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業界歴が20数年ともなると、自分の娘と同年齢のアルバイトスタッフを採用することになります。
娘と同年齢のアルバイト女子に「○○さん かわいいね」と言ったところ○○さんは会釈。
ところが横で聞いていた主任が、
「店長 セクハラにつながります」
「えッ! 親がかわいい子供に『かわいい』ということと同じなんだけど、セクハラなんて…」
「店長の思いではなく、声をかけられた本人がどう感じるかです。ましてや特定の女性スタッフに『かわいい』と声をかけると他の女性スタッフから不協和音が生じる恐れがあります」
「俺は上司として全員かわいいと思っているし全員、声かけしている」
「そうじのおばさんに店長が声をかけている姿は見たことがありませんが」
「・・・・・」
主任の言うことは全く正論です。ただ、「息苦しく」感じておりました。
そんな出来事があった数日後のことです。
ある部品交換が必要となり、メーカーに要請のところ、部品供給の段取りが悪く、とまどうS社。
「所轄に今日中に書類を出さないと土日稼動できない。今から取りに伺います」ということで元町の大阪支社に行きました。
日頃はショールームしか訪れることはありませんが、この日初めて総務・経理の部屋へ。
担当者と部品・書類のやりとり後、あるポスターが目に入りました。
【セクハラ窓口、ホットラインTEL○○○ー○○○○】
私は思わず担当者に「セクハラ相談窓口は、設置しなくてはいけないのですか?」と聞きました。
「そうですね。コンプライアンスの一環です」
「でも、実際どうなん。どこまでセーフでどこからアウトなん?」
「アウト、セーフは受ける側の判断ですね」
まさしく自店主任と同じ見解。しかしどうしても素直に引けない私。
「マリンちゃんに似てるねはアウト、セーフ?」
「それはセーフでしょう」
「では、マリンちゃんの格好して」
「ア、ア、アウトでしょう」
「でもその女性が『マリンちゃんの格好大好き』と喜んでいたらセーフでしょ」
「そうですね。点(その一言)だけで捉えるのではなく線や面(前後の脈絡や日頃の人間関係)で判断すべきでしょうか」
と他愛もない会話は終了しました。
同じアウト、セーフの会話シーンが警察検査で起きました。
所轄の担当者△係長。
最近の検査では新台だけでなく店内POP、ポスターなどかなり念入りに見ておられます。
海コースの床シートの上で立ち止まり、「うーん」といった表情。
「な、何か問題ありました?」
実は広告規制以来、問題にされそうな文言は念入りに修整したつもりでした。
「『全ては海とともに』とはどういう意味や?」
確かに床シートにはほんの小さく海と共にの文言が…。
「他意はなく、デザインの一部かと…」
「アウトやな~」
「えっ!」
「アウト、セーフは店側でなく、こっちが決めるんや」
「か、か、かしこまりました」
「店長さん、言うておくけどな」
「は、は、はい」
「とにかく余計なことはせんで欲しいんや、問題に思われたら本部が入ってくる。そうなると俺もあんたも困るんやで」
“俺もの”のくだりは妙に迫力がありました。
「は、は、はい」
「9月までに改善してや、それ以降は処分の対象になるで」
「かしこまりました」
所轄とのやりとりで使う言葉は「はい」と「かしこまりました」のふたつと日頃、部下に言っており、それを自ら実践し事なきを得ましたが・・・。
このようにセクハラ問題も広告規制も相手次第で基準がはっきりしない戸惑いがあります。
しかし「はっきりしないから柔軟な運用がされている」と前向きにとらえています。
もちろん時代背景・環境変化で規制や摘発の濃淡は発生します。
「この業界だけ(所轄解釈で振り回される)」と言われたりしますが、「良く似た事例は多くある」と感じる今日この頃です。
ちなみに「それってセクハラや」と言われると気の弱い私は「シュン」となり、うつむいてしまいます。
黄門様の印籠を見せられた町人状態です。
「被害者はそれ以上にダメージを受けているのです」と言う声が聞こえそうですが。
黄門様は1週間に1回しか使ってません。しかし「セクハラや!」は無制限。
文中で触れたとおり、点(言葉尻)で捉えるのではなく線・面(前後の言葉の脈絡や日頃の人間関係)で捉えて欲しい、と思うものの、所轄同様に職場の女性たちには念入りな配慮が必要、と言ったところでしょうか。
「過払い金請求報酬」による利益がひと段落し、弁護士諸氏が今度は「セクハラ問題」や「サービス残業」ネタでの報酬を狙っているとかいないとか。
ガードが甘く、お金がありそうなパチンコ関連企業が狙われやすい?
あらゆる面でコンプライアンスが問われる時代です。皆様、職場の人間関係を定期点検されることをお勧めいたします。

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