何と時給は1850円と高く、これは関西のアルバイト・パート時給の平均額を60%上回るものだ。この高待遇の求人は万博開催中の期間限定のものであるにもかかわらず、周辺の企業にとっては深刻な人手不足にさらなる追い打ちをかけ「万博に人材を奪われる」と懸念の声が挙がっている。
さらに、大阪府・市が出展する「大阪ヘルスケアパビリオン」の運営スタッフの時給は2000円で、さらに月額上限5万円の交通費も別途支給されるという高待遇となっている。
リクルートによると、2024年3月の関西2府4県のアルバイト・パートの募集時平均時給は1144円だ。この時給と比べると、万博の求人は非常に高いことが分かる。
この懸念に対して、大阪府の吉村知事は「完全に期間限定であり、仕事の中身が一般企業と重なるところはないと思う。普段働かない人が万博をきっかけに就労しないことにもつながる」と発言し、地域企業との競合は限定的であるとの見解を示している。
しかし、高待遇の求人が増えることで、万博開催期間中は地域全体の労働市場に大きな影響を与えることが予想される。特に、パチンコ業界への影響は無視できない。
パチンコ業界は慢性的人手不足に悩んでいる業界の一つだ。稼働率が低いホールではそんなに影響はないかもしれないが、集客力のある大型店では多くのスタッフが必要となる。万博のような大規模イベントが高待遇の求人を出すことで、パチンコ業界の人材確保がさらに難しくなる。
人材派遣会社の関係者もこの問題には頭を抱えている。
「半年間とは言え、ユニバーサルスタジオや飲食店は特に影響を受けると思います。ユニバーサルはバイト9割で運営しているために、今から対策は考えているようです。それでも、その時給の高い時だけ万博へ行くことが予想されています。時給が1500円なら兎も角、2000円が当たり前になったら民業の圧迫ですよ」と憤る。
半年間の限定なら県外からの出稼ぎ組も多少はいるだろう。
期間限定の万博と復興まで長期を要した東日本大震災を同列では語るには無理があるが、復興景気の恩恵に浴したのはキャバ嬢や風俗嬢だった。その経営者によれば、東北は慢性的人手不足で東京から出稼ぎに行く、という逆転現象が起こった。
現地採用自体が難しいので、東京から人を送り込んで欲しい、という依頼が後を絶たなかったためだ。住む場所さえ確保すれば、東京から東北に向かうことにも抵抗はなかった。
ホールの対応というとその期間だけ時給を上げることも検討しなければならないが、「そうなった時は自店舗内での異動で不足している店舗の応援に行くことになる」と推測する。

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