「使い道はあとで考えればいい」
土地は余っていたこともあり、即決だった。
しかし、いざ木材が届いてみると、思った以上に量があり、用途が思いつかない。社員寮の案も出たが、ありきたりでワクワク感に欠ける。木造のスロ専も検討されたが、200台規模ではこの地域では勝負にならない。木の温かみと建築の柔らかさは魅力でも、集客と収益が見込めなければ現実的ではない。
そんな中で、第三者的な立場からオーナーへの提案として浮かぶのが、「木を主役にした地域交流施設」のアイデアだった。単なる余剰材の消費ではなく、木材を活かすことで企業価値や地域とのつながりを創出することができる。
たとえば、「木の体験型カフェ&クラフトスペース」。
建物はすべて今回仕入れた木材で建築し、その風合いや香りを活かした温かみのある空間に。週末は、地域の木工職人やDIY愛好家が集まって家具や雑貨を製作するワークショップを開催。親子で木に触れる「木育イベント」や、簡単な木工体験もできるようにする。これにカフェスペースを併設し、地元の農産物を使ったメニューを提供すれば、地元との結びつきも強まる。
また、平日はテレワークやフリーランス向けのワークスペースとして開放する。無垢材に囲まれた静かな空間は、都市部にはない贅沢な執務環境になるだろう。企業研修やセミナー、地域の小規模イベントにも貸し出せば、稼働率も上がり運営も現実的になる。
一角には地元作家や高校生の作品展示スペースを設けるなど、文化発信の拠点としても機能させる。施設そのものが「木の魅力」を伝える装置となり、企業イメージの刷新にもつながるだろう。
このような施設があれば、ホール事業とは異なる新たな層との接点が生まれる。週末に訪れたファミリー層が、企業に親しみを持ち、後にホール事業にも関心を寄せる可能性もある。SNS映えする内装やワークショップ風景を発信すれば、話題性にもなる。
木材が安かったのは偶然。しかし、その偶然を「地域に開かれた価値」に変えることができれば、それは単なる余剰資源の活用ではなく、企業の未来戦略となり得る。
地方のホール企業が生き残るために必要なのは、出玉や台数だけではない。地域に根差した柔軟な発想こそが、これからの時代の「勝ち筋」なのかもしれない。
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