慢性的人手不足が続く中、一般的なサービス業よりも高い時給で人材を確保してきた歴史がある。実際、ホールで働く若者や主婦を数多く取材してきたが、異口同音に時給の高さがホールを選んだ理由だった。
人手不足で高い時給が払えたのは、それだけホールが儲かっていた証だが、黄色信号が点灯している。特に地方では低貸しの稼働低下に伴い、これまでのような高い時給を払えなくなっている。都内のホールでも稼働低下に伴い、アルバイトを切り、社員で回しているケースもある。
では、アルバイト時給のプライスリーダーは、どこに取って代わられようとしているのか?
時給格差を取材している経済紙の記者によると、その正体は会員制の倉庫店舗「コストコ」だった。
コストコのアルバイト時給は1400円からスタートする。「同一労働同一賃金」を徹底するコストコは、基準は一番時給が高い東京に設定されているため、地方であろうとも東京と同じ時給になる。
岐阜県のコストコを取材していた記者は、岐阜県内のホールから転職してきた男女に巡り合う。ちなみに彼らの勤務先のホールの時給は1200円だった。岐阜県の最低時給は880円なのでホールの時給でも十分魅力的だが、さらにその上を行くのがコストコだ。
今回ホールからコストコへ転職者が出たように、コストコ周辺の業種は時給を上げないと優秀な人材も採れなくなる。ホールでも1400円以上の時給を提示することはかなり難しい。
仮に時給を上げた場合、それまで5人でやっていた仕事を3人でやらなければなくなるので、雇用問題にもかかわってくる。
コストコの「同一労働同一賃金」には、一方でこんな狙いがある。
相場よりも高い賃金なら離職率が下がり、ムダな採用コストや教育コストもかからないようになる。雇用したアルバイトがすぐにやめてしまうと手続きやいろいろ教えるのに時間がかかって大変だが、時給を上げて辞める人が少なくなれば、教育コストをアルバイトの方に還元することもできる、というわけだ。
コストコがパチンコホールに代わってアルバイト時給のプライスリーダーになっているが、全国に30店舗なので、影響を受けるのはコストコ周辺の業種で、大きな影響にはまだ至っていない。
次はホールから農業へ転職した夫婦の話だ。
農業従事者の平均年齢は65歳。後継者がいないために、どんどん高齢化が進んでいると共に、耕作放棄の農地は増える一方だ。
そんな農業の世界へ飛び込んだ夫婦の年齢はまだ30代、と若い。ホール勤務時代は2人併せて手取りは40万円ほどだった。
10店舗以上のチェーン店に勤務していたが、低貸しが主体で社長や店長が「1円は儲からない」とボヤいているのを聞くのが嫌になって、農業を選択した。
農業は若者が参入してくれることに大歓迎だ。
今回のケースでは1年間家賃はタダ。農地は月1万円で借りることができる。
「農作業はキツイけど、将来性が見込めるので転職しました。今思うとホールの仕事は楽だった。ホールの給料より収入は下がったけど、そのうち逆転する。農業は高く売れる野菜を自分で作って売ることができる」と夢を膨らませる。
業界に将来性があれば転職することはなかったかも知れない。
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