しかし、この年に業界を揺るがす出来事があった。
風営法施行規則の改正でパチンコの種類区別が廃止され、ハンドルのバイブ機能や抽選演出スキップ機能、連続予告(擬似連続予告は除く)が禁止された。 さらには、大当り確率の下限が1/500に緩和される、確変割合の上限や高確率の上限など、かつてのルールが徐々に廃止され、業界の在り方は大きく変わろうとしていた。
この変化の波を、都内のホールオーナーの1人は敏感に察知した。オーナーは業界の将来に不安を抱き、不動産や飲食業といった別のビジネスに投資をシフトしていく。その理由は明白だ。パチンコ業界の将来は不透明であり、長期的に見てリスクが高いと感じたからである。
不動産業は順調だった。土地やビルの購入、賃貸業で利益を上げ、安定した収入源を確保することができた。
一方の飲食業は大きな浮き沈みを繰り返してきた。 例えば、ブームと見るやクレープ、タピオカミルクティー、ゴンチャ、高級食パン、チーズダッカルビなど片っ端から手を出した。
ブームは所詮一過性で終わる。最初から織り込み済みで、短期決戦を見据えていたものの、ブームが去るのは思った以上に早く過ぎ去り、多くの店が閉店の憂き目に遭う。
結果として、現在残っている飲食店の数は80店舗余。結構、 多いと思うが、この20年間5倍以上の店を閉店したというから、オーナーの苦労は察するに余りある。
飲食店はホール従業員を活用した直営店と、暖簾分けをした独立型の2種類で行われていたが、予想以上に独立型の方が成功するケースが多かった。独立型の店舗は自分の裁量で自由に経営ができるだけでなく、努力した分、見返りも多いため、結果として成功するのだ。
飲食業では多くの失敗から、成功する秘訣を学んだ。その一つが、「酒を提供できる業態が成功しやすい」ということ。 素人でも酒を提供した方が、客単価が上がることぐらいは分かる。
パチンコ営業の極意である押したり、引いたりの駆け引きのようなものを飲食業にも応用している。それが飲食業での特別感=ハッピーアワー=パチンコの出す、だ。特にサワー系はハッピーアワーで安く提供しても損することはない。
口開けと同時に集客するのはパチンコの新台入れ替えに相通じるものがある。
ホール経営一本で勝負し続けることは、リスクが高く、規制や市場の変化に影響を受けやすい。そのため、安定した収益を維持し、業界の不透明性に備えるためには、多角化が賢明な戦略でもある。複数の収入源を持つことで、一つの業界に依存するリスクを軽減できます。特に不動産や飲食業のような比較的安定した業界への進出は、収益の安定化やビジネスチャンスの拡大につながる。

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