パチンコ業界の新卒採用が定着すると、そんなことは過去の笑い話になってきてはいる。業界でもトップを切って新卒採用したホール企業では定年退職の時期が来ており、定年延長の再雇用で働いている知り合いもいる。
ホール企業も定年まで勤めあげる社員が出てくると、介護離職という新たな問題が発生してくる。社員の年齢が上がれば、親の年齢も上がってくるというわけで、厚労省の調べによると、2022年度の介護離職者は7.3万人に及んでいる。
内訳は男性が約2.6万人、女性が約4.7万人で、年齢的には男女ともに「55歳~59歳」が最も高くなっている。つまり定年に差し掛かる年代が親の介護に直面する。
あるホール企業は多角化の一環で有料老人ホーム経営に乗り出していた。規模的には入居者は20人ほど。大規模なものではないが、その縁からかコロナ禍で経営難に陥った特別養護老人ホームとデイサービスもやっている施設の売却話が舞い込んできた。オーナーはその話に即断即決した。
特別養護老人ホームとは、常時介護を必要とし、在宅での生活が困難な高齢者に対して、生活全般の介護を提供する施設のこと。略して「特養」とも呼ばれている。
特養では、入浴、排泄、食事などの介護、その他の日常生活の世話、機能訓練、健康管理及び療養上の世話を行っている。特養は比較的費用が安いのが特徴。入所希望者も多く、申し込みをしてもすぐに入所できるとは限らない。看取りの対応も可能だ。
で、オーナーが即断即決した理由は、社員の間で介護離職者の可能性が出始めていたからだ。社員の親族には優先的に入居できるようにすれば、社員も安心して働ける。福利厚生の拡充にもつながるというわけだ。
しかも、老人ホームを拡大しようと、国からの補助が出ることを調べているタイミングでこの話が舞い込んできたので迷いはなかった。
高齢化が進行している日本では、介護施設の需要が年々高まっている。社員の親だけでなく、いずれ社員本人が世話になる時も来る。
ホールの顧客も高齢者が多いので親和性も高い。ホール企業の介護事業が増えても不思議ではない。

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