突然の雪、大雪である。
それもボタ雪なのであっという間に積りだした。
同時にお客も引き出した。
雪の降る日の客引きはどこも例外なく、何と退散の素早いこと。
ただ、翌日からの客数は予想以上に伸びていく。
注)雪の降り出した初日のお客の急激な減少の理由
車の雪支度がされておらず、車が農道の溝にハマッテイル光景は雪国では珍しくない。車の衝突が頻繁に発生して通行止めにあったり、渋滞でてんやわんや。
スノータイヤを履かずに、雪かき棒などがない状態では、もう完全にアウトである。
寒冷地帯の夜のアイスバーンは運転がうまくてもダメ。
運転べたナ私でも雪国の運転には自信がある。
国道のアイスバーンで逆回転して、やってくる大型トラックに跳ねられそこになって、一命を留めたこともある。雪国の失敗の数々が自信につながっている。
この時、私のアタマを瞬間によぎったのは、退散モードにスイッチを切り替えたお客様の不安要素を安心モードに変換してあげること。
それは車を被った大雪を取り除くことであった。
ホームセンターに急いで雪かき棒を取り寄せた。
早くしないとお客様が…必死であった。
先ず、お客様を運転席に誘導して、車のガラスの前後とまわりの雪をかいて、バッグミラーを拭いて、「気をつけてお帰りください!」と見送った。
ところが雪をかいても、かく上からまた積る雪にはマイッタ~。
大雪なのに下着は汗でビショビショになった。
大雪との葛藤、お客さへの「おもてなし」は演技では続かない。
「心のおもてなし」であったのは、暫くあとから気づいた。
ある時にサウナの化粧室で髪を整えていると、真横のお客様が「社長、私を覚えていますか? あの時に車の雪をかいてもらった者ですよ。あれから私はあなたの店に行ってます」
なんとも衝撃的な出会いである。
私の耳元に聞こえる情報は半年も遅く出回っていたらしい。
すでにこの話は人から人へと口コミで伝わり、人々の噂になっていたのである。
1店舗で300弱の店で設備の老功化、新台入替サイクルは競合の半分、最初は出玉の放出予算もままならない、こんな店にひとつの旋風が起きたのもこの時である。
「今だ、今が新台入替時期だ!」
このタイミングを一時もズラしてはならない。チャンス到来とみた。
判断は的中した!
お客様から頂いた口コミのお陰で「新台入替は心の入れ替え」に転換した。
心のおもてなしほど、最高のサービスはないと肝に銘じたのはこの頃(19年前)である。
それからというもの、新台入れ替え作戦の度に心の入れ替えにチャレンジを試みた。
今度の入れ替えの目的と性格などを戦略的意義として活発な論議が展開された。
利益計画と放出作戦との関係でお客様の気持ちに「点火!」できるものが何か。
機械は、接客は…
本当に燃えていた。「朝までナマスタッフ」といえば、少々こじつけになるかも知れないが、この時からちいさな単独店舗が地域を揺るがすように断然一番店へと変貌を遂げていった。
県下どこを見ても杜撰な接客が横行していた情勢のなかで、単純接客を飛び越えるホスピタリーの還元に一生懸命になれたのは、心底から喜ぶお客様の姿を素直に心の中でキャッチする人間愛が、スタッフの出動態勢を敏感にさせたのだろうと思う。
*このスタッフのお客様にあたえる出動態勢については、また詳しく述べる機会があると思う。
100台ほどの車を雪かきして、見送る時間3~4時間。お客様を見送る姿を見ていたお客さまとスタッフは心から挨拶を交換していた。
だから雪が降っても自分の責任です。
雪は決して冷たくなく、雪はとっても暖かいんです・・・・・・・
