パチンコ日報

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まずは適正な労務管理から

京阪奈社会保険労務士事務所の武居利記代表から寄稿が届いた。



以下本文



先日のエントリーにES(従業員満足)についての寄稿があり、今後連載が開始されるとのことですが、確かにESが達成されていなければCS(顧客満足)は「理屈でCSを向上させようと言っても肝心の社員が、会社や仕事に対して不満や不信が蓄積している状態では、結局のところ『笛吹けど踊らず』という状態に陥ってしまいます」(志田氏)との言葉の通り形骸化されてしまいます。



ESの概念は素晴らしく、それを推し進めることに対しては推奨以外のなにものでもありませんが、従業員に対してESという言葉の押し売りになってしまわないことを切に願いたいと感じます。



というのも、ESの手法については連載を楽しみにするとして、よくあるのが、会社がESという耳触りのよい言葉に踊らされて、形だけのESをついつい取り入れてしまうといった、従業員が満足していないESが蔓延しているという事実です。



従業員にとってみれば「従業員のため」という名目が表面的に見えるため、面と向かってはそれらの取り組みに対して文句を言えず、むしろ、ありがたがっている様相を見せなければならないという面があります。



もちろんどのようなESマネジメントを行うかにもよってきますが、喜んでいる様に見える従業員を見て経営陣だけが誇らしげに自己満足し、その裏で従業員は違うことを考えている場合もあります。



ESを推進するにあたって、順序を間違えては元も子もありません。



私は社会保険労務士という職業柄、数多くの会社を見てきていますが、土台ができていないがために、ESを推進しても効果が上がらない、もしくはなかなかうまくいかない会社が山ほどあるのをみてきています。



その土台とは言うまでもなく労務管理のことになりますが、私の経験上、従業員が会社に対して不満を漏らすのは往々にしてこの労務管理の不適切さです。



「有給休暇が取れない」



「残業代が出ない」



「労働時間が長い」



言い出せばきりがありません。最近では会社が「セクハラ」や「パワハラ」の対応をしてくれないというのも上位に位置し、これらの不満は蓄積されれば当然会社に対しての不審になります。



これらの労務管理に関する問題は、基本的には内部からも外部から指摘されることは少なく、弊事務所などの専門家に指摘される場合を除いて、指摘されたときは従業員が労働基準監督署などに申告し、是正勧告を受けた等何らかの重大な問題が起こった時の話が殆どです。



ただ、これらの問題は従業員にとってみれば自身の生活に直接かかわってきますので言葉にはなかなか出せませんが、切実な問題です。まずはここを押さえておく必要があります。



終業後、経営陣が「これから我社はみなさんにもっと気持ちよく働いていただくためにESを推し進めていきます!そのために…」と長いミーティングでESについてにこやかに話したとしても、終業後ということで、その長いミーティングに対しての残業代がでなければ、滑稽な話であり正に「笛吹けど踊らず」という言葉が当てはまります。



近年、インターネットの普及の関係でしょうか、情報が身近になり、従業員の労働法の知識は筆者が驚くほど深い場合があります。



労務管理に自信のある会社はぜひESを推し進めてほしいと思いますが、労務管理に一抹の不安があるのであれば、労務管理はESの土台となる基本的なことですのでESを推し進める前に見直すほうがよいでしょう。



ちなみに、終業後のミーティング、強制参加でなければ労働時間とはみなす必要はありませんが、強制参加であれば労働時間となります。



言葉で強制ではないと言っていたとしても参加しなければならない雰囲気があればそれは労働時間であり、賃金の対象となります。



以前TVで終業後自由参加という名目で1時間を超えるような反省会という名のミーティングが行われるような会社が元気な会社というくくりで堂々と報道されていましたが、雰囲気的にほぼ強制参加であり、筆者からみれば明らかに労働時間というものでした。



この会社はこの反省会に対して残業代は出ないとも報道されていました。



なお、一般的には、労働者が使用者の明示または黙示の指示により使用者の指揮命令下に置かれた時間を労働時間といいます。



ESは従業員を甘やかすことではありません。



加えて従業員を洗脳することでもありません。



ESマネジメントの成功している会社、従業員が生き生きと働いている会社は従業員に対して地道な努力を借しんでいません。



どのようなESマネジメントの手法が出てくるのか、志田氏の連載が楽しみです。





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コメント[ コメント記入欄を表示 ]

  1. ESのズレの一例かな??

    私は営業課で定時は一応9時~6時ですが、まあそんなわけもなく。

    営業はみなし残業だからどんだけ残業しても一律1万支給という事で、朝7時~11時が基本でした。(ちなみに朝7時までに来ないと白い目で見られ個人指導です)

    最近は早く帰ろうという事で朝6時半出勤~夜10時になりましたが。(涙)

    昼休憩も帰社厳守の事務員がいない間の電話対応。

    有給は会社が年間スケジュールで勝手に決め自分で選べず。(法的には問題ないと教えられました)

    皆勤手当てが2万あるので風邪引こうが絶対に休めない・・・

    ノルマを仮に達成したら次の月は絶対に達成できないノルマを科され歩合を阻止される。

    しかし、社長はこんなに素晴らしい会社は無いといつも言ってます。

    こういうのがESのズレなんですかね・・・
    しがない営業  »このコメントに返信
  2. ピンバック: しがない営業

  3. Unknown

    記事の無理矢理残業の店はさまーずのクレームの番組で紹介されたあの居酒屋ですね。笑

    情熱リーグはESとしてどうなんでしょうか?
    きゃたろう  »このコメントに返信
  4. ピンバック: きゃたろう

  5. しがない営業さんへ

    こんな素晴らしい会社はないと言う社長は沢山いますよ

    でもこんな素晴らしい会社はないと言う社員は少ない

    労働基準法を完璧に守ると多くの会社が倒産するらしい

    もしそうならば法律がおかしいのか?

    経営者の能力不足なのか?

    両方だとすると日本に明るい未来はないと思う
    ヘビーユーザー  »このコメントに返信
  6. ピンバック: ヘビーユーザー

  7. Unknown

    ESをCSに置き換えて読み返したらとても面白かったです



    顧客の求めていないサービスを押し付け悦に浸る従業員・・・



    情熱リーグU+203C!(爆





     »このコメントに返信
  8. ピンバック: 鳥

  9. Unknown

    この業界に限った話ではなく、

    今話題のいわゆる「ブラック企業」とかの問題ですね。

    日本では労働基準法は「知らない方が幸せだった」な

    法律と化してしまってますが。



    恐怖政治や洗脳、同調圧力だけで

    従業員を使い減らす会社では、先が見えてきます。



    この業界は

    特に離職率の高い業界ですから

    その辺が顕著に表れている気がしますね。



    接客だの情熱だの言ってても、

    所詮は虚仮でしかないと思えてきます。
    どこかの誰か  »このコメントに返信
  10. ピンバック: どこかの誰か

  11. Unknown

    世の中には色んなブラック企業があるんだなぁ
    地方の蜻蛉  »このコメントに返信
  12. ピンバック: 地方の蜻蛉

  13. 専門家のご意見を期待しています・・・

    京阪奈社会保険労務士事務所さまのHPを拝見させて頂きました。



    ◆《サービス一覧》をみると、

    ・「顧客toぷらす」

    ・新規創業支援パック

    ・是正勧告・臨検対応納得パック

    ・完全予約制経営無料相談会

    ・平成24年労働保険年度更新・算定基礎届代行



    そして、

    ・ホール企業向け労務管理研修

    その項目の《詳しくはこちら》の中に、

    「京阪奈社会保険労務士事務所ではホール店長及び役職者向けの労務管理研修会を行なっています。

    ホール関係企業様での研修会は元ホール店長で現弊事務所代表が直接全国に赴いて行います。」

    とありました。



    元ホール店長、寄稿された武居利記代表は現場に精通された労務士さんのようですね。



    >ESは従業員を甘やかすことではありません。

    >加えて従業員を洗脳することでもありません

    >ESマネジメントの成功している会社、従業員が生き生きと働いている会社は

    >従業員に対して地道な努力を借しんでいません。

    恐らく、ESの類も現場を熟知し、体験に裏付けされた「ノウハウ・手法」、「ポリシー」をお持ちなのかと・・?



    P産業再生(改善・改革)の一助になるかも知れない、二つの『叡智』を

    知ることができるのでは・・、と思っています。

    《専門家》の方々が、P産業再生の為の一側面として「ヒト」にスポット(テーマ)を当て、

    論じられるのは《意義あること》のように思えます。



    私のような市井の徒の妄想じみた駄文ではなく、良識ある専門家の語り。

    そしてそこで、ヒトをテーマにP産業再生の何らかの《ヒント》が語られるのを期待しています。



    一人の『叡智』より、二人の『叡智』、ですよねっ!
    蜻蛉の親爺  »このコメントに返信
  14. ピンバック: 蜻蛉の親爺

  15. Unknown

    Employee SatisfactiontがCustomer Satisfactionに強い影響を与える事が分かっています。
    しかし 従業員の人はそんなこと言ってはいられないのです。

    知ってますか? TPP Trans-Pacific Partnership
    単純言えば国同士の関税を取り払うってことです。

    関税がなくなれば 当然 日本の大企業は人件費の安い海外に向上を作ります。関税がなくなると工場のメインは海外に移るのです。

    内需はといえばアメリカ・オーストラリアの商品が安く売られることとなる。

    商品というのは大量生産の方が安いのは周知で、土地が余るアメリカ・オーストラリアが有利なのです。(農産物だけではない)

    内需産業は、競争に打ち勝つには人件費の安い労力に頼ります、アジアでいえば東南アジア。(今でも中国人の就労者は多いい)

    パチンコ屋もカジノ(換金可能なゲームセンター)に負けじと東南アジアの従業員を雇う。

    つまり 失業者が増える

    日本企業は海外に進出しているので痛くも痒くもない。

    結果、高齢化が加速し 定職のない”起業家”が増える。

    起業家に年金支払う能力もなく、年金制度も崩壊。

    愚痴の多いい従業員は誰も雇わなくなり・・・

    ESとかいう言葉は言葉の化石となる。
    ぱちんこ日報を日本一にする会  »このコメントに返信
  16. ピンバック: ぱちんこ日報を日本一にする会

  17. Unknown

    CSを向上させる為にはまずESから…というのであれば失笑もんですね。



    この記事の方に悪意はありませんが、ホール経営にコンサルが絡むようになってから客目線ではどんどん状況が悪化するばかりです。

    むしり取る事ばっか考えてもね…
    わんわん  »このコメントに返信
  18. ピンバック: わんわん

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