自販機業界で言うところのセミオペレーションを行っている。対局となるフルオペレーションは、自販機を設置する場所だけを提供して、管理・運営はオペレーターに委託し、売り上げの15~20%が入ってくる。
Aさんが行っているセミオペレーターは、飲料水の自販機を購入して、設置場所を探し、運営・管理をすべて自分で行うので、実入りもセミオペレーターの3倍以上にはなる。
Aさんが自販機ビジネスに着目したのは、人手がいらずに24時間365日営業できることにあった。
で、Aさんは在職中に1年かけて独立の準備を進め、26台を設置するところまで漕ぎつけた。設置場所はもっぱら新しくできたばかりのコインパーキングを狙っていった。特に個人オーナーの駐車場は、話が早かった。自販機を置けるぐらいのスペースはあるので、何も置かないよりも自販機を置いた方が、副収入が入るので、交渉はスムーズに進んだ。

では、自販機の市場規模はどれくらいかというと、日本自動販売機工業会によると、2020年末の自販機の設置台数は404万5800台。市場規模は5兆円を超えている。中でも飲料の自販機は全体の半数近くを占め、売上高も2兆1000億円を突破している。
Aさんは飲料水の独自ルートを開拓して1本20円ぐらいで仕入れ、100円~販売する「100円自販機」で勝負していた。
独立した2020年はコロナ禍が始まり、まず人が町に出歩かなくなった。飲料水が一番売れる夏場は、前年比で25~30%しか売れなかった。コロナ禍は想定外で、人が出歩かなくなる影響をモロに受けることになってしまった。
独立後も設置台数を増やして、55台になった。コロナ禍も3年目で世間もやっと落ち着いてきて、「今年は行ける!」と思った矢先に、ガソリン代と電気代の高騰というWパンチを受けることになる。
自販機ビジネスで一番経費がかかるのが電気代だ。24時間365日休まず販売しているということは、それだけ電気代を食うということだ。
「夜間電力を使うようにしていますが、4分の3が旧式の節電機能がついていない自販機なので、今年の夏の電気代は倍以上でヤバイです。夏場の自販機はキンキンに冷えてないと2度とその自販機では買ってもらえなくなるので、温度を上げるわけにもいかない」(Aさん)
旧式の自販機だと電気代は月額で4000~6000円と言われていたが、それが電気代の高騰で2倍ともなれば、自販機1台の利益は月額2~3万円と言われている中、電気代で利益が吹き飛んでしまう。
コロナ禍とガソリン代、電気代高騰のトリプルパンチに見舞われ、せっかく55台まで自販機を増やしたのに、年収は店長時代の4分の1まで下がってしまった。
一国一城の主になりたいという夢は実現したが、大誤算となってしまった。
飲料水はライバルも多いが、だし道楽や冷凍食品の高付加価値の自販機も検討することをおススメする。


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お茶といえばペットボトルのお茶
コーヒーといえば缶コーヒーとなっている。
嘆かわしい。
急須やコーヒーミルが自宅に無い若者がいるそうだ。
本当の淹れたての味をしらず哀れなことである。
自動販売機の甘ったるいだけのジュースに群がる若者を見ていると
砂糖に群がるアリを連想してしまう。
マクドナルドで紅茶を注文したら、白湯とティーバッグを出してきた。
何の嫌がらせかと思ったらそれが普通らしい。
飲みのもの一つにしても文化の衰退を感じてしまい、我々世代がいなくなったとの
将来が心配だ。
ピンバック: 吉四六