
コロナ逆境を乗り越えてきたのが星野リゾート (星野佳路社長)だ。WBFホテルの再生スポンサーとして星野リゾートが現在運営している。
宿泊業界がズタボロになる中、どうして乗り越えられたのかというと、フラットな組織づくりがそこにはあったからだ。フラットな組織を一言で表すと、トップの決断でも却下される変な組織でもある。
星野リゾートがまだ星野温泉時代の30年以上前は採用に苦労した。長野県にある無名の旅館に加え、観光ホテルでは年末年始、土曜祝日が休めない。同じ地域にある工場で働いた方が休みもあるし、給料も高かった。
星野佳路氏が4代目社長に就任したのは1991年。まず着手したことが社員の手で最高のチームを作ることだった。
星野リゾートの組織力は「エンパワーメント」とも呼ばれている。エンパワーとはやる気のある社員のことで、やる気を出させるためには、経営情報、意思決定の公開が第一ステップだった。
先代の星野温泉時代は、父である社長の意思決定の下に社員にやってもらうパターンで、やる気のない社員の責任は本人にあった。
経営を引き継いだ時代は、「やる気のない社員の責任は経営者にある」という時代に替わっていた。経営者の役割は社員のやる気を出させることに替わっていた。そこで星野社長はスタッフのモチベーションを高め、良いチームを作って、働きやすい環境を整え、そして、経営の実績を出していくことから始めた。
宿泊業のトップは総支配人であるが、決定権があるから偉いのではない、というのが星野社長の考えだ。
正しい経営判断ができるまで、フラットな組織で正しい議論をすることが、正しい判断をする確率が上がる、と考えている。これが星野リゾートの文化にもなっている「フラットな組織」だ。
フラットな組織とは職責やポジションに関係なく議論できることだ。言いたいことを言いたい人に直接言えるコミュニケーションスタイルだ。
フラット組織で大事なことは、「偉い人信号」をなくすことだ。
どういうことかというと、部長のデスクは一般社員よりデカイとか、総支配人は個室のオフィスを持っているとか、社長は運転手付きの社用車に乗っているとか、取締役以上はビジネスクラスに乗るとか、そういうのが偉い人信号だ。
この偉い人信号がある限りフラットな人間関係にはなれない。それを実践するかのように星野社長には社長室もなければ、社用車もない。
星野リゾートが再生案件に入る時は、まず、総支配人の個室を撤廃するところからスタートする。
ただ、体が疲れる海外出張ではビジネスクラスは、20%の自己負担で誰でも乗ることができる。これがフラットな組織の神髄とも言える。
フラットな人間関係ができると面白い現象が起きる。舘山寺温泉の「花乃井」の再生を果たした時、記念の集合写真で総支配人がどこにいるか分からない。普通は前列に真ん中が定位置だが、組織がフラットになるとそんな慣習もなくなる。
フラットな組織では組織図は逆ピラミッドになる。一番上がスタッフで、自分の頭で考え、自分で行動する。これがエンパーメント=やる気のある社員を作ることにつながる。
やる気を引き出すためには経営情報の共有がある。総支配人が会社について沢山の情報を持っていると議論がフェアではない。一般の会社では中間管理職のステイタスを維持するために情報量の格差をつけることはよくあることだ。
星野リゾートでは経営情報を共有して議論することが一番いいことだ、と捉えている。
星野リゾートで物事を判断するために、顧客満足度アンケートが肝になっている。ここを徹底的に調査して完全に共有している。これが星野リゾートの強味だ。
方法はサンキューメールを送り、アンケートの回収率を高めている。部屋にアンケートを置いているだけでは、すごく感動した人か、凄く不満があって怒っている人で、この2つからしか返事が返ってこない。
星野リゾートは中間層の意見が大事なので、総支配人に対しては、唯一アンケートの回収率の目標設定をしている。回収率を高めることが正しい満足度結果につながるからだ。
正しい満足度結果をタイムリーにスタッフに共有することが正しい議論につながる。ネガティブなアンケート結果も日々全員が見ることができる。不満層をクリックするとどういうコメントをしているかが見られる。それによってスタッフは自分の施設がどういう状態に置かれているかを把握することができる。
2020年3月25日、小池都知事がオーバーシュート発言した時、優先順位の組み換えを行った。コロナ環境での基本3大方針は、次の3つ。
① 現金を掴み離さない
② 人材を維持し、復活に備える
③ CS・ブランド戦略の順位を下げる
現在、観光業界は人材不足に陥って大騒ぎしている。それはコロナ禍で人材を切ることを容認したケースで人材不足が起こっている。
おカネはすぐに借りることができても、人材は借りるわけにはいかない。育てるまでにまた30年かかる。だから人材を維持して乗り越えることが復活を早めることになるので、優先順位の2番目にした。
CSを犠牲にすることは4月に決断した。CSに拘るのを止めるとコスト削減のアイデアも沢山出たが、CSそのものはそんなに下がっていない。そういう意思決定をしたことで効果が上がったことがポイントになっている。
危機はブランド力を捨ててでも乗り越えなければいけない。危機対応としては雇用調整助成金で固定費を下げたことで、採算分岐を下げ、集客数を低く設定することができた。
県をまたいでの旅行が規制されたが、車で1~2時間で移動できるマイクロツーリズムは日本全国で需要がある。マイクロツーリズム=危機を乗り越えるためにやることが明確になった。
ご近所旅行のおススメをスタッフが模索した。近場の情報発信は地方のタウン誌を安く活用できた。県民割がマイクロツーリズムを政策的にサポートしてくれた。旅行需要はだいぶ回復してきた。
星野社長の仕事は方針決定で、それを実践するのが現場の試行錯誤と創意工夫である。それができるのはフラットな組織を徹底した結果だった。
以上
フラットな組織づくりはなかなか容易ではないだろうが、困難なことに早くから着手した組織があったからこそ、この難局を乗り越えることができた。最終的にものを言うのは人間力である。
業界を見渡すとフラットな組織とは対極にある。トップの顔色を伺いながら自由にものが言えないから活発な議論も生まれてこない。

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経営層が社内、社外、大小の全ての課題に対応すればいいのですが、
現実はとても無理なので現場に権限を譲渡して運営います。
フラットな組織とやらで
情報の集約と、意思決定と、スピーディな行動、それが成り立つのでしょうか。
ピンバック: 業界人
ピンバック: 頑張れサファイア
おそらくここの業界はコレを実行はおろか学ぶことすらできない、しないでしょう、適当な理由をつけて。
実際に行って乗り越えたという記事なのに、難癖つけて持論を展開する老害もいるようですし。
絶対に偉い人信号が大好きですよね。見せびらかして優越感に浸ってなにもしない。
やはり凝り固まった頭じゃ駄目なんだとしみじみ思いますわ。
ピンバック: 通行人
ポジションに関係なく発言できるとは、それほど珍しいものではないと思います
ピンバック: 業界人
ピンバック: ポンタ
この記事のようにやったら居場所無くなるのが解るからかコメしてこないし。
俺様はエライ、って言いたい自分の牙城がどんどん崩れていくのを見ると面白くてしょうがない。
ピンバック: 変な奴ばっかり
あんなに面白い「パチンコ大賞」を販売した西陣が
まさかその約30年後の現在
廃業に追い込まれるなんて夢にも思いませんでした
ピンバック: パチンコ大賞
「正しい経営判断ができるまで、フラットな組織で正しい議論をすることが、正しい判断をする確率が上がる」
そもそも正しい経営判断が未来永劫できないと言い切れます。もともと低レベルすぎて学べるレベルにありません。まぁそんなの関係無く何もしないでしょうけど。
ホテル業界は末端の従業員レベルでも頑張れば集客に繋がる行動ができますよね。客目線を持って色々な事に気付けば、利用客の満足度を上げることも可能です。
ですがこの業界はそうはなりません。※例外の例外くらいはあるのかも。
客目線を持っていようがいまいが、末端の従業員レベルじゃ客の満足度を上げる事は非常に難しい。
この業界はギャンブル業です。
お客さんの満足度を上げるには…、言わずもがなですよね。
自店の機械たちが、1プッシュ500円で玉借りて1度も回らないなんてこともあるような状況の中、笑顔で接客なんてどれだけの意味があるのか。まぁ全く無いとは言いません。個人的には逆効果だと思っていますが。
土台(台状況)がよろしくないのにうわべの状況を良くしようとするのはナンセンスです。本末転倒。
余程酷くなければある程度満足度が得られるホテルとは違うんですよホテルとは。
この記事は全く参考にはならないでしょう。
どうでもいいけど㊗西陣廃業(笑)
自業自得ですので同情の余地はない。
ピンバック: 久々のコメント
何が正いしのかは時間が立たないとわかりません。
その判断が間違いだった時にフラットな組織とやらが烏合の衆とならずに、適切に修正できるものなのでしょうか。
企業において、経営方針を判断する役職者自体は偉くともなんともありません。
そういう頭脳労働をしているだけです。皆さんが手足を動かして働く事と同じ単なる仕事です。
効率よく考えるために個室があり、大きな机があるのです。
役職者に選ばれる様な人間は、ある程度の人望があり、気力に溢れた人が選ばれる傾向がありますから
役職者は「偉い」と思い込むのでしょう。
ピンバック: 牛丼通行人
…、今のこの惨状も納得がいくというものだ。
しかし、何度となくサファイアと名前を書いて投稿しても前に使っていた名前になる。
なぜだ?別に不都合はないが。
だが、ならなぜ牛丼は何個も名前を乱用できるのか?
ピンバック: 通行人
お互い名前にこだわらず、本文にこだわり精進致しょう
ピンバック: 牛丼通行人
ピンバック: 結局、ホールは