ところが、その景品ラインナップに新鮮味が乏しくなっている。液晶テレビ、ダイソンの掃除機や扇風機、炊飯器、ホットプレート、オーブントースターといった家電製品。あるいは折り畳み自転車やヨギボー、さらには食品の詰め合わせなど。
確かに一見豪華ではあるが、目新しさがなく、いささかマンネリ化しているのは否めない。
実際、各ホールでは「1等が当たったにもかかわらず取りに来ない」というケースすら発生している。結局、倉庫には余った景品が山積みとなり、最終的に社員に配られるという笑えない状況もある。これでは「感謝デー」の本来の目的が霞んでしまう。
そんな折、業界関係者の目に留まったのが「防災の日」の特集で紹介されていたサバイバルフーズのチキンカレーだ。これはフリーズドライ状態で25年間も保存できる非常食。お湯を注げばすぐに食べられる優れモノだ。
防災グッズといえば必要性を頭では理解しつつも、自ら積極的に購入する人は意外と少ない。だからこそ、景品としての魅力があるのではないだろうか。
例えば、保存水や非常用トイレ、携帯充電器、簡易ライトなどを防災リュックに詰め合わせた「防災セット」。あるいは、家族単位で備えられる非常食のパック。どれも生活の中で緊急時に役立つものでありながら、「欲しいけれど買わないもの」として景品の適性が高い。何より、防災意識の啓発という社会的意義も兼ね備える。
もしファン感謝デーを9月1日の「防災の日」に合わせて実施すれば、イベントの意味合いはさらに強まる。
単なる景品抽選会から、「来店客と地域社会を守る意識を共有する日」へと格上げできるのだ。ホールにとっても、「社会に貢献する遊技産業」というイメージの醸成につながる。
従来の家電や雑貨では、結局のところ「当たればラッキー」「もらえたら得」という一過性の喜びに留まってしまう。しかし防災グッズならば、家庭に長く残り、実際に役立つ可能性がある。その瞬間、景品は単なるオマケから「安心の備え」へと変わるのである。
パチンコ業界は長らく「ギャンブル依存」や「射幸心煽り」といった負のイメージに悩まされてきた。だからこそ、景品の見直しを通じて、社会とつながる新しい形を打ち出すことは大きな意義を持つはずだ。
マンネリ化した感謝デーを、地域と共生する未来志向のイベントに生まれ変わらせるチャンスでもある。
防災グッズを景品にすることは、業界に新しい風を吹き込むかもしれない。
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