パチンコ日報

ニュースにならないニュースの宝庫 

釘を教え続ける理由

これからのパチンコ業界に楽観的なビジョンを抱いている塾生は決して多くありません。では悲観的かというとそうでもなさそうです。現場ではあまり未来の事をさほど考えていないのでしょうか。また1年後には封入式が導入されるというニュースも入ってきており、釘を叩く業務も無くなっていくのだろうと考える人たちも多いのが現状です。

この状況を山田塾のビジネスという観点から見れば間違いなく右肩がダダ下がりのビジネスであることは先刻承知のことでもあります。それなのにまだこの仕事を続けているのか。自分でも数年前から幾度となく自問自答しておりました。

私がこの仕事を続ける理由の一つとして、起業はいつでも誰でも勝手にする事はできるが、廃業はそういかない。顧客がいる間は勝手にその活動に終止符を打つことは誠に自己中心的な思考であり、法人としてのモラルに大きく欠けると考えるからです。

もっともこの考え方は社員がいないから成立する部分である事は否めませんが。毎年の初頭に決めていることがあります。新規顧客からの受講申し込みがなくなったら廃業しようと。ところが何故か新規のお申し込みが続くのです。だから辞めることができないのですね。

もう一つの理由は見ず知らずの人間の成長をリアルに感じることができるから、それが楽しみで止めることができないという極めて私的な理由です。

全くの素人さんが初めて釘の研修に参加するとき、緊張でハンマーも釘に当たらず、300本以上の釘がある海を叩かせると90分以上かかるものです。これが5日後には60分で叩けるようになり、3ヶ月後には20分で叩けるようになるのです。ただそれだけのことです。

が、およそ社会活動の中で自己成長を実感する機会が乏しい中、自分の技量が上がるという極めて単純なことに塾生は喜びを感じるようです。そしてそれを傍で見ている私もとても嬉しいのです。

私は自分の「嬉しい」を探しながら生きているのではないかと思うのです。その「嬉しい」が他人様と共有ができたり、その「嬉しい」が他人様の役に立ったりすれば、その嬉しさは何倍にも膨れ上がります。だからこの仕事を続けているのだと思います。

そして本人が釘の習得を通して身についた努力とか忍耐とかいう負の感情を自分で克服することができるという事実を実感すれば、たとえこの先他の仕事に就こうとも、その経験は必ず活かされると信じてやまないからです。

未来や希望や夢。そういった言葉に振り回されず、今を懸命に過ごすというのが釘においてとても重要なポイントです。それは決して大袈裟ではなく人生を生きるということにおいても同じではないでしょうか。



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釘はものづくり

商売は物の出来栄えとそれに見合った価格で決まります。
山田塾で釘とは何かをご指導する際に「釘はものづくり」だとお話をします。

物をつくるにあたって何が大切なのか?
技術か?それとも向き合う姿勢か?はたまた戦略か?
いずれも必要な項目ではありますが、充分ではありません。
私の考え方はそのものをつくる熱情が本人にあるのか、ないのかだと伝えます。

熱情のボルテージが高い人はすぐに決断を下します。やるかやらないかの決断です。
熱情のボルテージが低い人はやらなければいけないし、面倒臭いし、不安だし、どうしよう。
という具合に決断するまでにかなりの時間を要することになります。

良いものづくりは試行の回数がものを言います。だから迷っている時間が惜しいのです。
とは言え、経験のないものが一朝一夕に良いものを作れるはずもありません。だから失敗作でもいいから試行の連続性が必要不可欠なのです。

行動に移せば必ず結果が出ます。悪い結果、良い結果。いずれにせよ自分の目に見える現象が起きるわけです。良い結果には良い原因もあり、たまたまのラッキーがあったりもします。ところが悪い結果には必ず悪い原因があるものです。

その悪い原因とは何か。知識不足なのか。技術力の貧弱さなのか。経験の不足なのか。
と、理由は様々です。ですがこれらは単なる理由であって、つまり言い訳であって原因ではありません。悪い原因とはものづくりに対する熱情の低さしかないと私は伝えます。

考えてみてください。台売り10000円、総台数300台、粗利率10%のお店があるとします。
これは月間売り上げが9000万、月間粗利が900万というボリュームです。

この数字の原資は機械に打たれている釘の状態がそうさせるのです。これほどの大仕事をしているのにものづくりに対する熱情が低いということは言語道断だと伝えます。

パチンコ業界の未来だとか、機械が悪いだとか色々理由はあるでしょう。それでも熱情を持って今日のものづくりに励むことが肝要です。個人ができることには限りがあるのもですから。大勢を嘆かずやれることを淡々と、が釘の、ものづくりの本質です。


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名機!ハネものタイプ

私個人的にはハネものを超える機械はもう出てこないだろうと思っています。

ハネものは作り手の知恵の集大成であり、打ち手が良い意味での攻略法を探しつつ、楽しみながら遊技できる機械です。そこには当然勝ち負けもありますが、それを超えて集中できる時間が私にとってたまらなく楽しいものになるのです。

それがどうして今、ウケないのか?
私なりに考えてみました。

1. ラウンド抽選をデジタルで行うから
2. それによって差玉の調整ができないから
3. 釘のメカニズムを知らないで調整を行うから出る・出ないが極端になるから
4. 釘の硬度が柔らかくなったから

今回はこのうちの4番について少し説明しようと思います。

パチンコの機械は釘の硬さがあらかじめ決められているといいます。硬さを表す単位はビッカースと称され、150Hv〜230Hv内で作りなさいと言う約束事があるらしいです。
(裏は取っていません。念の為)

これは数の値が高くなればなるほど硬いことを示す単位だとも聞きました。昔の機械はそのほとんどが210〜220Hv程度だったとも聞きました。中でも西陣やニューギンの釘は硬くてメーカーの営業マンさんが「手が痺れて根を上げていた」と言う話がまことしやかに伝わってきたこともあります。

釘は硬いと反発する力が増幅されますから玉が当たって跳ねる速度が速くなり、結果スランプ現象が起きやすくなります。一発台やハネものの魅力はどこでいつどのように玉が入るのかが予測できない(スランプ状態)から楽しいわけです。

余談ですが、スランプは昔の機械には必要なものであり、今の機械では敬遠されがちなものです。なので、昔釘を打たれていた方は「スランプは必要だ」と言われますし、現在では「安定して回さないと客がつかない」という具合にスランプの是非が問われるようなお話もこの釘の硬さが起因していることを知れば、なるほどと納得してしまう部分もあるのではないでしょうか。

ハネものの役物に玉が入賞するためには一定の速度が不可欠です。そこで硬めの釘であれば自然発生するスランプがゲームを面白いものにするでしょう。ところがスタート始動口は速い玉を嫌います。それは入賞口が横に受けている為です。つまり上段では速い玉が、下段では遅い玉が必要とされるという理屈になるのです。

この理屈を知った上で試行錯誤しながらお客さんに長時間打ってもらえるようなモノづくりを延々とし続けなければ高稼働を望むことはできないでしょう。

今回はほとんど私の独断と偏見で書いた記事になりましたが、皆さんのハネものに対する思い出や考え方などございましたら是非お聞かせください。


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接客マニュアル不要論

私はこの「接客」という言葉をあまり歓迎していません。
何かその言葉を安易に使用し、私たちに仕事をしたような錯覚を起こすからです。

ここで言葉の遊びをしても仕方がないのであまり深く申しませんが、ホールでは接客の教育なるものが必ずと言っていいほど存在しています。

その際、技術としてのやり方の指導はしますが、なんのための接客教育なのか、つまりそのあり方について説いているホールは数少ないものです。

やり方はなんでもいいのです。頭をちょこんと下げるも良いし、腰を折って深々とお辞儀をするのも良いです。大切なことは接客技術(やり方)よりお客さんにどのように接するべきなのかをもっと考えるという点です。

パチンコの場合、同じお客さんでもその日の状態は全く変わります。毎日来られていても勝っている日もあれば負けている日もありますね。

勝っている時は良いのです。放っておけば良いのですから。普通に接していてなんの問題もありません。難しいのは負けている時の接し方です。

前回、前々回と顧客が消費する時間と金額に対してそれとなく記事を書きました。
つまり店舗側は顧客の消費金額にもっと敏感になりましょうという持論を書いたわけです

仮に朝一番9時に来られたお客さんが、昼の12時まで一回も大当たりを引く事ができませんでした。

その機械が1時間に平均16000円吸い込んだとします。
そのお客さんが一度も席を立たず黙々と3時間打っていた場合、3時間で48000円のお金を使った計算になりますね。

その刹那「お客さま、会員カードのお申し込みはお済みですか?」等の言葉が投げかけられた時、私たちはどのような気分になるのでしょうか。

質問をしてみると「ウザい」「台パンしたくなる」「イライラする」「ムカつく」といった非常にナーバスな答えが返ってきます。顧客の心理は絶えず揺れ動いています。

その方々にマニュアルで接客をするということに無理があるのではないでしょうか。

店長はもっと顧客の動向に目をやるべきです。そしてその思考をスタッフ達と共有できたなら、それは接客のあり方を皆で研究し、共有できるきっかけとなると思うのです。


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数値合わせは初心者の仕事

20年前のお話です。

とあるお店の店長と閉店後に釘帳を見ながら打ち合わせをしていた時のことです。

「副店長呼んできて」
とそばにいる主任に大きな声で店長は言いました。

間も無く副店長が事務所にやってくると

「副店長、この388番台の特賞が1回なんだけど、どうなってる?」

「どうなってる?あ、はい。確率が悪かった・・・」

「違うだろ!俺はこの台に座っているお客さんが一日中打っているのを知っている。君はそれを知っているか?」

「いえ、すいません。知りません」

「この台アウトが58000個入ってるんだよ。それで特賞が1回。この現実をどう思うのか?」

「いや、大当たりは僕の力で操作できるものではないので」

ややむっとした表情で副店長はそう答えました。

「そんなことは俺でもわかる。問題はここに座ったお客がかなりの金を使い、その結果1回しか大当たりを引けてない。どれだけの損でどんな思いで帰っていったのか。副店長君はそこまで考えた事があるのか?」

副店長は無言でした。

「明日はこの台、どんなことをしてでも差玉をマイナスにしろ!心の中で客に謝れ!」

「・・・分かりました」

この結果がどうなったのか。副店長は何をしたのか。そして388番台に座ったお客さんがどんな気持ちで翌日またこの店に来たのかを知りません。

私の記憶が正しければこの店長、当時37歳だったと思います。
そばでその一部始終を聞いていた私はただただ脱帽するばかりでした。

ものづくり、釘はその人の思想が現れます。誠心誠意、とことん取り組むのか。数値が合えばいいのか。様々な考え方があるでしょう。

私はこの店長の思想に大いに共感します。少々できた気でいた副店長は自分の仕事が100点だと思っていたことでしょう。

釘帳を見てみればスタートからベースまできっちりとその数値が統一されていて非の打ち所がないくらいです。しかしそれは作り手のマスターベーション。良いものは顧客に評価されて初めてものとして存在する事ができるのではないでしょうか。それを表すのが差玉です。

店長はその視線を顧客の正面に据えてもらいたいものです。


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