどのくらいいるのか…。
昔の時代の店長のような、ある意味厳しい時代の現場叩き上げで技量を有しかつ実績もあるような店長はもう希少種でしょう。
無理だ、とは言いませんしやらずにいれば育ちません。
ドンキでの成功例もあるのだから企業として権限譲渡が可能ならやっていくべきでしょう。頑張ってください。
ピンバック: 俺がガンダムだ