Aさんの世代の少年野球では、「勝たなければ意味がない」という考え方が当たり前だった。負けた悔しさを噛みしめ、次こそ勝つために何をするかを考える。その積み重ねが闘争心を育てる。
一方、近年の若い監督たちは、勝敗に重きを置かず、楽しさや過程を重視する傾向がある。その結果、子どもたちの闘争心に明確な違いが表れるのだという。
Aさんはこう前置きする。
「昔は時間さえあれば素振りをした。時間さえあればパチンコを打った。どちらも好きだったからだ」
そして、核心となる“素振り理論”をこう語る。
「バットさえあれば、どこでも素振りができる。打ちたい、負けたくないという気持ちを養うために素振りをする。でも今のパチンコ店では、その素振りができない。昔は、素振り感覚でパチンコが打てた。気軽な金額で、しかも全部4パチだったのに、それでも成り立っていた。今は1パチでも素振りにならない。今のパチンコは、少年野球からいきなりプロ野球に行くようなものだ」
この「素振り」とは、本番前の練習であり、失敗を重ねながら感覚を養う行為だ。パチンコに置き換えれば、大きなリスクを負わずに遊びながら勝ち負けを体験できる環境のことだろう。
ところが現在は、その練習の場が失われている。練習もせずに試合に出れば、負けるのは当たり前だ。勝つ喜びを知る前に負けが続けば、人は静かに離れていく。
Aさん自身、大好きだったパチンコに通う頻度は確実に落ちているという。理由は単純だ。カネがかかりすぎるからだ。
1パチは確かに貸し玉レートは低い。しかし、1個返しで回らない調整では、とても“素振り”とは言えない。かといって、今の4パチは初心者や久しぶりの客が気軽に触れる世界ではなくなっている。
素振りができる環境とは、大しておカネを使わなくても、当たり外れを体験し、また打ちたいと思える遊技機があることだ。
遊べる4パチを用意することこそが、パチンコ本来の裾野を広げる近道なのではないか。少年野球の現場に立ち続けるAさんの言葉は、今のホール環境の問題点を、驚くほど的確に突いている。
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