トップダウン型ではノルマが達成できたかどうかだけが評価対象になり、できなければ叱られる。仕事はやらされるものとなり、仕事することが楽しくなくなる。終身雇用制時代の日本の企業は、ボトムアップ型で、サラリーマンは仕事に遣り甲斐を持って働いていた。
これだけ世の中が不況で閉塞感が漂うと、ちょっとした褒め言葉が励みになり、ポジティブになれる。
こういうご時世で生まれたのが褒めることを専門にする会社だ。どういうことかというと、これは覆面調査会社なのだが、たとえば、依頼された飲食店に覆面調査にでかける。もちろん、店員はその客が覆面調査員であることは知らない。
調査員が店員に「この刺身は何切れあるの?」と聞いたところ店員は即座に答えられなかった。普通ならこれは減点対象となるが、店員はすぐさま調理場へ走り、聞いてきた。
この調査会社はすぐに聞きに行ったことを逆に褒める。
店員のダメなところをあら捜しするのではなく、笑顔がよかったとか、あいさつが元気だったとか褒めるところを見つけて報告書を作成する。
A4で22ページの報告書の最後に「料理が出るスピードが遅い」と欠点を指摘した。
店員は褒められる報告書を読んでいるので、気持ちがいいから、料理が遅いことに対するアイデアをスタッフ同士で練ることができた。
その結果、生まれたのがスピードメニューの開発である。褒められるとやる気が出て、頑張れる、ということで、褒める覆面調査の結果、売り上げが2割アップした、という。
褒められる効果をMRIで科学的にも立証している。
褒められると脳の中心部で線条体が活発化することが分かった。これは金銭をもらうときと一緒の反応で、金銭と褒められることは他者から認められることであり、集団でしか生きられない人間には重要なことなのだ。
あるクレジット会社では褒めあいカードを作って、同僚を褒めている。見たことを褒めてカードに書くわけだ。
なぜ、そんなことをはじめたのか?
この会社は社員、契約社員、アルバイトと立場がバラバラで職場に一体感がなく、見てみない振りをしたり、一人一人が孤立して離職率も高かったため、定着率をよくするために褒めあいカードを導入した。
褒めるためには、褒める材料を探さなければいけないので、互いが理解するようになる。その結果、一体感が生まれ、助け合うことが当たり前になりその帰結として離職率も下がった。
褒めるためには相手をしっかり見ていないといけない。褒めることは「認められること」でこれが一番重要なポイントである。ただ、褒めるばかりではダメで5つ褒めて1つ叱る5対1理論が必要になる。
人間は認められて、褒められて、報酬がもらえると潜在的能力も含めて最大限の力を発揮する。おカネだけではない、ということだ。
離職率の高いパチンコ業界でも、この褒め文化を取り入れるホール企業が増えてきている。

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大人になれば、自分なりの矜持なり価値観をもち自分で自分を叱り褒めるものです。
克己復礼という言葉があり自分を律して模範的な行動をすることが大人と言えるのではないでしょうか。
また、年長者が若者を叱るのは若者の成長を願って、欠点を指摘してあげているのであり、感情的になり八つ当たりとして怒る事とは違います。
褒められてうれしい。叱られて嫌だ。
これでは幼児そのものです。
あまつさえ、人を褒める事が仕事になるとは若者の幼稚化には溜息がでます。
ピンバック: 徳名人
若者も高齢者も、いつの時代も同じような割合で存在しているように感じますね、私は。
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が、いかんせんその発言をしている人、その人が形作る人間性がお世辞にも高いとは言えないような人が発言しても、読む人には届かず、逆効果になりゃしないかと心配になります。
ある意味でこの方は、数々の過去の自分の珍コメント内容で、その身をもって「私のような人間にはなってはいけない」と教えているように感じます。
その滑稽さをそのまま楽しむ人はいいのですが、コメントを読む人がありのままを読み取ってしまうと、矜持を持つことがダメだと勘違いしてしまわないかと不安を感じます。
貴重で大事な発言も、発言する人間によりけりで、人間性を疑われるような方がそのような得難い事を語られても響かないものです。
自分が出来ていないことを偉そうに他人に語られても心に届きにくい、ということです。
そういう意味ではこの方は悪い見本を体現する反面教師になりたいのかもしれませんね。
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