その一方で共に若年層の参加率は落ちるばかり。レジャーの多様性やスマホ代の負担が主な理由とされている。これから先、どんどん団塊の世代はリタイアしていくのに、若年層は開拓できていないことが共通している。
では、この問題に逆境を跳ね返した星野リゾートはどう取り組んできたのか? 異業種ではあるが、ホール経営の参考にもなる。
まず、それまでの星野リゾートはおカネを借りて自社で開発して、自社で所有して運営していた。ここまではホール企業も同じだが、90年代から所有することを止め、運営の特化に方向転換した。海外で運営特化型戦略の企業が出てきて、その成長の早さに星野佳路社長は「これだ!」と気づいた。
運営に特化すれば、所有しなくてもいいのでバランスシートが軽くなる。何よりも借金しなくて済む。借金して成長を続ければ、いずれどこかの時点で成長の鈍化は避けられない。それは企業リスクが高まることを意味する。実際、パチンコ業界でも猛烈な勢いで拡大路線を続けていたホールが息切れしている。
ファイナンス面での荷物が非常に軽いということが、運営特化型戦略のポイントである。
しかし、いいことばかりではない。デメリットは当然ある。オーナーや所有者ら新たなパートナーと仲良くやっていかなければならない。そこは厄介なことでもあるが、そこを星野リゾートはトレードオフ。
トレードオフって何ぞや、ということになるが星野リゾートでは、二者択一の選択を迫られた時、両方を選択できなので一方を選択すると、他方は犠牲にする活動のことをトレードオフ、と呼んでおり、同社の経営理念の一つだ。
求めるのはスピード。バランスシートが軽いということは、成長のスピードを速めることができる。
運営を任せてもらうビジネスだから、早くスケールメリットを作ることができる。特にリーマンショック、東日本大震災、新型コロナ禍など景気が後退する時に運営を任されることが多くなっている。ゴールドマンサックスが抱えていた青森屋も星野リゾートへ運営が任された。
現在星野リゾートの運営施設は60にも及ぶ。その中で星野リゾート・リート投資法人は星野社長の会社ではなく、建物を所有して、運営を星野リゾートに委託している。投資法人は機関投資家や個人投資家に長期所有してもらって、建物は完成したら星野リゾートに貸す、といえば分かりやすい。
運営を委託された星野リゾートは、一刻も早く予定収益まで上げ、最終的には長期所有の投資家に持ってもらうサイクルで回している。
星野リゾートは色々なタイプの宿泊施設を用途に応じて提供している。最もラグジュアリーな高級施設が「星のや」。ファミリーターゲットは「リゾナーレ」、温泉旅館は「界」。都市型観光の拠点は「OMO」。若い人をターゲットにしたリーズナブルな宿泊施設が「BEB」。
星野リゾートというと代名詞である「星のや」を想像しがちであるが、客層やニーズによって、ターゲットを絞り込み、それに合わせた宿泊施設を提供している。
ホール経営の参考にするならば、所有から運営に特化するやり方だろう。今、ホールのM&Aが活発化しているが、買収するのではなく、運営だけを任せてもらい、オーナーには配当を渡す。これなら家賃を支払う必要もない。

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偉そうなコンサルタント会社が、運営を委託して
従来のホール企業はオーナーとして配当を受け取る。
ピンバック: サファイア
所詮、大企業だろうがなんだろうがホールオーナーなんて業界全体など二の次で、自分のことだけなのだから自分にとってどちらが旨味が多いのか、だけだと思いますが。
例えば運営特化とやらが業界全体にとってかなりのプラスになろうとも、通常のM&Aのほうが「自分」にとってはよりプラスなら迷いなく後者を選びます。
非難ではなく当然のことです。
結局は双方にとって「業界全体」「業界の未来」などという考えではなく、ただ単に「自分」にとってどちらの旨味が多いか、だけで判断されると思います。
ピンバック: 通りすがり
メーカーの奥村だって一族は数十億の資産を残した訳だし…
ピンバック: 猫オヤジ