メーカーはパチンコをやったことのない人の目線や発想が欲しい、ということで、広告代理店は40代のパチンコ未経験者の女性を担当につけた。
面談の段階でどの層にターゲットを絞っているのかを聞いたところ、明確な答えが返ってこないことにまずもって唖然とした。アニメ版権にしても何歳の人に遊技してもらいたいのかも漠然として、アバウト過ぎた。メーカーの担当者は「客層が幅広く多岐にわたっているので」と言い訳した。
マーケティングでは、必ずコアになるターゲットから火をつけるのが鉄則なのに、それがないことにただただ驚くばかりだった。
分かりやすい例えでいうとこうだ。
釣りをするときに船釣りで狙う魚と防波堤で狙う魚は当然違う。そうなると釣り針からエサ、仕掛けまで違う。どの魚を狙っているのかが遊技機メーカーにはその考えすらなく、ただ魚を釣りたい、という感じだった。
遊技機メーカーに相通ずるのが職人気質のグループだ。自分が作ったものを、それが好きな人が買ってくれればいい、という発想だ。これではたまにヒットを飛ばしても市場は広がらないし、バズることもない。
メーカーの売り先はホールだが、自社の遊技機をたくさんのお客さんに打ってもらいたい。そのためには、インフルエンサーを使ってSNSで発信してもらいたい、という発想であることが分かった。特に映える画面が出た時にそれをアップしてもらいたい、という本音が見えてきた。
「パチンコをしない人には、何の興味も湧かない発想。自分たちが正しくて、お客さんはついてくる発想」(広告代理店担当者)と一刀両断。
ここでメーカー担当者を諭すように次の話をした。
一斤1000円もする高級食パンと200円ほどのヤマザキの「ふんわり食パン」を目隠しして食べ比べ、どちらが美味しいかを探る実験を行った。
高給食パンが高い理由は、グレードにこだわった小麦や、バターやハチミツ、生クリームなどを配合したり、熟成や焼成に独自製法を用いたりなど、原料や製法にこだわって作られているためでもある。
一方のふんわり食パンの最大の特長はやわらかさだ。ヤマザキは、しっとり感とふんわりソフトな食感にこだわり、原料配合と焼成方法を工夫した独自の製法を開発。手に持つとはっきりとわかるやわらかさを実現した。ミミまでやわらかいのでミミ嫌いの子供がミミも残さずに食べるようになった。
被験者は味に違いがあることは分かったが、味と値段が合っていないことに気づいた。ヤマザキは価格以上においしい+αの驚きを感じた。高給食パンブームに陰りが見えていることに合点がいった。1000円出す意味がないことが分かった。
この話をした上で「お客さんが払う対価以上の驚きが必要。パチンコ台にもビックリの驚きの要素がなければ、新しいお客さんは獲得できません。まずは、驚きの発想をパチンコ台に取り込むことが必要」と言い含めた。
このアドバイスが効いたパチンコ台が登場することを期待したい。
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