「先生、よろしくお願いします。○○と申します」と挨拶を私にしてくれました。
私は「挨拶はよろしいが、そのつくり笑顔はやめなさい」と返します。大概の若者はそこで一瞬凍りつくのです。
会社で義務化された笑顔の挨拶をしたのに何故注意を受けるのか? 合点がいかないと言う様子でまさにフリーズしてしまいました。
「君はその一見素晴らしい笑顔を家に戻りご両親にもそう接しているのですか?」
と言う問いに対して、「はい、そうしています」と答える者は皆無です。
企業側がそれを必要と見込み、社員に接客の手法を義務付けることはごく普通に行われていることです。今ではそれがスタンダードになりつつあります。
しかし何故それが必要なのかをきちんと教えることができる上司の数が足りません。そもそもパチンコをしにきているお客さんに笑顔は必要なのか、と言う問いかけから始めるべきです。
会社の規定では笑顔での挨拶は既に決まっている事項ですが、笑顔が何故必要なのかを考えさせないと、また伝えないとその行動に含まれる意義が半減してしまいます。
私の授業は「本音の授業」だと口癖のように言い伝えます。
だから綺麗事はやめてほしい。釘が好きか? 仕事は楽しいか? 会社はどうか? 取り止めのない質問への答えはまさに綺麗事のオンパレードから始まります。それは充分に想定していますから、「それが本音ですか」と意地悪な問いかけを続けるのです。
本音であるはずがありません。みんなきちんとした社会人を気取って仕事をしているわけですから、常識を覆すような答えを言ってはいけないと自然に思っています。まずそこに問題があるのです。
企業がこのように上辺だけの躾をして社員が何も考えずにそれを順守する。それが顧客にとって有益であれば何も問題はないのですが、さほどでもない場合根本的に見直さなければなりません。何せその教育には莫大な時間とお金、つまり会社の資源を注ぎ込んでいるわけですから、増収増益を果たすと言う観点からすれば大問題だと捉えるべきでしょう。
では何故笑顔が良いのか、です。
それは店で取り扱う商品を顧客に使っていただく際、または購入していただく際に仏頂面より笑顔の方が単純に良いからだと私は解釈します。
ケーキ屋さんの販売員さんもパチンコホールの店員さんも同じです。「ものをつくる人」と「ものを買う人」をつなぐ役目を担う「ものを売る人」。だから皆さんの存在が、笑顔が必要なのです、と「ものをつくる人」がその意味を伝えず笑顔というやり方だけを押し付けるのはナンセンスです。
最後に「一生懸命良いものを作ったから皆さんも一生懸命売ってください。よろしくお願いします」と伝えれば尚のことよろしいのではないでしょうか。

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