筆者の過去の職場にも似たような人はいた。入社初日の午前中だけ働いて昼休みで消えた者、初月の給料をもらった瞬間に姿を消した者は一人や二人ではなかった。その職場は、社長がパワハラ体質丸出しで、超がつくほどのブラック企業だった。経営は火の車で、経理担当曰く「会社にカネはない」。辞めていく社員を誰も責められない状況だった。だから「辞めたくなる理由」が明確にあった。
しかし今回のホールのケースは違う。入店して30分で「何か違う」と言い残し辞める。仕事の内容を理解する以前の話だ。このホールは昼食の賄付きなのだが、きっちりご飯だけは食べていた。
それでも給料日になると、そのアルバイトから一本の電話が入った。
「30分分の給料が振り込まれていません」
初日の30分と言えば、実働らしい実働はほとんどない。オリエンテーションや仕事の説明を受けている段階で、仕事をこなしたとは言い難い。それでも本人にとっては拘束時間が「働いた時間」だったのだろう。
オーナーは「振り込んでおけ」と指示を出した。結果的に、30分の労働(?)に対して支払われた金額は、振込手数料の500円とあまり変わらない金額だった。
これで一件落着かと思いきや、事態は意外な方向に転がった。
オーナーは、「こんな面倒くさい人間を採用するようでは駄目だ」として、店長に降格処分を下したのだ。
確かに、面接の段階で相手の人間性や適性を見抜く力は、店長職に求められる資質のひとつではある。しかし、たった30分で辞めるような人物を完全に見抜くのは、ほとんど不可能に近い。むしろこのケースでは、店長よりも「辞めた側の常識」が問われるべきではないか。
さらに言えば、店長を処分するオーナーの姿勢にも危うさがある。感情的な判断で降格を命じるのは、組織としての一線を越える可能性がある。いまの時代、こうした対応が「パワハラ」だとして訴えられることも十分あり得る。アルバイト一人の早退騒動が、会社全体の労務リスクに発展しかねないのだ。
この一件は、人材不足に悩む業界の縮図でもある。採用しても続かない、続かないから厳しく当たる、厳しく当たるからますます辞める──負のスパイラルだ。
結局のところ、今回の騒動が教えてくれるのは「人を見抜く難しさ」と「感情で動く経営の危うさ」だった。
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ついでに店長も兼任すれば良いのでは(こんなつまらん事で降格させられた店長もじき辞めるでしょうし)?
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あと、このオーナーの下では働きたいとは思わない。
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