倉庫を整理していた時だった。
会社が贈答用に製作しながらも配られることもなく、箪笥に仕舞われていたままになっていた大量のハンカチが出てきた。その数約500枚。
ハンカチには会社のロゴや社名の名入れが施されていた。
製作した理由は税金対策だった。今から12年ほど前のことだった。500枚という枚数も税金対策にしては微妙な数字だ。1枚の単価が異常に高いのか?
ハンカチにはタンス独特の臭いが移り浸み込んでいた。
今さら贈答用にもできないので、社員に配った。
この時、貰った社員は会社のつづりが間違っていることに気づいた。それで倉庫に仕舞い込まれていたことを理解した。
「あの頃は税金対策でハンカチを作ったが、もったいなくてそんなおカネはかけられない。もっとも今はそんなカネもない」(オーナー)と回想する。
今はボールペン1本にも決済が必要な節制ぶりだ。
ハンカチを製作した頃は、社員に給料とは別に、食事手当として1000円を支給していた。現在の食事手当は500円に減額されているが、オーナーの知り合いの弁当業者に300円の弁当を作ってもらって現物支給している。特別サービスでふりかけを一袋(15円)を付けている。見栄えは500円以上の弁当に見える。
300円の弁当すら支給できなくなることをオーナーは恐れている。
最盛期には5店舗あったホールは今や2店舗。店の改装時期は近づいているが、それは廃業することを意味している。
「昔は寮があったので、その日から食事と住むことには困らなかった。訳ありの人もいたが、そのことに感謝して率先してガラスを拭いたり、床を掃除してくれた。今は言わないと何もしない…」と懐古主義に浸る。
4パチ、20スロの復活がなければ、業界は再生できないと思っているが、その手立ては思いつかない。話の状況からすると地域でも3番手以下のホールだと思われる。
そのクラスともなると、スマート系遊技機を導入するためのユニット争奪戦からも早々と出遅れて、11月末にスマパチが入ることもない。
6.5号機になってからはスロットが上向いているが、6.5号機の導入でさえ遅れているものと思われる。地域一番店のように新台をガンガン導入できる財務力もないのは、300円の弁当支給に現れている。
負けるべくして負け組になったホールには、負け組になった理由がある。一時的な効果しかないリニューアルを繰り返して体力が削がれて行ったのかも知れない。
パチンコ経営は機械頼りだが、それを運用するのは人間だ。優秀な人材がいればこそ、立て直しも図れる。「座して死を待つより、出でて活路を見出さん」という諸葛孔明の言葉をこのオーナーに贈りたい。

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中堅ホール企業の経営者には苦しいご時世です。
地域三番店どころか地域二番店、さらには地域によっては地域一番店すらこの記事の有様です。
機種も未だに設定付パチンコが入替えできずに並んでいたりします。
奮発して購入した最新台も購入台数が少ないので遅れて納品となり、
トップ導入した大手で遊技したお客が、インターネットで最新台の悪口を曰い、
納品された週に閑古鳥
ピンバック: 徳名人
マジでバカじゃねぇの?
入れたからには大事に使えや。
それが投資だろうに。損切りばかりしているから金が無くなっただけだろ。滑稽だな。
ピンバック: くだらん
しかし、昨日、この会社の経営陣さんが最後のご挨拶にお見えになった際に、アナログからデジタルへの対応が遅れ、黒字はキープしていたものの、将来の事業を生み出すことができなかったと語ってくれました。
ホール企業を見ていて感じるのは、昔は簡単に利益が出たけど、今は体力があるうちに他業種に転向するか黒字のうちに清く廃業するかしか選択の余地がないように思えてしまうことです。
せっかくスマスロを導入したのに、すでに通路に近い状態のホールもあるし、ちょっとホールが気の毒に思えたりもします。きっと莫大なスマスロ導入費用は回収できずに終わるんでしょうね。
今回の2店舗のオーナーさんも、過去の大切なタイミングで判断を誤ってきたと推測されます。おそらく会社に必要な人を切り、イエスマンのどうでも良いレベルの社員だけが残ったのかなとも思いますね。
ピンバック: 換金禁止