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パチンコ業界にも忍び寄るニセ警察官特殊詐欺

2月12日、警察庁が公表した令和7年度の特殊詐欺およびSNS型投資・ロマンス詐欺の被害総額は、実に3241億円に上った。なかでも深刻なのがニセ警察官を騙る手口だ。

認知件数は1万936件で特殊詐欺全体の約4割、被害額は985億円と約7割を占める。年代別では30代が2221件(20.3%)で最多となり、「特殊詐欺=高齢者」という従来のターゲットイメージがもはや通用しないことを表している。


その魔の手は、パチンコ業界にも忍び寄っている。

あるホール店長のスマホに、千葉県警の刑事を名乗る男から電話が入った。

「あなたの不正の証拠をつかんでいる。損害賠償請求を起こす準備をしているが、被害者は示談に応じるなら刑事事件にはしないと言っている。どうしますか?」という内容だった。

昔から不正問題が取り沙汰され、設定漏洩などは根絶できていない。それだけに「不正」という言葉は心理的な揺さぶりをかけるには効果的だ。

しかし、店長は冷静だった。

「どの不正なのか具体的に言ってもらわないと分からない」ときっぱり返答。途端に相手はしどろもどろになり、ニセ警察官による詐欺だと見抜いた。

ちなみに、提示された示談金は9万9000円。高すぎず、しかし安すぎもしない“絶妙”な金額設定だ。もし少しでも心当たりがあれば、支払ってしまいかねない。しかし、警察が電話で金を要求することは絶対にない。

さらに3日後、同じチェーンの別ホールの一般社員にも同様の電話があり、こちらは8万8000円を要求された。短期間に2件発生したことで、ホール企業に勤務している社員の個人情報が外部に漏れている可能性まで疑われた。

同社は直ちに全社員・アルバイトへ通話録音アプリの導入を指示し、注意喚起を徹底した。被害は未然に防げたが、標的は確実に広がっている。

特殊詐欺グループは「トクリュウ」と呼ばれる匿名・流動型犯罪組織を拠点に、巧妙なシナリオを描き続けている。最近では「+1」(アメリカ・カナダ)や「+44」(イギリス)で始まる国際電話を使った手口も急増中だ。国際電話からの「迷惑電話ブロックアプリ」で着信そのものを拒否することも必要だ。

「自分は大丈夫」という過信を捨て、今回の事例のように「会社全体」で即座に情報を共有する体制を築くことが最大の防御となる。



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