時代は移り変わり寮や賄付きは姿を消してしまったが、当時の名残で昼食代を支給するホールがある。金額にして500円。ワンコイン弁当も売ってはいるが、物価高騰の折、オーナーは昼食代を100円上げて600円にすることにした。
それに待ったをかけたのが息子の常務だった。
「100円上げたぐらいでは喜びません。1000円ならインパクトもあり社員も喜びます。アルバイトでも1日7時間働いてくれていたら1000円。1日3~4時間しか働いていないアルバイトは月のトータル時間を7時間で割って、それに1000円掛けた金額を支給する」
この提案にオーナーは「それでは経営が成り立たない」と反対したが常務は食い下がった。
「そんなケチ臭いことでは従業員は喜びません。1000円なら好きなものが腹一杯食べられます。その方が絶対喜びます」
経営している店舗は大型店1店舗。そこに社員・アルバイト・そうじのおばちゃんを含め66名が働いている。いずれ会社の経営を引き継ぐ常務としては、従業員に気持ちよく働いてもらいたい、という熱い思いをオーナーにぶつけた。最終的にはオーナーが折れた。
斯くして昼食代1000円が現金支給されることになった。
ホールの通勤途中に激安で有名なスーパーのオーケーで弁当を買ってくる社員がいた。オーケーの弁当は299円と激安ながら美味しくてボリュームもあることで知られている。税込みで330円。オーケーの弁当を食べている社員を見て常務は驚いた。299円は客寄せにしても赤字ではないはず、と。
従業員にすれば昼食代1000円が支給されオーケーの弁当で済ませれば700円は手元に残る。たちまち従業員の間でも評判になり、事務の女性が手が空いたときに2~3種類、20~30食分買ってきて休憩室に置くようになった。オーケーの弁当がこんなところで役に立つとは…。

支給された食事代が700円浮くのは大きかった。
短時間のアルバイトだった人たちが1日7時間働くのを希望するようになり、積極的に「シフトを入れて欲しい」と名乗り出るようになった。
食事代を500円アップしたことで、定着率も同時にアップして人手不足も解消している。常務の読みが見事に当たったことになる。

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気持ちよく長く働いてほしいという常務は、よく考えていると思う。
人手不足の中、いかに末端従業員が自主的に働いてくれるかは、会社の上次第だと思うがね。
ピンバック: 無能オーナーとグッジョブ常務
今後の経営どうするの?まさか成り立たない訳ではなかったの?
まさか確認もせずに、常務に対して適当に発言するオーナーなの?
ピンバック: カニミソ
親が反面教師ってのも悲しい事だけどもこの業界じゃよくあることなのかな?
まぁただ、従業員のやる気が出ようとも遊技客が増えないような経営を続ける限りはジリ貧経営のままでしょう。
オーナーがその場所にい続ける限り、この常務は頭が痛い日々を送る事になりそう。
ピンバック: 槍槓