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コメと犬と。オーナーの“お客さん喜ばせ計画”

ホールオーナーにとって、何よりの生きがいは「お客さんが喜ぶ顔を見ること」だ。出玉だけではなく、景品でも笑顔を引き出したい――そんな思いから、今まさに部下へ指示しているのが「地元産の新米5キロを500玉で交換」できる特別企画だ。

今の新米5キロといえば、相場は軽く4,000円を超える。それを500玉(約2,000円相当)で出すのだから、ほぼ半額セールである。しかもオーナーは太っ腹にも「最低100袋は確保せよ」と命じた。

ところが、この指示がなかなかの難題だった。まず取引のある景品問屋に打診したが、そもそもコメの卸ルートを持っていないという。ならばと近所の米屋を何軒か当たったが、「うちはお得意さんで手一杯。新規で100袋は無理」ときっぱり断られる始末。オーナーの心意気は立派だが、現場は調達先探しで四苦八苦している。

そんな苦労話とは別に、同じホールであったちょっと笑える出来事が。

ホール敷地内には社員寮があり、そこに住む主任が外に犬小屋を設けて犬を飼っている。ある日、この犬が妙に丸くなってきたことに気づいた。原因を探ると、常連客が端玉景品のお菓子やジャーキーをせっせと与えていたのだ。お客さんにしてみれば、犬におやつをあげるのは楽しいし、癒しにもなる。

しかし健康面を考え、犬小屋に「犬の健康のため、エサを与えないでください」と張り出した。

すると驚くべきことに、端玉景品の引き換え数が約3割も減ったのだ。犬が“お菓子需要”を生み出していたとは、誰も予想していなかった。

この出来事からオーナーはまたもや閃く。

「犬カフェや猫カフェがあるなら、犬パチや猫パチもアリじゃないか?」

確かに動物好きの客層には刺さる発想だ。だが、ホール業界の現実はそんなに甘くない。

出玉以外で動物で集客しようなどというのは、まさに“ネタ切れ感”の極み。今や動物愛護法や衛生基準、アレルギー対策など、役所の書類審査だけでパンクしかねない。

それでも、過去には大阪でホール内でミニブタを飼って話題になった例もある。トンちゃんの名前で可愛がられていたが、地主とオーナーの意向で飼えなくなった。

犬パチ・猫パチも最初はSNSでバズっても、結局は「犬を見に来た客が、犬だけ見て帰る」というオチになりかねない。

お客さんを喜ばせたい――その気持ちは尊い。しかし、時に業界はそれを“奇抜さ勝負”にすり替えてしまう。

コメであれ、犬であれ、企画の肝心なところは「一時的なウケ狙いではなく、継続して通う理由を作れるか」なのだ。現場スタッフが泣くのは、その線引きを考えるのが一番難しいからである。



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