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1物1価の補足的考究と「2物2価」の考究

船井総研の小森勇氏が提唱する二物二価の本論がこれだ。



以下本文。



前回の寄稿を読んで頂いた読者の中に、十分な理解が得られてないんじゃないか?と思われるポイントを掻い摘んで列記します。



「換金等価」と「賞品等価」とは全く似て非なるものであること。換金等価が大手企業を中心に“当たり前”という状況は、可及的速やかに解消の方向に業界が舵をきらなければならないこと。



「賞品の等価交換を通じてホールは営業利益を生み出すのだ!」という大原則を確認すると、ほぼ10割の出玉率(機械割数)で仕入れ努力をしてしっかり儲けるのが営業部長の仕事となる。



間違っても「9割の割数を8.7割に落とすと更に儲かる」という出玉率調整で利益を生み出す、という長年の「割数発想」を頭から消し去ることができるのか?



「換金手数料」などという今まで当たり前のように呟いて来た悪しき慣行を、本当に綺麗さっぱり消し去ることができるのか?



上記の3点だけでも我々業界人の意識を変えるのは並大抵ではない!と思われるのです。



しかし、真の遵法営業をしていこうとするならば、必ずクリアしていかなければならない大命題だと考えます。



重ねて申しますが、4パチと1パチの交換レートを揃えれば足りる、とか、PとSの交換レートを揃えれば足りる、とかの議論に“すり替えて”1物1価問題を矮小化するのもダメということです。



「2物2価」の考究



いったい2物2価とは、どういった状態を指すのでしょうか? 今年7月のプレイグラフ誌に三堀清弁護士が論考されているのが大変参考になります。



それによると、2008年7月3日の石川県警の文書が参考になるとの由。



それによれば「特定の遊技球等に対する賞品を(それぞれ)設けて、客の賞品選択の自由を排除するものであり、いずれも換金行為を前提とした賞品提供方法である。」と指摘されています。



これによれば、賞品として一般商品が提供される際には、敢えてPとSとで賞品を区別しないのに、“特殊景品”の場合だけPとSで提供賞品を分け、2種類用意することは、客の賞品選択の自由を排除することになる!更に結果として「賞品取りそろえ義務」(風適法施行規則35条2項2号)の主旨に反することになる。



また換金行為を前提とした提供方法である!というものであります。



この石川県警の見解に対し弁護士の三堀氏は、民法第586条(交換)の法理解釈上は、ぱちんこ店側にも賞品提供者としての営業の自由がある程度ある!という解釈も成り立つ、と指摘されています。



これは大変興味ある指摘です。



と言いますのも、民法は私的自由を最大限尊重する法体系を前提にしており、風適法もそうした私的契約自由の原則の“行き過ぎ”を規制する行政法ではありますが、いくら民法よりも行政法が優先するとは言っても、自ずと限界があるというのが、法曹界の通念だからです。



この見解でいくと、賞品交換のリクエストを受けるP店側にも、ある程度提供の自由の幅を持たせてよいのではないか?という見解も出てきます。



例えば私が考えますに、5スロを初導入するホールからすれば、当面5スロ客をバッチリ付けんがために、期間限定で5スロ限定のロールケーキや北海道内限定流通のポテトチップスを5スロ用にのみ提供する自由は認められると思います。



なにせ我が国は資本主義、自由主義経済の国ですから(笑)。

 

賞品取り揃えとは言っても、ぱちんこ店は物品販売業ではなく、あくまで交換業なのですから、20円スロット客が強引にその限定ロールケーキを欲しいと主張しても、お店側は「ごめんなさい、期間限定で5スロ用なんです」と言っても違法とは言えないのです。



三堀弁護士も仰る様に、お客の持っている権利と言うのは「賞品交換が可能という期待権(期待利益)」だと思うんです。



問題は、これを所謂「特殊賞品」にも当て嵌めることが可能か?という点です。

 

結論的に私見を述べますと、1つ屋根の下で1つの営業許可証の下で営業を許されているホールとしては、難しいのではないか?と考えます。やはり「特殊賞品」というものは今日の現実では流通価値の極めて弱い物品が使用されている点から見て、ホールは突っ張れないと思います。

 

※但し、先週配信しましたように、市場価値の十分ある黒チョコレートのようなモノが「特殊賞品」として使われるようになれば、再検討の余地は出てくると思います。



これに対しては、次のような反論もありうるでしょう。

 

つまり、「ぱちんこ遊技機」と「回胴式遊技機」は型式試験の種類も違い、公安委員会によるホールへの販売許可も型式の違いを前提とするから、PとSの賞品を共通のものにしなくても良いのではないか?と。



私見/確かに形式的には型式がちがいますが、同一営業許可証のもと、同一屋根の下で営業を営む以上、賞品だけ別ですよ!というのは理屈的に通りにくいと考えます。



やはり、ここはP店とS店、あるいは4円P店と1円P店とは、別々の営業許可証を取得して、提供賞品を別々のものを提供すべきだと思います。



昨今、PとSのW店舗、ないし4円P店と低玉P店のW店舗の許可がなかなかもらえない!という声が聞こえてきます。

 

思いますに、前回と今回で考究させて頂いた議論をしっかりと県警ないし所轄と話し合われると、法理論的にはW店舗を認めないとする論拠は大幅に減ると思います。あえて言えば出入り口を別々のものとすることによる、消防法上の規制の関係とか、駐輪場の設置場所とか、そんな店を1個1個つぶしていくべきだと思います。



(了)





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コメント[ コメント記入欄を表示 ]

  1. Unknown

    ご提案が全国のホールで可能だとお考えですか?

    既に弊社では所轄からNGを頂戴しています。

    一例を挙げますと、W店舗の2店目は許可が下りない環境地区だから。他にもありますよ。W許可は永遠にないと思います。それは市民への配慮です。

    小森様にお伝えしたいのは、違法でないからこうやれば、の類のご主張はパチンコ業界では無理難題との面がある。それはホールコンサルの小森様なら知らないはずない。

    違法でなければ、を前提にする主張は、嫌パチ派が主張する三店方式問題と同じだと思います。
    中堅ホール本部付役職  »このコメントに返信
  2. ピンバック: 中堅ホール本部付役職

  3. Unknown

    規則に反するのではなく、規則の主旨に反するということが違法行為なのだろうか?

    賞品取りそろえ義務についても個々のレートで品目数・種類数を満たしていればよいのではないかという点も全く触れないのだろうか?

    専用賞品と射幸性については警察は通達で触れているにもかかわらず、なぜこれを無視するのだろうか?



    >民法は私的自由を最大限尊重する法体系を前提にしており、風適法もそうした私的契約自由の原則の“行き過ぎ”を規制する行政法ではありますが、いくら民法よりも行政法が優先するとは言っても、自ずと限界があるというのが、法曹界の通念だからです。

    とは言うものの、風適法の規制目的と許されると思っている行為との関係に全く触れずに「法理論的」に説得力があるのだろうか?
    不思議  »このコメントに返信
  4. ピンバック: 不思議

  5. Unknown

    言いたい事は良くわかります。



    が、しかし、「合法」だとハッキリ言えない業種である以上、思惑どおりに進めるのは困難でしょう。

    基本的な考え方が、「脱法」に向かいがちの業界なので、その手の判断で乗り切ろうとしがちですが、本来は「合法」お墨付きを貰う方に、熟慮すべきなんですが・・・誰か剛腕振るえる人いないもんですかね。。。
    たんぽぽ  »このコメントに返信
  6. ピンバック: たんぽぽ

  7. Unknown

    小森さん

    あなたのご意見は承りました。

    だがこれを実行可能なホールは全体の何%だと思ってますか?

    結果大手だけ生き残るようになりませんか?
     »このコメントに返信
  8. ピンバック: 金

  9. 理屈ではそうでもね・・・

    抜け穴探しではない為上記の方法は良いと思いますが



    やはり根本的な問題として博打は駄目があります。



    ギャンブル性が強くなる傾向が強い業界全体の姿勢が問題です。



    スロットを見ても規制と射幸心のせめぎあいです。



    いつか韓国のようにパチンコが規制される日が来るかもと心配します。



    パチンコでお金が稼げるから映像コンテンツを作るお金が投資されるなどいい面も有ります。



    パチンコ業界も競馬のような存在になって欲しいです。
    あさ  »このコメントに返信
  10. ピンバック: あさ

  11. ○○界の通念や理論を超越したものが・・・

    《 思考イメージに過ぎませんが・・・ 》



    歴史の事実として、戦勝国による“復讐儀式”と言える極東国際軍事裁判(東京裁判)があります。

    日本が世界征服をたくらみ、アジア各国を侵略したと連合国側が断じた裁判です。(大東亜戦争)

    日本人に自虐史観(東京裁判史観)、劣等感や罪悪感を植えつけ、そのアイデンティティを喪失させた根源だったと言われています。

    米国内からすれば、“落ちこぼれ”の吹き溜まりだったGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)。

    その司令長官ダクラス・マッカサーが任命し、国際法の分からない、戦勝国寄りの「判事」によって審理された裁判です。

    その中に、「法の真理」に準じたインド人の国際法の学者ラダ・ビノード・パール判事はいました。

    それ以外の判事は、観光旅行や宴会にうつつを抜かしていた・・・と言われています。



    >風適法もそうした私的契約自由の原則の“行き過ぎ”を規制する行政法ではありますが、

    >いくら民法よりも行政法が優先するとは言っても、自ずと限界があるというのが、

    >法曹界の通念だからです。



    >前回と今回で考究させて頂いた議論をしっかりと県警ないし所轄と話し合われると、

    >法理論的にはW店舗を認めないとする論拠は大幅に減ると思います



    “法曹界の通念”“法理論的には”・・・・???



    私の中に、敗戦国ニッポン=パチンコ業界、GHQ=県警ないし所轄と云う図式がイメージとして離れません。

    残念ながら、東京裁判ではパール判事の主張(国際法の正義と真理にのっとって裁く)は一切認められなかったのです。

    観念的抽象論ですが、「二物二価の考究」も同類?・・と感じるのは、私だけでしょうか。
    蜻蛉の親爺  »このコメントに返信
  12. ピンバック: 蜻蛉の親爺

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