パチンコ業界は慢性的な人手不足で、求人を出しても応募が来ない。 やっと来たと思ったら、面接当日にドタキャン。面接に来たと思ったらホールの方が断りたくなるレベルだったりする。
このホールは「そうだ、寮を復活させよう」と一念発起する。
新たな求人広告には、「寮費無料」との文字を躍らせる。これは、特に若い求職者にとっては大きな魅力となる。なぜなら、東北地方ではワンルームの家賃と光熱費を合わせて、5万から6万円の出費がかかるからだ。
給料の面でのアピールよりも、「住む場所が無料」というのは心理的なハードルが低い。この戦略は、なかなかしたたかである。
さて、問題はその寮である。20年間放置されていたため、当然ながら中は荒れ放題。 「これをリフォームすれば、きっと使える!」と決断した。数百万円のリフォーム費用をかけて、ピカピカの社員寮に生まれ変わる予定だ。
部屋は8室。ちょうどバイトや新卒社員が住むには手ごろなサイズだ。さらに、Wi-Fi完備にし、共有スペースにはちょっとしたキッチンや洗濯機も並ぶ予定だとか。「令和のシェアハウス風の寮」までアップデート。これで若い世代にもアピールできるという算段だ。これで美味しい賄付きならパーフェクトだが、食事の方は付いていない。
しかし、寮という言葉には、ある種のノスタルジーも含まれている。昭和のパチンコホールといえば寮付きが当然だったことがあった。それが、時代とともに「個人の自由」が重んじられるようになり、寮というシステムは廃れていったのだ。
しかし、今、その寮が再び注目される時代が来た。コロナ禍でもリモートワークや在宅勤務が広がり、「職住一体」が新たなライフスタイルとして受け入れられるようになった。
大手企業でも「社員寮」が復活してきたのには驚いた。住宅価格の高止まりを背景に再評価されているのだ。
このホールの寮復活計画が成功するかどうかは、誰にも分からない。しかし、少なくとも「寮費無料」という条件は、地方の求職者にとって大きな魅力であることは間違いない。
これが成功事例となれば、ひょっとしたら、全国的に「寮付き」が再び増える時代が来るかもしれない。寮という名前のノスタルジーが、「人手不足の救世主」として再び新しい価値を持って蘇るのか注目したいところだ。

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