カウンター係の女性スタッフはまだ新人さんだった。このホールでは景品自動払い出し機を採用している。
ホール内は騒音洪水状態でカウンター係の女性の声は聴きとりにくい。そういう状況下で“事件”が起こった。
お客さんは大10個、小5個の特殊景品を獲得したことをデジタル表示でも確認した。ホールでは景品を渡す時にスタッフが「大が10個、小5個です」といって渡すようにしている。
でも、客の耳にはその声は騒音の中で聞き取りにくい。客はデジタル表示で確認、スタッフも個数をいって渡しているので、何の疑いもなくそのままTUCに向かった。
ところが、TUCで大が9個しかないことに初めて気づいた。
すぐにホールへその足で引き返した。
「大が1個足らなかった」とカウンタースタッフに告げた。
「機械トラブルがあって後から1個出てきました」
「それなら、なんで、すぐに追っかけてこないの!」
「戻られてくると思いましたので」と素直に謝らず、言い訳をしたために、客の怒りに火が付いた。
その様子を見ていた主任が割って入り、平謝りで客の怒りを鎮めた。
景品自動払い出し機はメーカーによって払い出す方式とスピードが若干違う。
同ホールが採用していた払い出し機は、景品を下で数えてリフトで上げるタイプで、払い出し個数が多い場合は、二度に分けて払い出す。そのため、もう一度リフトが下に下がって景品数を数えて再び、上に上げて払い出すために、若干のタイムラグが起きたりする。
その2回目の払い出しの時にマシントラブルがあり、1個だけ遅く出てきてしまったことが原因だった。
この報告を受けた店長は考えた。
「今回の落ち度はうちにあった。払い出しを終えるとデジタル表示は消えるが、次のお客さんが来るまでは表示をそのままにしておく。そうすれば、今回のようなことが起こってもお客さんからのクレーム対応がスムーズになる」
早速、この件を景品自動払い出し機メーカーに問い合わせてみた。
「払い出し終えても5秒ぐらいは点いています。払い出し機には待機設定という項目があるはずです。ポス側の設定でできます。待機設定機能がなくてもソフト対応で可能でそんなに難しい問題ではありません」
こういう要望自体初めてのようだが、現場のニーズが発明の母ともなる。

※コメントには必ずハンドルネームを入れてください。匿名は承認しません。コメントがエントリーになる場合もあります。