後輩の60歳過ぎのおばちゃんと2人でホールの掃除全般を行っている。
店舗は郊外型で掃除用の洗濯機2台が屋外に置いてある。うち1台が壊れた。それで洗濯機を買うために店長と話をした。
おばちゃんは2層式に拘っていた。
「おばちゃん、全自動の方が便利じゃないの?」と店長は新品を買うにあたって、おばちゃんに尋ねてみた。
洗濯機は雑巾を洗濯するのに使っているが、2層式のメリットは脱水時間を加減できるところにあった。おばちゃんによると完全に脱水しない方が、雑巾が使いやすい、ということを店長に説明した。
それで店長はホームセンターへ行って2層式の洗濯機を買ってきたのだが、洗濯機が故障したことで、初めておばちゃんとじっくり話をした。
おばちゃんは、店長がこの店に来るよりも随分前からこのホールで働いているのだが、掃除をしている箇所が、店長がそこまで掃除していたのか、と感心するところまで目を行き届かせていた。
このおばちゃんたちがいなくなったら、掃除の指示を出せないことに店長は気づいた。
おばちゃんの時給は850円。
店長が想像していた以上の働きぶりに、店長は社長に掛け合って臨時ボーナスを出してもらうことにした。
この話を聞いて、社長も快諾。冬は10万円、夏は5万円のボーナスを支給することを決めた。
社長自身、20年以上も働いているおばちゃんとそんなに話をすることもなかった反省を込めて、店休日の前にはおばちゃん2人に温泉へ行くようにおカネも出した。
「私たちはこの歳で働かせてもらっているだけでもありがたいと思っています。それだけでも十分なのにボーナスまで頂いて本当に感謝しています。後、10年は体が動くまで働きます」
おばちゃんとじっくり話してみると、実はお客さんのことを従業員よりも一番分かっていたのが、おばちゃんたちだった。
お互い地元同士で顔見知りなので、店での不満は一番話しやすいおばちゃんの元に届いた。でも、そんなお客さんの不満を店に伝えるべきではない、と思って掃除だけに専念してきた。
「昔のように玉積みができなくなった」
「昔は5000円ぐらいで当たって1日遊べた」
「消費税が8%になって生活費を削ってまでパチンコができなくなった」
「常連が来なくなったので自分も潮時だ。今日で辞めようと思っている」
そんな生の声がおばちゃんの耳には入っていた。
店長や従業員はそれまで、そうじのおばちゃんとしか捉えていなかったが、気配りが足らなかったことに気づき、そうじのおばちゃんを大切にする気持ちが芽生えた。
同じ職場で働く人への気配りもそうだが、お客さんへの気配りを忘れずに。

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泣けた話ですね
GOOD記事!
ピンバック: ユーザー
一杯の掛け蕎麦を思い出したくらい感動したエントリです。染み染みしたな。
ピンバック: 奴
感心するお話でした。
何でか。
KPI含め、日々の顧客満足を数値でしか判断できないところを生の声で回収する所かあるということ。
気付けて良かったですね。
もっとも数値でしか見れないほど巨大化している会社もありますから、自店でも! というのは難しいでしょうけれど。
あと何でもかんでも生の声を反映させればいいってもんじゃねぇっていう現場の手伝いをしているんで、ほどほどでお願いしたいと思います。
2chのバカの話を鵜呑みにして運営するコンテンツ屋もいるんですよ、驚きました。
ピンバック: 奥平剛士
そうですね
奥平君の何でもかんでも警察批判もほどほどに
以前にパチンコの管轄は警備局だと自信満々に講釈していたのは、どこのバカの話を鵜呑みにしていたのでしょうか?
ピンバック: ほどほど
素晴らしいですね。
おばちゃんも、店長も社長も。
そんなホールには是非、頑張ってもらいたいです。
ピンバック: 客の一人
いい意味で昭和ですね、昔は気軽に声かけてくれるオバチャンとかよくいたけど今はあんまり見かけませんね。今は個人主義だからしょうがないか。
ピンバック: はさ
「気遣い」と「感謝」の良いお話ですが、
店長の普段から従業員へ気配りできていない点や、
インセンティブがボーナスという点が、上がこうなら
下もこうなんだろうなという印象です。
普段の休憩のときにジュースの1つでも持って
行き話しかけるなど「人として扱って」いれば
今更、改めて気づきましたなんてこともないのでは?
斜め上からの解釈のようになりましたが、
記事から、このお店、店長、会社、社長の根本的な
問題がうかがえました。
ピンバック: 琵琶法師
水を差すようだがそのボーナスの資金はどうやって歳出したのか?
従業員(パートかもしれないが)を大事にするのは良い事だがそのツケが客にくるのであればますます客が遠のくことにつながりかねない。
あと本来ボーナスというのは頑張りではなく売上に対して支給されるものだ。
ボーナスを出せる余裕があるのなら客にも還元してほしいものだ。
ピンバック: 通りすがり
そういうのありますな。
私も初めの店では食堂のおばちゃん、
毎回戦況を聞いてくるので
つい食堂とパチンコ屋セットで
週末にいっとりました。
結局のところ一時期は勝てるように
なったりしましたが最終的には
トータルで負けですわ。
他所が負債を取り返せるような営業
をしてくると寄り付かなくなってしまう。
身銭には勝てませんでしたが・・
愛想が良いおばちゃんがいたり
常連がついていつも勝ってるとかね。
出していて腹立つとか、他の客も打つようになる
喜怒哀楽の集客って昔はありましたよね
ピンバック: メタボ
ボーナスの出処まで批判するコメを私は批判する。
ピンバック: タマヤ
良い話ですね。
現場の声に耳を傾ける。難しい事ではないけど、それができない企業なんてザラにあります。
現場の声を最優先、何でも聞けという事ではなく、現場がお客と接する最前線だからです。
まあ、その声を反映できなければ意味ないですけどね。
自分の利益は客が減ろうと最優先、絶対確保の業界では無理でしょうけど。
ピンバック: 一般人
ホールと言うのは働く人はもちろん遊ぶ側にとっても
愛着がなければいけない。
地元のホールでパチンコを覚えて人生を共に歩むのが
地元ホールであるように思う
ホール側も利用者を思いやり利用者もマイホールを
もっと大事にしなければ、いつの日か思い出も廃墟に
なるのだろう。
ピンバック: ユニクロ
これで出したとならない限り何も評価できないんだけどね。そもそもこういった浪花節は何処にでも転がってるし。
客としてはとにかく糞釘をやめろとしか言いようがない。
ピンバック: 栽培マン
すごい良い話なんですが。
この業界は短絡的・発作的に動くイメージが強くて、従業員に対してもそうなんだなぁ、って感じです。
今後の待遇についての言及がないから、なんとも言えませんがね。
想定以上の働きに対しては臨時ボーナスも良いけれどベースアップもしてあげてね。
おばちゃんにお客様の声を拾ってもらうことを期待するのなら実質業務も増えるんですし。
あと人事考課のやり方にも見直しが必要ですね。
殊更に手柄を語るコンサルみたいに、前に出て“俺が俺が……”ってやらないと評価されない気付かれないってのは、大半の労働者にとってはとてつもなく不幸なことですから。
まぁ今の世の中この業界以外も似たり寄ったりなんですがね。
ピンバック: 楽太
ここであがってるようなお客さんの声なんて、別に掃除のおばちゃんから聞かなくたって、わかってることでしょ。
そんなわかりきった話を聞いて、「イイハナシダナー」って涙腺が緩むって、、皆さん純粋なんですね。
あと、長年やってるおばちゃんが、マニュアルを超えた仕事をしていたのは感心しますが、おばちゃんがいなくなった時のリスクに気づいたので、ボーナス上げるのもいいけどきちんとマニュアル化すべきですね。
ピンバック: はて
良い話しだと思います。他の方も書き込みしてましたが、この遊技客の話しをどれだけ生かせるかではないでしょうか?
掃除のおばちゃんは文句も言われるのでしょう…従業員が文句を言われないお店作りをしていく…これが必要では?
ピンバック: どらねこ
こういう話を暇な遊技中に読めることがささやかな楽しみです。
これからも期待してます。
ピンバック: 軍団員