オーナーは顧問弁護士に相談した。
「設定漏洩はスマホを使って情報を流している可能性が高い。そのため、スマホの履歴を確認することで不正が発見できる」と弁護士はアドバイスした。作戦を練り、用意周到に準備を進めた。
作戦が実行に移される日、オーナーは店長を呼び出し、単刀直入にこう切り出した。
「最近、設定漏洩の噂が流れている。店長には潔白を証明してもらいたい」
突然の指摘だが動揺することなく店長は即座に「絶対に私はやってない。信じてください」と真っ向から否定した。
しかし、オーナーはすぐに次に一手を打った。
「もし警察に被害届けを出すことになれば、任意でスマホもチェックされることになるかも知れない。仮にデータを消去しても、警察はそれを復元して調べ上げる」
「任意」「スマホ」「復元」というキーワードに店長に動揺が走った。 オーナーはこの反応を逃さなかった。さらに追い込んだ。
「警察には被害届は出さない。その代わり、懲戒解雇で手を打とう」
この提案に店長は観念した。クビは兎も角、前科が付かない方を選ぶしかなかった。
店長は、2人の特定人物に台番号をLINEで伝えていた。 履歴を遡ると2年前からこの不正行為が続いていたことが判明した。
設定漏洩でどれだけ稼いだのか、と深く追及されることはなかった。損害賠償を求められないことに店長は安堵した。
通常、不正を行う側は証拠が残らないように細心の注意を払うものだ。闇バイトでは履歴が残らないテレグラムを使うのが一般的だ。しかし、この店長はLINEを使っていたことが“無防備”とも言える。
証拠を残さないために、留守番電話に台番号を吹き込んだり、外付けの大型LEDビジョンに閉店前に数字を流すなど、様々な手段が考案されている。このような行為が蔓延している背景には、ホール内の情報管理がまだ十分ではないということだ。
設定漏れを完全に防ぐことは難しい。
しかし、将来的にはスロットの設定はAIによって自動的に行われる時代が到来すると予測されている。過去のデータを基に最適な設定を自動で決めることができるようになれば、データは本社で一元管理。店長すら設定内容を把握することはできない。
AIや新しい技術を積極的に導入し、従業員が設定に関与できないシステムを構築することが、設定漏洩防止の解決策の一つにもなる。
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