全国一厳しい、といわれる大阪のタクシー業界。03年2月の道路運送法改正で運賃の自由化が認められたことから、5000円を超えると運賃が半額になる料金体系を打ち出す会社が現れた。客を奪われないために他社も渋々追従したため、今では7割以上が遠距離割引を導入している。
地方出張でタクシーをよく利用するが、そんな割引運賃なんかどこも採用していない。恐らく、大阪の現状を知れば知るほど、他府県のタクシー組合が、お互いの首を絞めるような競争は止めておこう、と申し合わせているものと思われる。ま、談合、というやつ。
そりゃそうだろう。最初は他社との差別化のために始めた遠割も、他社が追従してのでは差別化にもならない。差別化にならないのだから、最初に遠割を導入した会社の利用客は伸びず、売上だけは確実に落ちる。
運ちゃんに聞いても、遠割にしたからといって、夜の長距離客が増えたわけではない、という。サラリーマンの財布の紐は依然として固く閉まったまんまだ。
遠割のない聖域だった関空の専用タクシーが今悲鳴を上げている、という。専用タクシーを敬遠して、わざわざ対岸から遠割タクシーを呼ぶ客が増えているからだ。
自由競争は利用する側からすれば、価格が下がっていいのだが、そこで働く側の身になると手放しでは歓迎できない。
ちなみに、遠割が始まる随分前から、自分では「1人遠割」を実践していた。
ミナミなどで飲んで帰ると、タクシーなら1万近くかかっていた。そこで、乗る前に交渉するわけだ。
「○○まで5000円で行ける?」
まずは半値で交渉してみる。
当時からバブルが弾けてタクシー乗り場は空車だらけ。買い手市場は明らか。
「駄目」と断られることは覚悟だが、タクシーはいくらでもいる。
するとそんな厳しい条件でも飲んでくれるタクシーは必ずある。
狙い目は自分の裁量がある個人タクシーだ。
深夜大阪市内からタクシーに乗るときは交渉なしで乗ったことがなかったが、遠割になってからはそういうことも必要でなくなった。
この競争、パチンコの自由化の波とそっくりだ。
台数規制の撤廃、交換率の自由化…
ホールは互いの体力を消耗しただけ。
ただ、一つ違うのはタクシーと違って、客が店を自由に選べる点。
これはホールの企業努力の真価が問われる。
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