羊羹と言えば虎屋が有名だ。宮内庁ご用達で黒地に金色で描かれた虎の手提げ袋は、高級感が漂う。ビジネスシーンで謝罪が生じたときに、お詫びの菓子折りの定番にもなっている。ここの竹皮包羊羹でも1本3000円である。どれだけこの羊羹が高いかが分かる。
まずは、写真を見れば違いは一目瞭然だ。茨城県産の最高級栗である飯沼栗をふんだんに使っているように、想像していた羊羹とは全く違う。
飯沼栗は一口では食べられない大きさと甘さが特徴で、栗の⼒強さに負けない北海道⼗勝産⼩⾖、栗の⽢さ、あんの⾷感をバランス良く馴染ませるために、製造後5⽇熟成している。
で、蒸し栗羊羹を食べて、「こんな美味しい羊羹が地元茨城に販売していることも知らなかった。今まで食べた羊羹の中で一番美味しい。今度は自分で買って食べたい」と思ったが、1万円の羊羹を買う勇気は出なかった。
そこでAさんは仲の良い従弟に助けの電話を入れた。飯沼栗を使った蒸し栗羊羹がどれほど美味しいかを得々と説明し、「今度買う時に半分こしよう。その代わり5000円出して」と提案した。従弟はその話に乗ってくれたが、Aさんはこの時パチンコについてこう述懐した。
「昔はおカネのことも気にしないでパチンコを打っていた。それこそ、1万円使うことに躊躇することもなかった。パチンコに使うおカネは惜しむこともないのに、1万円の羊羹はどうしても惜しんでしまう。羊羹は食べたらなくなるけど、パチンコはいくら突っ込んでも戻ってくることがあったから何万円使っても惜しくなかった」
これはAさんがまだ4パチを打っていた時代の話しで、今、Aさんが打っているのは0.5パチである。
「あれだけパチンコに嵌っていたのに、今ややる気も起こらない。戻ってくる金額云々の前に、0.5パチでも戻ってこなくなった。それでコロナをきっかけに完全にパチンコを止めた」
0.5パチはホール側だって電気代もでないぐらい薄利のために、どうしてもシメ営業になってしまうわけだが、吸い込むばかりでリターンがないパチンコは誰も打ってくれるわけがない。
パチンコ客はAさんのように、1万円の羊羹や土用の丑の日に3000円のうなぎを買うことには躊躇するが、パチンコ代の1万円は惜しげもなく使ってくれた。
負けることを覚悟して使うわけだが、それはゲームのように遊んで終わりではなく、運が良ければリターンが望めたからだ。リターンこそがリピーターにさせる原動力だったが、ホール自らが放棄するような営業をしているから、客は減り続ける。
パチンコに負けたと思えば、毎日高級メロンやうなぎを買うことができることに気づけば、そりゃ、止める。
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