パチンコ日報

ニュースにならないニュースの宝庫 

立ち直り日記vol.1

場所は東北地方のとある町。



総台数300台。内訳はパチンコ200台、スロット100台。稼働はパチンコ6000発、スロット1500枚、という状況で建て直しに入った。



店舗の人材は次の通り。



営業部長。40代後半。部長とは名ばかりの肩書きで実質の店長。業者への対応は傲慢。社長に対してはゴマすり。いつもヘラヘラしていて、言語の理解能力も低い。小口現金などの細かい不正をしていた様子。



マネージャー。部長と同級生。釘、設定調整能力、人材育成能力はない。店舗運営能力も低い名ばかりの店長。アルバイトには居丈高。



20代後半の男性社員。業界経験は浅く、能力も未開発。現状では最も将来が有望。ただ、物忘れが激しい。アルバイトへの指導力は低い。



30代半ばの社員。アルバイトから正社員になって半年。社員登用を決断したマネージャーからも愛想を尽かされるほど無能。教育を受けていないので、故に指導もできない。金銭を唯一さわることのできないダメ社員でもある。



この店の常駐型コンサルを受けることになったのが9月。



社長と面接。



「根性はあるみたいだね。いずれ抜けるのは分かっているけど、社員という形で社会保険にも入ったほうがいい」



好感が持てる。

社長からのオーダーは社員のレベル、会社の価値、店舗の利益をそれぞれ向上させること。ただ、期限や具体的な数値目標の提示はない。



私が常駐して、上司と2人で店舗を運営していくことになった。



社長からのオーダーは分かっていたので、自分が今までやってきたように、「優れた店舗」を作るだけ。



全ての事柄に関して、当たり前のことを当たり前にやるだけ。 そして、「知らない」という社員へナレッジの共有を図ること。



そのためには「調整」「計画」「教育」「演出」など全てを精査し、整えていく必要がある。



まず第1の仕掛けが年末のリニューアル。



計画は死に島のスロットをパチンコへ。島を新設して1円パチンコの導入。



改装後は4Pが190台、1Pが60台、スロットが60台となった。



この改装から一気に仕掛けをしていくわけだが、模様替えや内製の強化を図るも…進捗は牛歩。



そんな時、私の上司から一言。



「展開が遅い! おまえが店長やれ」

「イヤです」

「やれ」

「…」



こうして12月の頭に店長に就任した。



とりあえず年末に改装、というスタートラインがあるので、社員の意思統一も簡単、と思っていたがこれが甘かった。



見積もりの取り方、発注の仕方、経費の見方、データの見方、試し打ちのやり方、朝礼のやり方、終礼のやり方、挨拶の仕方、稼働メールの打ち方、作業の振り分け方、ホールの周り方、休憩の回し方、メンテナンスのやり方、エクセルの使い方、FAXの仕方、新台の取り付け方、スタッフへの話し方、接客の仕方、etc…。



全てが独自のおかしなやり方。全てをスタンダードに替えていかなければ行けない。



「先は長いな」とため息の出る12月であった。



つづく



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中身のない見かけだけの強さ

10代でバーテンダーをやっていた時、マスターからこんなことを教えられた。



「医者、美容師などが特にそうだ」と前置きした後こう続けた。

「若かろうが、経験が浅かろうが、お客様の前では狼狽えるな。不安を与えるのが一番の罪。ハッタリが時には安心を産む」



他人の教えを「鵜呑み」にすることから脱却した今思うことがある。



お客様へ与えるべきモノはハッタリではなく「安心」と「納得」だと信じている。



地域一番店を堅守し続けるホールがある。



5km圏内には大型競合店が点在するが、ぶっちぎりの独走状態だ。



それについては、ユーザーは確かに「安心」を感じているのだろうと思う。



では「安心」の根拠は何なんだろうか、と考えてみた。



「安心」や「満足感」は、店舗責任者の独力で築けるものではない。部下や上司、同僚。さらには取引先など様々なところからの支持を受け、そして「組織」に認められて、ようやく実現できる。



満足の提供具合は「組織」すなわち「企業」の「仕組み」が反映されると言っても過言ではない。



このホールは連日満席。他のチェーン店も成績はまずまず。全国的にもトップクラスに位置する。



私の持論が正しいならば、その組織は非常に優れているということになるが…。



いざ、中に入って見ると外から見ているのとは大違いだった。



トップの第一印象は「旧態依然」。考え方はこんな具合だった。



「競合店のチラシ回数に負けるな!」

「広告費用の分、粗利は確保!」

「競合店の購入台数に負けるな!」

「新台購入費は、粗利で補填!」

「経費は削れ、人件費も!」

「馬車馬の意味を知っているか?」



一番唖然とさせられたのがこの一言だ。

「出せば客は来る」



お客様を馬鹿にしていると思った。

抜きに抜いて、出す。マッチポンプではないか。



何処に「安心」を感じられる「誠意」があるのだろう。



業界大手のイベントに日本中が踊らされている。

どこもかしこも7,7,7。



大手対策の「緊急会議」が開かれた。運良く立ち会うことが出来た。果敢に立ち向かおうとするのだが、驚きの連続だった。



「やはり7が良いのでは?」

「おこぼれに預かるには6か8ではないのか?」

「定説は25。時勢もあり、10などは?」

「独自路線で0や3は?」



会議を傍観していたが「独自路線」など望むべくもなかった。



いかに効率良く「集客」=「回収」出来るかを考えている。



営業の責任者達が雁首を並べてこのレベルだ。そこにはマーケティングリサーチも、数値的根拠もない。ついでに言えば、外部の提案を受ける気もない。



結果はやる前から見えていた。その催しはユーザーには「その他大勢」にカテゴライズされる羽目になる。



しかし、実施するには費用がかかる。捻出元は言うまでもない。軌道修正するまでお金を使い続ける。



「ウォンツ」を捏造し、お為ごかしの「ニーズ」で縛る。



さながらキャッチセールスか贋作の押し売りのようなもの。



ユーザーに気づかなければいいのだが。



その「盲信」がパチンコ企業を「盲目」にさせる。その代償は、ユーザーの懐から支払われる。



ユーザーは「そんなモノは望んでいない」伝えるべきである。



その「沈黙」がさらに彼らを「増長」させる。悪しき螺旋は断ち切らねばならない。



このホール企業には以前、「辣腕」と呼ばれる最高執行者がいた。グループ店のほとんど全てが好立地で好条件なのは、彼の働きによるものだった。



今でも「パチンコ店は立地だ」といわれているが、悲しいかなその通りだ。



彼が退陣した現在も高稼働を保てているのは、その際のアドバンテージがあるからだ。



自分達の功績だ、自分達の手腕だと、勘違いしている組織が成す昭和の「仕組み」。それを「盲信」して支持するユーザー。



装置産業からサービス産業、付加価値産業への過渡期で、支持を受ける「新風」が皮肉なことに「旧態依然」の体質であった。



「原点回帰」にしては笑えない冗談。



今後も命題は、ユーザーの意識改革を促すことである。







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