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今では考えられないやりたい放題のホールがあった。
業界回顧録として残しておく…。
兵庫県警姫路署には「警察の目は節穴か! あんな無茶な営業を放置するとはそれでも警察か! 警察はパチンコ屋から金でも貰ろうとんのか!」と匿名の市民からの電話が入ったことは一度や二度ではなかった。業界内でも「あの店のことは絶対に書かないほうがいい」と忠告が入った。
500台オーバーの大型スロ専は、不正改造を行えば一発営業取り消しになる時代に裏モノ天国だった。大人しいジャグラーでさえ、爆裂連チャン機だった。裏モノが打てることから駐車場には岡山、高松ナンバーの車も珍しくはなかった。
そうした違法営業を兵庫県警は何年も放置していた。
警察も舐められたものだ。夏場の猛暑の中。新台入れ替えの検査へ行っても、店内のクーラーも電気も消しての対応で、警察を迎え入れる姿勢はなかった。担当官は蒸し風呂状態の中、汗だくで検査させられた。
健全化推進機構の立ち入り調査で黒と判定が出た。警察の威信にかけて2年前の夏、ついに摘発に乗り出した。捜査対象は当該スロ専と系列のホール2店舗、通常この規模であれば捜査員は10名程度だが、今回のケースでは120人もの大量捜査員を投入した。
家宅捜査は開店前に行われた。
警察官が捜査令状を見せるが、中からは「鍵はおまへん」と相変わらず舐めきった態度である。
捜査員もそんな抵抗は先刻承知で、エンジンカッターでドアを蹴破った。すぐにスロットの基板を調べた。ロムの足が切れている。
「全部めくれ!」と号令が鳴り響いた。
基板の裏にもう一つの基板が隠されていたりやりたい放題だ。押収した550台中、370台が不正機だった。
警察の捜索が始まって、それまでいた従業員の姿がいつの間にか消えていることに気づいた。店内を調べると島の中に人一人が通れる通路があり、柱の中に2階に上がるはしごが隠されていた。
捜査員もそのはしごを伝って2階に上がった。事務所のドアは暗証番号になっている。
警察が「開けろ!」と怒声を上げても「忘れました」。
捜査に協力する姿勢は1ミリもない。
捜査員が2階の事務所に入って一番驚いたのが、壁が隠し扉になっていたこと。ニンジャ屋敷のように壁がひっくり返り、駐車場へ逃げられる仕掛けが施されていた。
いつでも逃げられる用意だけはしていた、ということだ。
今回の不正機の摘発で5人が逮捕され、営業許可はもちろん取り消された。別件の恐喝容疑で指名手配されていたオーナーも逮捕された。

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警察捜査員を120人も大規模動員し、エンジンカッターでドアを破壊して強固突破。
店内には隠し通路・隠し部屋・ニンジャ屋敷的構造になっていた。
現場に立ち会ってたの?って感じでドラマティックですけど。
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役員に若いお姉ちゃんが居たり…摘発時は機動隊投入でしたよね…
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