なぜ、ぱちんこ屋さんではお客さん同士の玉のやり取りを禁止するのか。一般的な概念からすれば至極理不尽な話ではないだろうか。自分がお金を払った貸し玉(ぱちんこの玉のこと)をどう使おうと勝手ではないか。恐らくぱちんこをしない方はそう思われるだろう。
しかしそれがどんなに理不尽であってもぱちんこ屋さんには『当店のルール』という手前勝手な決めごとが厳然と存在する。だから当店でぱちんこを楽しみたければ『当店のルール』に従わなければならないのである。
通常、お客さんがぱちんこのプレイをする場合は、1個当たり四円の貸し玉料金をお店に支払う。そしてそれは百円単位での購入になるから、最低百円÷四円で25個の玉をお店から借りてからゲームを楽しむことが出来る。そして幸運にもラッキー台に座ったお客さんは自分が買った(借りた)分の玉よりも大量の玉を一時的に獲得できる。これは出るも出ないも運次第(この頃はテクニックも必要であった)。
大量に出た玉はカウンターに持っていくと景品と取り替えてくれる。しかしその際のぱちんこ玉と景品の交換率は一個当たりお客さんが支払った四円ではなく、二円五十銭という具合に変化する。という事はお客さんが百円分の景品と交換しようとするならば四十個の玉が必要となるのである。
ここがぱちんこ屋さんがつぶれず負けるお客さんが多い現象となるしくみなのである。平たく言えばお客さんが一個四円で玉を借りた時点で一円五十銭の負けが確定しているということだ。ぱちんこ屋さんはその分を利益として計上するのである。
こうして説明されるとずいぶんとひどい話ではないか、とご立腹の方も多数いらっしゃるだろうが、お客さんにとってデメリットばかりではないのである。仮に換金率が貸し玉料金と同じ四円であった場合(これを等価交換という)お店はお客さんに玉を出すことが非常に困難になってくる。換金率に利鞘を乗せるから 迫力ある出玉を演出できるのである。
僕はなぜ玉の横流しがいけないのかさっぱりわからなかった。しかし、しょっぱなからそういう客がいたらつまみ出せ、と念を入れて教わったのでその教えだけはきちんと守って仕事に励んでいた。お店は従業員に事の是非を教えることよりその行為を禁止させることを厳命する事のほうが重要だったらしい。
僕が丁寧に注意すると、よぼよぼ爺さんは
「そおなあ~ん、それは知らなかったわ。でもあんまり出ないもんだからこの若い衆が年寄りを不憫に思って玉をくれたんだからあんまり怒らんでくれよ」
とニタッと笑いながら切り返してきた。
肩すかしをくらった感じの僕は一瞬ムッとした。この言葉がこの地の方言であるという事は知っている。標準語で言えば「そうなの?そうだったの?」という意味でここら辺に住んでいる人たちはみんな普通に使用している言葉である。
しかしこの間延びのした「そおなあ~ん」という人を小馬鹿にしたようなイントネーションがどうしても僕は許せなかった。決して悪気がないのは知っていても「そおなあ~ん」だけは腹が立つのである。
「でもね、おじいちゃん。これは絶対にやっちゃ駄目なの。わかる? 次やってるところを見つけたら出入り禁止だからね」
ついつい「そおなあ~ん」に腹が立ち、感情にまかせてものを言ってしまった。その瞬間、隣にいた若いあんちゃんがこちらをちらっと見た。しかし彼は僕を見ただけで何かを言うでもなかった。
「ははん、こいつは俺にビビってるな」
そう思うと優越感と勇気が一緒になって出て来た。そこでとどめの一発を「いいですね!」ときめた。よぼ爺は「はい、はい」と笑いながらうなずいて見せた。 僕はそれもなんか馬鹿にされてるみたいで気に入らなかったがこれ以上はさすがに言ってはまずいと思い、ちっ!と舌打ちをうちその場から立ち去った。
そろそろ従業員の食事休憩の時間であることを見て取った僕は、スタッフを順番に二階の食堂へ上げ、最後に自分が食事を取ろうと段取りをし始めた。その時である。またもや先ほどのコンビが性懲りも無く玉を横流ししているではないか。しかも悪びれたり、周囲の様子を窺うような素振りなど微塵もなく堂々とである。
「こらーーー! やるなって言っただろうが! 二人とも事務所来い!」
完全に怒りを抑える糸がぷつんと音を立てて切れた。この時の僕に通常の理性などあるはずもなく、ましてや周りの環境を確認するという余裕も無かった。僕は肩で風を切るようにして二人を事務所へ連れて行った。
つづく

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日本に存在するそんな国がある
事が1番の恐怖だ
ピンバック: 負け組
来月下旬に観光で京都へ行くのよね
紅葉の時期だから超楽しみー
2泊3日でなんだけどもさ
清水寺金閣寺京都御所とあとどこにしようか悩んでる
ʅฺ(・ω・。)ʃฺ??
では本題です
観光とは別に京都のパチンコ店をどうしても見たいのよね
もう10年以上前から某ネット掲示板管理人さんのホーム店は楽しみにしていたんだけど今回はスケジュール的にちとムリポ
それならばお弟子さんのホーム店ならなんとか見に行けるんじゃないかななんてね
某駅からどこそこ行きのバスに乗ったら40分程で到着するらしいし
3時間で行って帰ってまた合流とタイトなスケジュールだけれど。。。
気合みせてやんから
┗(`・ω・´)┛フンヌッ!
Whitney Houston – I Will Always Love You(1993)♫
チャオ!
ピンバック: 宗ちゃんパチ&スロ歴43年Soかもね(*´з`)Zokkon命
とるために必要なんだね。
パチンコ屋なんか潰れた方が
絶対に日本のためになるのに。
ピンバック: 負け組
しかもだ。表向きパチンコは技術介入ありきの「遊技」なのにもかかわらず、止め打ちやひねり打ちなどの打ち手の技量である「技術」はお断りするホールが多数あるっていう。
これも笑い話だ。
結局ホールなんて「慈善事業ではない!」を盾にしてやりたい放題やってるわけだ。
甘い台出せばギチギチに辛くして放置するわ、激甘にもなるとメーカーへ苦情のうえ回収させるとか。
もう信用以前の問題だよ。
ピンバック: 名無し
売上至上主義だから。
その本来やってはいけない法律違反っておそらく釘曲げだろうけど、それも売上を上げるためだから。
利益出すためなら法律だって関係ない、破ってなんぼっていう連中だからな。
この前逮捕された買取違反の連中もこんなんだろ。
社長がこんなんだからな。終わってるわ。
遵法精神とは真逆の位置にいる連中だから。
そりゃお上から信用されるわけないわな。
パチンコ関連企業は日本人しか経営できない、とかになればいいのに。
ピンバック: 通りすがり
のちに京都は「京都弁」が大流行してしまって地方に残ってしまった方言と聞いた
そんな都市伝説はさておき
昭和や平成初頭頃までは4円で玉を借りて運良く勝って流した出玉は
タバコやCDや書物など定価販売(実質等価)の物に交換するのが常で
換金はおバカのする事だと一発台コーナーの主のヤぁーさんが自慢気に話していた
何にしても当時はセブン機も1回交換が当たり前で、しかも羽根物は貯留もなく1,000発定量
今の等価無制限貯玉さえ可能な爆裂機しか知らない連中には
到底信じられない穏やかなお店でした
(一発台のシマは当時も鉄火場でしたが)
まぁあの頃に戻って若者を取り入れろといっても
到底無理なお話でしょう
ピンバック: パチンコ大賞