私は様々なホールで新台調整の場を見た経験がありますが、ゲージのピッチだけではなく、調整道具(材質の異なるハンマー、調整棒や板ゲージ、玉ゲージ等多種多様)の違いを見て正解というものは、環境に応じて変わるということを学びました。
調整する人間も本当に様々です。昔は目ゲージで命の開け閉めをする人や調整棒を器用に使いこなす人などバラエティに富んでいました。
そういう人たちの影響が、後の調整に役立っています。
そこで学んだことは、調整で正解を得るための答え(基準)は、状況、人に依ってそれぞれで、それを第三者に納得させるのは「難しい」ということです。
必ずしも結果オーライが良いとは思いませんが、客観的な物差しをもっていても、結果が伴わなければ、却下される現実を見てきました。
特に新台調整は一発勝負だということです。
現実=翻れば釘調整一発に頼ってもマイナスを埋めることは不可能なことも多い。他の要因があってはじめて調整力が活きるということです。
調整は数値だけみれば、結果として稼働も良く利益が取れていれば良いと言えます。しかし、お店の力や予算(割数)、機械性能、状況に依るところが多く、調整の力で証明することは難しいものです。
それでも技術が直結する機械も存在する以上、軽視はできません。
ゲージ論1で、釘の技術で業績は上がるのか? とのコメントがありました。
私の考えでは、技術で稼働が上がる機械があれば、調整技術にスポットライトが当たる、ということです。
そういう機械が必要ない店舗では、スポットライトは当たらなくても、ロス(調整ミス、スピード)を軽減することに依り、結果として別の予算、仕事に転換できます。ただし、その効果を数値で証明することはほぼ不可能ですが。
高度な技術がなくても困らないホールも多く存在しますが、その代わりになる武器をそのお店は持っています。
例えば、看板、資金、立地、信用、営業力などがそれで、挙げればキリがありません。
そういう店舗では、釘の腕の前に求められるスキルやウィル、その他があるということです。
また、調整力で結果を出したということは、調整+αがあったということだと思います。
弱小店に携わることが多かった私は、店舗の業績向上のコツは、「少しずつ」という認識を持っています。
この少しずつという認識は、質が向上する前にたとえ大きな一発(劇的な向上)はあっても、それは沢山の要因が重なった結果であり、僥倖と捉える位が私には丁度よく、着実に進めた方がリスクや費用面で分があると思ったからです。
たくさんの武器がない店舗では、多くのものは望めません。一気に業績アップというのは、施策とタイミングに、相手あっての運営ですから内外の状況が上手く合わさった結果だと考えています。
これについては、機会があれば触れたいと思います。
まとめれば、釘調整の営業における考え方も同様に、他者よりスキルがあるということは、一見して大きな要因ではありません。
それを踏まえ、確実な小さな差だと認識した上で、私はそれが活きる土俵を見つけて業績アップの材料としています。
具体的には、スピード(これは客観視できる)や正確さから生まれる人的負担や、想定した数値とのかい離から必要となる修正などです。
冒頭、ゲージに正解は無い…と書きましたが、仮に技術を磨かず精度が上がらないままであった場合には、結果的に大きな差が付くと考えられるツールが存在します。
誤解を恐れず言えば、盲目的に頼った場合は、その良し悪しを見分ける術無く、結果として大きなロスや信用損失につながるそのツールとは…
次回はゲージ表について進めたいと思います。
つづく

スイマセンでした。
数珠さんは、この業界に多い釘調整信者の方だと思い込んでいました。
今日の寄稿で本当に業界の内も外もよく知っておられる経験豊かな方だとわかりました。
これからの寄稿を楽しみにしてます。
ピンバック: 1Q57製
1Q57製さん
謝るに及ばずですよ。
私は咎めるつもりは全くなく、感謝していますから。
実は当初は、続編にスランプ分布と、その対策方法について準備(営業さんにはお話ししていました)していましたが、1Q57製さんや他の皆様のコメントでご指摘いただいたお陰で、軌道修正しようと気付きましたよ。
またコメントいただければ、有り難いです!
ピンバック: 数珠
私も元店長も数珠さんのファンです。
本物のコンサルさんだと思います。
ピンバック: 元店長関係者A