そのため、多くのホール企業が異業種参入による事業多角化を模索している。しかし現実には、飲食店経営や小売事業を「オマケ程度」で展開する例も少なくなく、第二の柱と呼べるまで育てられているケースは稀だ。
そんな中、あるホール企業は農業に本格参入するという異色の戦略を打ち出した。しかも単なる趣味や地域貢献ではなく、農業コンサルタントを入れた上で、中長期的に経営の大きな柱に育てる計画だ。
第一弾は、耕作放棄が進むミカン農家の買収である。地方では高齢化と後継者不足により、手入れされないまま放置されているミカン畑が少なくない。この企業はそうした農地を引き継ぎ、収穫したミカンをジュースに加工して販売する予定だ。
ミカンはオレンジよりも糖度が高く、風味も日本人好みであることから、味の優位性に商機を見いだしている。国内需要の掘り起こしに加え、海外市場への輸出も視野に入れる。
さらに、ミカンの搾りかすは有機肥料として再利用できる。廃棄物を出さない循環型の農業モデルは、環境配慮型ビジネスとしても評価されやすい。
この企業の農業戦略はミカンだけにとどまらない。近年の天候不順による米不足に対応し、稲作にも進出する計画だ。コメはホールの景品としても活用できるため、本業とのシナジーが期待できる。
また、サツマイモも注目作物のひとつだ。これは芋焼酎の原料として、国内外で安定した需要が見込める。醸造メーカーとコラボしてオリジナル焼酎も生産したい。
さらに、スイカも「有望株」としてリストアップされている。高品質な国産スイカは、東南アジアや中東などの富裕層市場で高値が付くケースがあり、「輸出できる作物」というキーワードに合致する。
なぜ「輸出」にこだわるのか。それはパチンコという事業自体が国内市場専用で、海外輸出が事実上不可能だからだ。本業では海外展開が難しい分、農業分野で外貨を稼ぐ仕組みを作ることができれば、企業全体の収益構造が強化される。
もちろん、農業参入は簡単ではない。気候リスク、販路の確保、品質管理など、ホール経営とは全く異なる課題が山積している。それでも、この企業は「パチンコだけに依存する経営こそ最大のリスク」と位置付け、挑戦を続ける構えだ。
パチンコ企業の農業参入――これが一時的な話題作りに終わるのか、それとも本業を超える新たな柱に育つのか。業界全体が生き残りの道を模索する中、その成否は今後の多角化戦略の試金石となるのではないだろうか。
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機会なんて高騰しているんだし、割に合わんと思うけどね。
ピンバック: 昨今の農機具はものすごく高い