同調査では広告宣伝を5つのカテゴリに分類している。
折込・DM:121億円
ウェブ広告:287億円(市場トップ)
店内装飾:115億円
来店イベント・来店取材:282億円
その他:34億円
注目すべきは、ウェブ広告と来店イベントの二強が市場の約68%を占める構図だ。とりわけ来店イベントは市場全体の33.6%という巨大領域に成長している。
「広告宣伝ガイドライン」の改定で火がついた「第三者取材形式」は、いまやホールの集客施策の主役に躍り出た。
来店イベントの中心にいるのは、いわゆる「演者」と呼ばれる業界タレントたちだ。矢野経済研究所の推計では、パチンコ系演者は1,400〜1,700人にまで膨れ上がっている。これは一種の「演者バブル」である。
トップクラスの演者ともなれば影響力は絶大だ。最近、とあるホールのいそまる来店では抽選参加者4000人超という数値を叩き出した。
なぜここまで人が動くのか。その理由は単純で、「20スロ全体赤字」という強烈な公約が存在するからだ。設定6が大量投入され、勝率が通常時とは桁違いに跳ね上がる。勝ちに飢えた専業たちが一斉に押し寄せるのは当然の話である。
しかし、この構造はホール営業の本質的な問題を浮き彫りにする。
来店イベントの日だけ店内が溢れ返り、通常営業になると客が消える──この繰り返しにより、一般客の定着という最も重要な土台が完全に失われている。
パチンコ本来の楽しさであった「羽根モノでのんびり遊ぶ層」は、売上に直結しないと判断され切り捨てられていった。
そして残ったのは、SNSで公約を追いかけ、検証し、判別し、移動するイベント専業の大集団である。
彼らは集客数を底上げしてくれはするが、店の未来には何ひとつ寄与しない。
現場の店長はそれでも数字を求められる。そこで、低予算で呼べる無名の演者ですら使い続ける。広告宣伝費839億円のうち282億円を占めるイベント市場は、ホールの「苦し紛れの延命策」によって成長している面が強い。
しかし、この依存体質は確実にホールを蝕んでいる。
イベントによる瞬間最大風速を稼ぐ代わりに、普段のホールの実力を磨く努力が完全に止まってしまった。
羽根モノの価値を切り捨て、一般客の安心感を捨て、専業の期待値に経営の軸足を移した――その結果が、広告宣伝費だけが増え続ける欠陥市場という、今の姿である。
839億円という巨大な市場は、ホールが本来向き合うべきものを見失ったことの証左でもある。
広告よりも稼働を、演者よりも一般客を。
そうした当たり前の原点を取り戻さない限り、広告宣伝市場規模が増えたところで業界の未来は開けないはずだ。
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