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広告839億円市場の真実。来店イベント依存がホールを蝕む構造

矢野経済研究所がまとめた最新の調査によれば、2024年度のホール広告宣伝市場は839億円に到達した。前年比4.5%増、36億円もの上積みである。遊技人口は減少を続け、稼働率は右肩下がりであるにもかかわらず、広告費だけは増えている──このいびつさこそ、今のパチンコ業界の縮図といえる。

同調査では広告宣伝を5つのカテゴリに分類している。

折込・DM:121億円
ウェブ広告:287億円(市場トップ)
店内装飾:115億円
来店イベント・来店取材:282億円
その他:34億円

注目すべきは、ウェブ広告と来店イベントの二強が市場の約68%を占める構図だ。とりわけ来店イベントは市場全体の33.6%という巨大領域に成長している。

「広告宣伝ガイドライン」の改定で火がついた「第三者取材形式」は、いまやホールの集客施策の主役に躍り出た。

来店イベントの中心にいるのは、いわゆる「演者」と呼ばれる業界タレントたちだ。矢野経済研究所の推計では、パチンコ系演者は1,400〜1,700人にまで膨れ上がっている。これは一種の「演者バブル」である。

トップクラスの演者ともなれば影響力は絶大だ。最近、とあるホールのいそまる来店では抽選参加者4000人超という数値を叩き出した。

なぜここまで人が動くのか。その理由は単純で、「20スロ全体赤字」という強烈な公約が存在するからだ。設定6が大量投入され、勝率が通常時とは桁違いに跳ね上がる。勝ちに飢えた専業たちが一斉に押し寄せるのは当然の話である。

しかし、この構造はホール営業の本質的な問題を浮き彫りにする。

来店イベントの日だけ店内が溢れ返り、通常営業になると客が消える──この繰り返しにより、一般客の定着という最も重要な土台が完全に失われている。

パチンコ本来の楽しさであった「羽根モノでのんびり遊ぶ層」は、売上に直結しないと判断され切り捨てられていった。

そして残ったのは、SNSで公約を追いかけ、検証し、判別し、移動するイベント専業の大集団である。

彼らは集客数を底上げしてくれはするが、店の未来には何ひとつ寄与しない。

現場の店長はそれでも数字を求められる。そこで、低予算で呼べる無名の演者ですら使い続ける。広告宣伝費839億円のうち282億円を占めるイベント市場は、ホールの「苦し紛れの延命策」によって成長している面が強い。

しかし、この依存体質は確実にホールを蝕んでいる。
イベントによる瞬間最大風速を稼ぐ代わりに、普段のホールの実力を磨く努力が完全に止まってしまった。

羽根モノの価値を切り捨て、一般客の安心感を捨て、専業の期待値に経営の軸足を移した――その結果が、広告宣伝費だけが増え続ける欠陥市場という、今の姿である。

839億円という巨大な市場は、ホールが本来向き合うべきものを見失ったことの証左でもある。

広告よりも稼働を、演者よりも一般客を。

そうした当たり前の原点を取り戻さない限り、広告宣伝市場規模が増えたところで業界の未来は開けないはずだ。


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コメント[ コメント記入欄を表示 ]

  1. これ監督官庁に、演者・取材公約を使った特定日煽りを全て禁止にするようにして下さいとお願いすれば終わりますよね?
    全国一斉に出来なくなるから、丸々282億円浮きますよ?早くやりましょう
    ナナシーの打ち手  »このコメントに返信
  2. ピンバック: ナナシーの打ち手

  3. 20スロ5スロ併設の関西の某ホールがGW直前にイベ実施。
    しかし未明の時間帯から抽選並びの軍団が大挙襲来でその段階からマナーの悪い連中が多数見受けられた為、その日は急遽設定を変更し、20スロではなくて5スロで全台系を行ったようだ。そしてその翌日だったか翌々日だったかは忘れたが、20スロに高設定を投入し、常連客や一般客向けに還元していたとの事である。
    通りすがりの風来坊  »このコメントに返信
  4. ピンバック: 通りすがりの風来坊

  5. 地元では打たず近隣の市にある10店舗未満の中小チェーン店に打ちに行く事があるが、昨年くらいからたまに演者を呼ぶようになった。もちろん知名度がある人ではない。スロを打っている。
    スタッフ1人ついているが、あれでどの程度の経費かかるんだろう、そして何の意味があるのだろうって思って見ている。
    定年リーマン  »このコメントに返信
  6. ピンバック: 定年リーマン

  7. 某来店イベントサイトを見てみたら大手から中堅の有名ホールが勢ぞろいしてますね。効果があるからやっているのだろうと思いますが。広告宣伝ガイドラインによってポスターなどの煽りを禁止すればするほど取材系に流れるという構図ですね。これではやってることがすべて骨抜きですよね。つくづく本音と建前を使い分けてる業界だなと思います。

    とはいうものの私はイベントの何がいけないのだという立場なので何でもやっていいと思ってるのですが、安価にできるポスター掲示などは厳しく取り締まるのに高価な取材は黙認となると弱いホールは死ねという方向性ですよね。だったら広告宣伝ガイドラインの方を緩めてやったらいいのではないかと思うのですが。お偉方の前では言えませんが。
    crazydoctor  »このコメントに返信
  8. ピンバック: crazydoctor

  9. 機械代金50万時代に、ハネモノが何の価値がある。
    59.135.100.244   »このコメントに返信
  10. ピンバック: 59.135.100.244 

    • SANKYOは2026年秋頃、羽根モノ機の新規開発・低価格での提供を予定している。

      ホールに導入しやすい低価格での展開を目指すとともに実店舗でハネモノに触れてもらう機会の拡大を図る。

      そのために、SANKYO IZM株式会社を設立している。

      ハネモノに価値があるからやるんじゃないか。
      pachinko-nippo  »このコメントに返信
    • ピンバック: pachinko-nippo

    • 羽物に価値を感じないのは、打ち手の意見としてはかなり不味いと思いますよ(個人的にはあれこそ、パチンコだと思うので)
      金がスピーディーに溶けるだけのフィーバーに価値があると言って良いのはメーカーとホールの人間だけだと思います
      ナナシーの打ち手  »このコメントに返信
    • ピンバック: ナナシーの打ち手

  11. 打ち手としては当然ハネモノに価値はあると考えますが、sankyoのクギタマなるプロジェクトにはちょっと矛盾を感じてしまいますね。
    そもそもハネモノの価値を下げたのは長年のメーカーの遊技機価格とその売り方が大きな原因で、ホール企業に圧力をかけたからですよね。
    ホールでは本当はハネモノを置きたいが新台費用の支出の関係で稼働や利益率がフィーバー機に比べ圧倒的に劣るハネモノを置く事が難しくなった。
    それを今更その原因を作った遊技機メーカーがその価値を上げるべくハネモノ、ひいては玉の動きを純粋に楽しむパチンコ本来の楽しさ面白さを普及させるプロジェクトの推進、と言われても「は?」と思わざるを得ないです。
    これが例えばメーカーにも改心が見られ価格の値下げや機歴・抱き合わせ商法等が少なくなったもしくは無くなった、とかであるなら前へ進もうとしているという意味で理解はできます。
    現在進行形で行われてますよね?フィールズに限って言えばシンエヴァかなんかで問題視されたばかりですよね?

    単純にハネモノを普及すればいいわけではないでしょう。
    そして、ハネモノが無くなったからパチンコ人気が低く悪くなったわけではないでしょう。
    メーカーが、ホールで十分に利益が出せるような価格設定で、かつユーザーもバランス良く遊技が楽しめるような環境であれば、今のフィーバー機一辺倒でも問題にはなりませんよ。
    要するにメーカーが作り上げたと言っても過言ではない今の厳しい状況を「ホールにはパチンコを純粋に楽しむハネモノのような機械がない」と押し付けているようにしか見えないのです。
    原因を作ったのは誰なんだろうというところですよ。いや、メーカーも厳しいんだとは思いますが。

    ハネモノに価値はあります。そこは同意です。背景抜きで考えれば取り組み自体も良い事ですよね。
    ですが機械代50万の時代に、と言われれば、そしてそのあくどい販売方法が平常営業の状態で続いている時代に、利益の出にくいハネモノに価値を出すと息巻いているのが「遊技機メーカー」というところに疑問を感じる業界人はいないのでしょうか?そりゃ、メーカーが全ての機械を作るかどうかの実権を握って意のままに動かしているのだから仕方ないかもしれませんけど。
    業界人と一括りにするのではなく「遊技機メーカー業界人」と範囲を限定すれば、おそらくハネモノに価値を感じている人は極少数だと予想します。
    この「クギタマ」プロジェクトの当のsankyo関係者でさえ本心ではハネモノに価値を感じている人は少ない、と思ってしまいますね。

    要するに、自己保身のための建前だと感じてしまうのです。
    とは言え、このプロジェクトを批判する側ではありません。少しでも業界が良くなってくれるなら頑張ってほしいとは思っています。
    長文失礼  »このコメントに返信
  12. ピンバック: 長文失礼

  13. 「のんびり遊べていたハネモノ」の射幸性が大幅に上がったのは、
    SANKYOの「サンダードラゴン」からのような気がする。

    あと、低価格で導入できたからといって薄利で運用するか店がどれだけあるのかな。
    疲れ目  »このコメントに返信
  14. ピンバック: 疲れ目

  15. 追うとハマリ、諦めて帰宅すると爆連。そんな怪しいプログラムを組む事が可能な機械にカネを突っ込むなんてのは30年以上前のデフレ時代かつハイリスクハイリターンの4号機だからこそ出来た事で今のこの物価高騰の時代にはスマスロはそぐわない。だからユーザーが激減している。
    通りすがりの風来坊  »このコメントに返信
  16. ピンバック: 通りすがりの風来坊

  17. 店として儲かるのか分かりませんが2スロに客がついてました
    crazydoctor  »このコメントに返信
  18. ピンバック: crazydoctor

  19. そもそも羽根物が全盛期は定量制で誰でも気軽に遊べて勝てる可能性があったからだと思う。
    無制限の等価営業になってから羽根物は釘を開けるとプロに終日打たれ抜かれるため辛めの釘調整で一般客は遊べなくなった。
    本気で羽根物で集客したいなら等価で定量2500発の換金して約1万円ぐらいなしないと駄目だろうな。打ち止め解放もプロを禁止するなど徹底して管理をしてこそ生きてくると
    思う。
    ただ店がそこまで手間をかけてまでやろうと思わないんだろうし。
    それなら客が着かなくてもセブン機でガチ締めして粗利取ったほうが楽だし
    1パチの初めのころもあんな営業したって利益が取れなく儲からないとバカにしていたホールがたくさんあったが、今となったては1パチは当たり前になってるんだから羽根物もやり方次第では化けるかもね
    もとメーカー営業マン  »このコメントに返信
  20. ピンバック: もとメーカー営業マン

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